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ブロッホ Bloch, Ernest

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ブロッホ
Bloch, Ernest

[生]1880.7.24. ジュネーブ
[没]1959.7.15. ポートランド
スイスに生れ,アメリカで活躍したユダヤ人作曲家。 J.ダルクローズ師事ブリュッセル音楽院に学んだのち,ベルギー,ドイツ,フランスに学ぶ。 1916年渡米して,23年アメリカの市民権を得た。クリーブランドサンフランシスコなど各地の音楽学校に勤め,30年いったんスイスに戻ったが,39年に再び渡米した。主要作品はチェロオーケストラのヘブライ風ラプソディ『シェロモ』 (1913~17) ,ユダヤ教のための典礼音楽室内楽バイオリン・ソナタ,五重奏曲。

ブロッホ
Bloch, Felix

[生]1905.10.23. チューリヒ
[没]1983.9.10. チューリヒ
スイス生れのアメリカの物理学者。チューリヒのスイス連邦工科大学を終え,ライプチヒ大学で W.ハイゼンベルクの助手をつとめ,1928年学位を取得。固体の量子論を研究し,周期性をもつ場の中の電子の波動関数 (ブロッホ関数) を発表。 34年アメリカのスタンフォード大学に移り,39年 L.アルバレとともに中性子の磁気能率の測定に成功。第2次世界大戦中は原子力およびレーダの研究に従事。 45年スタンフォード大学に戻り,46年核磁気誘導法による核磁気モーメントの測定法を案出。 52年 E.パーセルとともにノーベル物理学賞を受賞した。

ブロッホ
Bloch, Joseph Samuel

[生]1850.11.20. デュクラ
[没]1923.10.1. ウィーン
オーストリア生れのラビジャーナリスト。反ユダヤ主義に対して論陣を張り,人権擁護のために戦った。主著『イスラエルと諸民族』 Israel und Völker (1922) 。

ブロッホ
Bloch, Konrad

[生]1912.1.21. ナイセ
[没]2000.10.15. マサチューセッツ,バーリントン
アメリカの生化学者。ブロックとも呼ばれる。 1934年ミュンヘン工科大学卒業。ナチスの弾圧を逃れて 36年アメリカに渡り,44年アメリカ市民権を得た。コロンビア大学で生化学を学び,1938年博士号を取得。 46~54年シカゴ大学,54年ハーバード大学で生化学教授を歴任。重水で標識した酢酸を使ってコレステロールを追跡し,酢酸イソプレノイドを経てコレステロールになる過程と,その調節機構を解明した。また酵素による不飽和脂肪酸生合成を研究,64年 F.リネンとともに,コレステロールと脂肪酸の代謝機構と調節の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した。

ブロッホ
Broch, Hermann

[生]1886.11.1. ウィーン
[没]1951.5.30. ニューヘーブン
オーストリアの作家。ユダヤ人の父親の紡績工場を継ぐため,工業大学などで紡績技術を学びながらも,哲学や数学にも強い興味をもつ。卒業後,父の事業を継ぐが,1927年突然工場をやめ,1928~31年ウィーン大学で改めて数学,哲学,心理学を学ぶ。また最初の長編小説『夢遊の人々』 Die Schlafwandler (31~32) を著わし,第1次世界大戦の終結によって旧秩序が崩壊し,なんのよりどころもないままにさまよい歩く人々の姿を描出した。 38年ナチスに捕えられたが,ジョイスらの努力で釈放,その後イギリスを経てアメリカに亡命,エール大学でドイツ文学を講じた。その間,代表作『ウェルギリウスの死』 Der Tod des Vergil (45) を完成させた。彼の偉大さは内的独白,対象による表現形式の転換などの新しい様式を用い,学問的認識,省察,夢を詩的領域に取入れた点にある。ほかに『罪なき人々』 Die Schuldlosen (50) など。

ブロッホ
Bloch, Ernst

[生]1885.7.8. ルートウィヒスハーフェン
[没]1977.8.4. シュツットガルト
ドイツの哲学者。マルクス主義の不完全な現実観を完成させるべく「希望の哲学」を唱道した。1918年ライプチヒ大学で哲学者としてのキャリアを開始するが,1933年ナチスに追われスイスに,その後アメリカ合衆国へ亡命。代表作『希望の原理』Das Prinzip Hoffnung(全3巻,1954~59)のうち 1巻,2巻をアメリカで執筆した。1948年,ドイツ民主共和国(東ドイツ)に帰国し,ライプチヒ大学で教授の座につく。マルクス主義思想の変遷に対する批判を展開して共産党幹部の怒りを買い,1953年から主幹を務めた哲学誌 "Deutsche Zeitschrift für Philosophie"は発売禁止となり,自身も出版活動を禁止された。1957年,著作が没収処分を受けた。1961年にドイツ連邦共和国(西ドイツ)へ亡命し,テュービンゲン大学で教鞭をとった。

