古代ローマの市民中の血統貴族。元老院の成員を意味するパテルpaterに結びつく表現で,〈パテルの子孫〉の意。特別な身分的指標を有し,地主貴族として政務官職や主要神官職を独占し,政治的・経済的な特権を享受した封鎖的な身分。王の騎兵に由来するという説もあるが,実証されていない。共和政初期に,法的・政治的な同権を求めるプレブス(平民)との身分闘争が展開した結果,前367年のリキニウス=セクスティウス法,前287年のホルテンシウス法を経て,前3世紀までに参政権・通婚権に関しての完全な身分的平等の上に立つ両身分の政治的・法的同権が確立し,その後は元老院身分あるいは官職貴族としてのノビリスが政治的に積極的な意味をもってゆく。カエサル=アウグストゥス時代には血統貴族的な特権も失われ,コンスタンティヌス大帝以降は単なる称号になった。
→プレブス
執筆者:長谷川 博隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
古代ローマの世襲貴族。正しくはパトリキイ。共和政初期から中期まで平民(プレブス)に対し高級政務官・神官就任権、公務遂行の吉凶を占う卜占(ぼくせん)権等の特権をもち、国政を掌握した。これらの権利の分与を要求する平民との間に闘争が紀元前287年まで断続的に行われ、戦力として平民を必要としたパトリキは妥協を余儀なくされた。しかしコンスル(執政官または統領)に就任した最上層平民と組んで新しい貴族層(ノビリタスnobilitas)を構成し、元老院を牙城(がじょう)として共和政後期まで国政を壟断(ろうだん)した。パトリキ氏族の数はしだいに減少し、前45年カエサルは平民をパトリキに任ずるに至り、帝政期には皇帝により、この任命が行われた。コンスタンティヌス大帝以来、パトリキウスpatricius(単数)は高官の称号となった。
[平田隆一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…国際連盟はイタリアに経済制裁を課したが,ほとんど効果の伴わないものだった。イタリア軍は緒戦の勝利のあと,総司令官をデ・ボーノから軍部の切札バドリオ将軍に代え,第1次大戦以後に開発された近代兵器を駆使しての総合作戦を展開した。エチオピア側は軍事力に劣りながらもラス(地方豪族)間の連携をとってイタリア軍を分断し,よく抗戦した。…
…第2次大戦中はモスクワからのラジオ放送でイタリア国民に抵抗を呼びかけ,連合軍と反ファシズム諸勢力によって南イタリアが解放されたあとの44年3月,ほぼ18年ぶりに帰国した。 この時期,反ファシズム諸政党で構成する国民解放委員会と国王・バドリオ政権との間の対立が深まっていたが,トリアッティはバドリオへの協力を表明して,同年4月諸政党の参加したバドリオ政府の成立をもたらし,みずからも入閣した。サレルノ転回とよばれるこの事件は,以後のレジスタンス闘争の展開に一定の枠組みを与えることになった。…
…ムッソリーニの逮捕に際して,当時400万を数えたファシスト党員からは何の反応も起こらなかった。P.バドリオ元帥が新首相に任命され,ファシスト党,ファシズム大評議会,特別裁判所などファシズム的諸制度は廃止された。しかし,国家機構や行政機関はそのまま維持された。…
※「パトリキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新