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アメリカの極地探検家、海軍少将。バージニア州ウィンチェスターに生まれる。1912年海軍兵学校を卒業し、足の負傷で一時退役したが第一次世界大戦へのアメリカの参戦で、1917年現役に復帰し、飛行術を習得した。1926年5月9日、副操縦士ベネットFloyd Bennett(1890―1928)とともに飛行機による初の北極上空飛行に成功。ついで1927年6月29日~7月1日、フランスまで42時間で無着陸大西洋横断飛行に成功した。1928年第1回の南極探検を行い、12月ホエールズ湾に基地リトル・アメリカを設けた。これは現在に至るまでアメリカの南極大陸における重要な観測基地となっている。1929年11月28~29日、三発単葉機フロイド・ベネット号で初の南極点上空飛行に成功。これらの功績で海軍少将に昇進。1933~1935年の第2回南極探検では、1934年冬、リトル・アメリカの南198キロメートルの気象観測所でまったくひとりで観測に従事した。1939~1941年の第3回探検からはアメリカ政府の手で行われ、ルーズベルト大統領より「アメリカ南極探検隊」の隊長に任命された。これは、アメリカが南極域で観測その他の活動を行う重要な布石となった。第4回は第二次世界大戦後の1946~1947年に行われ、「南極開発プロジェクト」、通称「ハイジャンプ作戦」とよばれ、この隊長に任命された。これは、艦船13隻、多数の飛行機、トラクター、人員4700名の機動部隊を動員した空前の規模のものであった。第5回探検(1955~1956)は、1957~1958年の国際地球観測年(IGY)の準備的なものであった。IGYのプログラムの一つである「アメリカ南極プログラム」は行動面では「ディープフリーズ作戦」とよばれた。アイゼンハワー大統領より隊長に任命され、この企画、準備にあたったが、この開始前死去し、アーリントン国立墓地に葬られた。
[半澤正男]
イギリスの作曲家、オルガン奏者。エリザベス朝最大の音楽家で、その創作活動はカトリックおよびイギリス国教会のための宗教音楽、マドリガル、コンソート伴奏付き歌曲、室内楽、バージナル音楽、オルガン音楽と当時の音楽すべてのジャンルに及ぶ。リンカンに生まれ、少年時代に王室礼拝堂少年聖歌隊員として教育を受けたのち、1563年リンカン大聖堂のオルガン奏者となる。70年王室礼拝堂のメンバー、72年同オルガン奏者。75年楽譜および五線紙出版の特許を得て自作15曲を含むモテット集『カンツィオネス』を出版したのち、次々と作品を出版する。93年エセックス州ストンドン・マッシーに移り、ミサを作曲するなどカトリックとしての立場を作曲活動の面からも明らかにし、ロンドンでの華々しい活躍から身を引き、同地で没した。バードは宗教音楽においては優れた技法と表現力を示し、マドリガルの先駆者として、またバージナル音楽の変奏技巧を発展させるなどの功績によりイギリスにおける「音楽の父」とされている。
[南谷美保]
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アメリカの極地探検家。バージニア州ウィンチェスターの名家の出である。海軍士官学校,次いで海軍大学を卒業,艦隊勤務に就いたが,足を痛め航空隊に転出した。1925年グリーンランドへの海軍探検隊飛行長となり,極地飛行に自信をもった。同年中佐で退役。優秀な飛行士で技師でもあるベネットFloyd Benettと,自動車王H.フォードの息子の援助で3発複座小型機ジョセフィン・フォード号を駆って26年5月9日スピッツベルゲン島から北極点まで往復飛行に成功した。27年大西洋横断無着陸飛行に挑んだが,C.A.リンドバーグに先を越され,しかもパリの手前で不時着した。28年南極探検隊を組織し,ホエール湾にリトル・アメリカ基地を設け,科学調査をして越冬した。29年11月29日世界で初めて南極点上を飛行し,翌年帰国すると少将に特昇された。第2次(1933-35),第3次(1939-41),第4次(1946-47。ハイジャンプ作戦),第5次(1955-56。冷凍作戦)と南極探検を指揮し,南極の航空写真地図作成など学術調査を発展させた。
執筆者:石山 洋
イギリスの作曲家。父もまた宮廷音楽家で,おそらく少年時代を王室礼拝堂の聖歌隊員として過ごし,オルガン奏者,作曲家のT.タリス(1505ころ-85)に師事したものと推察されている。鍵盤奏者としても優れた才能を示し,1563年にはリンカン大聖堂のオルガン奏者となり,さらに70年には王室礼拝堂の〈ジェントルマン〉と呼ばれる役職に就任した。75年にはタリスとともにイギリスにおける楽譜出版と販売の独占権を与えられ,初期の音楽出版に多大の貢献を残した。また国教会音楽の勃興期にあたり,ミサ曲,サービス,アンセム,モテットなど数多くの典礼用合唱曲を残し,チューダー王朝期を代表する教会音楽の大家と呼ばれるようになった。その作風は厳格なルネサンス風ポリフォニーに基づくもので,当時の最も正統派の様式を代表するということができる。オルガンやハープシコードのための独奏曲も多く,とくに有名なものにバージナル曲集《マイ・レディ・ネベルズ・ブック》がある。ほかにビオル合奏曲,器楽伴奏による歌曲,マドリガルの分野にも作品を残している。
