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17世紀後半のイギリスが生んだ最大の作曲家。とくに劇音楽を得意とした。日本では,イギリス現代作曲家ブリテンが作った《青少年のための管弦楽入門--パーセルの主題による変奏曲とフーガ》(1946)を通じて特にその名が知られているが,ブリテンが引用したのは,パーセルの劇的付随音楽《アブデラザール》の〈ロンド〉の主題である。
パーセルは音楽家の家系に生まれ,少年時代にチャールズ2世の王室礼拝堂少年聖歌隊に入って教育を受ける。やがてイギリスを代表する作曲家として王室音楽家の地位を歴任し,王室の公式行事のための作品を作曲したが,そのかたわらロンドン市民の劇場のために多数の付随音楽を作曲し,酒場の輪唱曲キャッチを作曲するなどして広く親しまれた。作品の中では,友人プリーストの経営する女子高等学校のために作った3幕もののオペラ《ダイドーとイーニアス》(1689)が,今日まで残る最初の本格的なイギリス・オペラとして高い評価を保っている。その他《アーサー王》《テンペスト》などを含む劇的付随音楽40曲以上,《聖セシリアの頌歌》ほかの宗教曲,2巻のトリオ・ソナタ集,《音楽の侍女》と題した鍵盤曲集などがある。
執筆者:服部 幸三
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出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報
…また歴史的に起伏の激しいこともその特徴で,黄金時代と呼べるような隆盛期がいくつかある一方,その間にほとんど空白に近い沈滞期が続くという極端な展開を示している。すなわち黄金時代としては,第1にダンスタブルJ.Dunstable(1390ころ‐1453)を中心とする中世からルネサンスへの転換期,第2にタリスT.Tallis(1505ころ‐85),W.バード,J.ダウランド,O.ギボンズらの手によって声楽,器楽の両分野において目覚ましい展開が見られたチューダー朝とそれに続くジェームズ1世時代,第3にパーセルを中心とする王政復古時代,そして第4にボーン・ウィリアムズからブリテンにいたる現代を挙げることができる。またこのほかに例外的なケースとして18世紀前半におけるヘンデルの活躍がある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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