翻訳|ballast
船体の安定を保つために搭載する重量物、または鉄道の路盤の上に敷き詰める砕石をいう。
[岩井 聰]
積載貨物が少ないか、まったくない空船状態などで船の喫水が浅い状態で航海すると、次のような障害が生じる。
(1)推進器や舵(かじ)が水際にまで近づき、ときには一部が水面上に露出することがある。そのため推進器の効率や舵効きが低下する。
(2)船体の水面上の高さが増し、風波による影響が大きく、船は不安定となって危険な状態になりやすい。また激しい動揺で推進器の一部が水面上に露出し、空転や波による折損、さらには機関故障を誘発したりする。
このような障害を避けるには、バラストを積み、適切な喫水の確保と、トリム(船の前後喫水のつり合い)の調整による対処が必要である。バラストにはバラストタンク、ディープタンクなどに海水を搭載する水バラストと、船倉や中甲板などに枠で囲って搭載する固形バラストとがある。
なお、潜水艦、航空機、気球などでも、浮沈・昇降を操作し、重心を調節するために水、砂、鉛などのバラストを使用する。
[岩井 聰]
砕石(バラスト)を路盤上に敷き詰め、15~50センチメートルの高さに盛り上げた道床の上に枕木(まくらぎ)に締結されたレールを設置する。バラストを使用した道床は列車荷重を路盤に平均化して伝えるほか、クッションの役割をする。また排水をよくし、レールの固定保持に便利であることから、鉄道創業時から使用されてきた。バラストは長期間中に細粉化などによりクッションが悪くなるので、ときおりつるはしや動力ビーダーで突き固めをしたり、バラストクリーナーで古い砕石を取捨選択して、水洗して土埃を取り除いたものと新しい砕石とを混ぜ道床の若返りを行う。高速鉄道用または保守合理化のため、コンクリート道床、スラブ道床が採用されているが、防音効果の面ではバラスト道床が有効であると考えられている。
[西尾源太郎]
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