執筆者:金沢 正剛
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(徳盛誠)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
…アイルランドはケルト系の民俗音楽,それも特に民謡が盛んなことで知られる。それには中世初期から17世紀末にいたるバードと呼ばれる歌人の伝統や,17~18世紀にイギリスから導入されたバラッドソングの影響なども考えられるが,現存する実例の大部分は18世紀以後のものである。これら民謡はアイルランド語と英語の2種に分類され,特に前者においては抒情的な恋愛歌が多く,一方,海国でありながら舟唄が見当たらないのが目だつ。…
…本名Charles Christopher Parker Jr.。愛称の〈バードBird〉でも親しまれている。カンザス州カンザス・シティに生まれ,同地のジェイ・マクシャン楽団のメンバーとしてニューヨークにデビュー。…
…すなわち環太平洋造山帯に属するのであるが,地震の発生が見られない点,南極半島の基盤に先カンブリア時代のものが見られるなど,今後に問題が残されている。南極半島からマリー・バード・ランド,ロス島(エレバス火山)からニュージーランドにかけて新生代の火山帯がある。西南極は氷床の標高も平均1300mで,仮に氷床が溶け地殻の隆起があったとしても,基盤は海面下にとどまる地域が広いと考えられる。…
…さらに翌26年,アムンゼンは飛行船ノルゲ号による北極点経由の横断飛行を計画し,エルズワースやイタリア空軍のノビレUmberto Nobile(1885‐1978)とともにスバールバルで準備をしていた。このときアメリカ海軍のR.E.バードは飛行機で5月9日極点までを往復した。2日遅れの11日アムンゼンらは北極を横断し,5月14日アラスカに着陸した。…
…北は太平洋に接し,西はロス棚氷とロス海に,東はロス棚氷の最南部とエイツ海岸を結ぶ線で区切られている。1929年アメリカのR.E.バードによって探査され,妻の名がつけられた。太平洋岸に山群がある以外は,高度1000~1500mの氷床域で,基盤の大部分は海水面下にある。…
…エリザベス朝からジェームズ1世時代にかけてはこうした教会音楽のほか,典型的なルネサンス様式によるマドリガルやエア,リュート歌曲などが盛んとなり,器楽の分野でもリュート曲,鍵盤音楽(特にバージナル曲),コンソート曲と呼ばれる合奏曲などが人気を集めた。代表的作曲家にはバードW.Byrd(1543‐1623)をはじめ,モーリーT.Morley(1557‐1602),J.ダウランド,O.ギボンズ,ウィールクスT.Weelkes(1575ころ‐1623),ウィルビーJ.Wilbye(1574‐1638),キャンピオンT.Campion(1567‐1620),ロセターP.Rosseter(1568‐1623),トムキンズT.Tomkins(1572‐1656),そして大陸に移住したブルJ.Bull(1562ころ‐1628)とフィリップスP.Philips(1561‐1628)を挙げることができる。一方シェークスピア劇の人気とあいまって劇音楽も盛んとなり,マスクmasqueと呼ばれる音楽や舞踊を中心としたページェント風な総合芸術に人気が集まり,キャンピオンやローズ兄弟(H.Lawes(1596‐1662),W.Lawes(1602‐45))らの活躍が見られた。…
…イングランドを中心に,ウェールズ,スコットランド,アイルランドなど異なる民俗的・文化的背景を持つ複数の地域から成るイギリスの音楽には複雑な発展過程が見られる。その歴史をさかのぼれば,紀元前から盛んであったといわれるバードbardと呼ばれる詩人兼音楽家の伝統にまでたどることができるし,一方キリスト教音楽の導入もひじょうに早かった。他のヨーロッパ諸国には見られない独自の音楽様式を生み出して,新しい時代への先導的立場を果たしたこともある一方では,全般的に保守的傾向も強く,フランス音楽などに比べて歴史的展開に約半世紀ほどの遅れが見られる。…
※「バード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
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