ビベロ(読み)びべろ(英語表記)Rodrigo de Vivero y Aberrucia

デジタル大辞泉 「ビベロ」の意味・読み・例文・類語

ビベロ(Rodrigo de Vivero y Velasco)

[?~1636]スペインのフィリピン臨時総督。1609年、メキシコ帰任途中難破して日本漂着徳川家康に謁見してメキシコとの貿易を依頼され、田中勝介を同行してメキシコに帰った。

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精選版 日本国語大辞典 「ビベロ」の意味・読み・例文・類語

ビベロ

  1. ( Don Rodrigo de Vivero y Velasco ドン=ロドリゴ=デ━イ=ベラスコ ) スペインの植民地行政官。フィリピン臨時総督などを歴任。メキシコに帰任の途中、難破して下総千葉県)の海岸に漂着。徳川家康に謁見し、メキシコ貿易を依頼された。滞日中の印象記「ドン=ロドリゴ日本見聞録」がある。一六三六年没。

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改訂新版 世界大百科事典 「ビベロ」の意味・わかりやすい解説

ビベロ
Rodrigo de Vivero y Velasco
生没年:1564-1636

メキシコ生れのスペイン人。日本ではロドリゴとして知られる。メキシコ副王ベラスコに連なる名門で,13歳のときスペインへ渡り,宮廷で教育を受け,成人してメキシコに戻った。サン・フアン・デ・ウルア城塞守備隊長兼市長(1595),タスコ市長(1597),ヌエバ・ビスカヤ地方長官兼軍司令官(1599)などの重職を歴任し,軍事・行政面で手腕を振るった。1608年フィリピン臨時総督として派遣され,09年(慶長14)帰国のさい暴風雨によって上総岩和田に漂着し,救出された。江戸で徳川秀忠に,駿河で家康に会い,メキシコ貿易開設を望む家康との間に通商に関する仮協定を結んだ。11ヵ月の滞在ののち10年家康の使節ムニョス,日本人商人田中勝助らと帰国した。20年パナマ司法行政院長官兼軍司令官に任ぜられ,27年長年の功績によってバリェ・デ・オリサバ伯爵の称号を授けられた。著書の《ドン・ロドリゴ日本見聞録Relación y noticias de el reino del Japón》(《異国叢書》所収)は,江戸幕府草創期の日本社会を目撃した外国人の記録として貴重である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビベロ」の意味・わかりやすい解説

ビベロ
びべろ
Rodrigo de Vivero y Aberrucia
(?―1636)

スペインのフィリピン臨時総督。日本ではロドリゴの名で知られる。メキシコで累進し、1608年フィリピン臨時総督に任命された。着任早々に、マニラ暴動を起こし捕らえられていた日本人の追放・送還を日本に通知し、同時にマニラ渡航日本船の制限を求めて、徳川家康・秀忠(ひでただ)の答書を得る。翌1609年(慶長14)メキシコに帰航途中、上総(かずさ)国(千葉県)岩和田(いわわだ)海岸で難破、乗組員50余人を失った。彼は救助されて、家康・秀忠に謁し、田中勝介(しょうすけ)(勝助)らの日本船でメキシコに送還された。家康の要請を受け日本とメキシコの貿易開始に尽力。のち1620年パナマ地方長官兼司令官、1627年パリエ・デ・オリサバ伯爵。日本滞在中の見聞を記した『ドン・ロドリゴ日本見聞録』(村上直次郎訳『異国叢書(そうしょ) 8』所収)がある。

[沼田 哲 2018年2月16日]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ビベロ」の解説

ビベロ Vivero y Velasco, Don Rodrigo de

1564-1636 スペインのフィリピン臨時総督。
1609年(慶長14)マニラからメキシコにむかう途中,上総(かずさ)(千葉県)岩和田海岸の岩礁で難破。救出されて徳川家康,秀忠と会見した。翌年田中勝介らを同行し,日本船でメキシコに帰任。日本とメキシコの貿易開始につくした。日本ではロドリゴで知られる。享年72歳。著作に『ドン=ロドリゴ日本見聞録』。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「ビベロ」の解説

ビベロ
Don Rodrigo de Vivero y Velasco

1564~1636

メキシコ官吏。1608年スペインのフィリピン臨時総督。09年(慶長14)後任総督着任によりメキシコへ帰国途上,上総沿岸に漂着し,江戸幕府に救助された。メキシコとの貿易を模索していた徳川家康によって,同地へ派遣された貿易商田中勝介(しょうすけ)とともに10年帰国。日本滞在中の見聞をもとに「日本見聞録」を著した。

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