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デジタル大辞泉の解説

ブロッホ(Hermann Broch)

[1886~1951]オーストリアのユダヤ系小説家。第二次大戦中、アメリカへ亡命し、客死アイルランドの作家ジョイスの影響を受け、独自の実験的手法によって、人間の存在、現代の社会問題を追求。作「夢遊の人々」「ウェルギリウスの死」「誘惑者」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

ブロッホ

スイス生れのユダヤ系作曲家。ブロックともいう。生地ジュネーブでジャック・ダルクローズに学んだのち,バイオリン奏者を志してブリュッセル音楽院でイザイエに師事。1904年からジュネーブ音楽院で教え,1911年教授。
→関連項目合奏協奏曲

ブロッホ

ドイツのユダヤ系哲学者。1961年以降チュービンゲン大学教授。カントヘーゲルを学び,ジンメルルカーチベンヤミンらとの交友のなかで,独自の表現主義的・マルクス主義的歴史哲学を構築した。

ブロッホ

スイス生れの米国の物理学者。チューリヒ工科大学を出て,ライプチヒ大学でハイゼンベルクの助手として金属の電気伝導強磁性体を量子論的に研究。1934年渡米しスタンフォード大学教授となり,1939年米国に帰化。

ブロッホ

ドイツ生れの米国の生化学者。ミュンヘン工科大学卒業後,ナチに追われ渡米。ハーバード大学教授。重水素で標識した酢酸を使って,コレステロール生合成経路を研究し,中間物質としてのスクアレンの役割を明らかにする。

ブロッホ

オーストリアのユダヤ系作家。家業の紡績会社社長となるが,1927年退き,大学で数学,哲学,心理学を学ぶ。同時にジョイスの《ユリシーズ》の影響を受けた三部作《夢遊の人々》(1931年―1932年)を書き,ドイツにおける諸価値の崩壊という事態を描いた。
→関連項目古井由吉ミュアー

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)の解説

ブロッホ

スイスのジュネーヴに生まれ、アメリカ合衆国で活躍したユダヤ人の作曲家。ユダヤに縁のある民謡や宗教を直截的に使用するのではなく、その精神に基づく音楽を志した。《ピアノとオーケストラのための交響的協奏曲 ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ブロッホ【Ernest Bloch】

1880‐1959
スイスの作曲家。ベルギー,ドイツ,フランスに学んだのち,ジュネーブ音楽院教授となる。1916年アメリカに渡り,クリーブランドやサンフランシスコの音楽院長を歴任する。E.A.イザイエの高弟だった彼は,演奏家指揮者としても活躍した。ブロッホはユダヤ民族主義を前面に押し出した作風で成功を収めた数少ない作曲家の一人でもある。《イスラエル交響曲》(1916),《ヘブライ狂詩曲シェロモ》(1916)などでユダヤ教的世界観を示した前・中期を経て,20年代後半からは新古典主義的性格を盛り込んだ作風に移行している。

ブロッホ【Ernst Bloch】

1885‐1977
ドイツの哲学者。工業都市ルートウィヒスハーフェンのユダヤ系に生まれ,ライン対岸の古都マンハイムとの文化的二重性の中でW.ハウフやK.マイの物語とカントやヘーゲルの哲学に親しんで育った。哲学,物理学,音楽を専攻,ジンメルとウェーバーの知己を得,ルカーチやベンヤミンと親交,また表現主義に共鳴した。生命体の力の発現と〈客観的ファンタジー〉の関連に関心をもち,若くして主体の〈未意識〉と客体の〈未存在〉を統一的にとらえる哲学を自覚,その確信は宣言の書《ユートピアの精神》(1918),原論《希望の原理》(1959),実践論《世界の実験》(1975)を一貫している。

ブロッホ【Hermann Broch】

1886‐1951
オーストリアのユダヤ系作家。ウィーンの大紡績工業家の子として生まれ,工業大学で繊維工学と数学を学んだのち父の会社をついで社長となり,ウィーン工業連盟理事長などの役職をもつとめた有能な実業家であったが,41歳のときに突然実業界から身をひき,ウィーン大学でふたたび数学,哲学,心理学などを学んだ。仕事をやめると同時に著作活動をはじめた。1932年に完成した小説《夢遊の人々》は,〈1888年,パーゼノウあるいはロマン主義〉〈1903年,エッシュあるいは無政府主義〉〈1918年,ユグノーあるいは即物主義〉の3部にわかれ,15年ずつの間隔をおいた三つの時期,30年にわたってのドイツの中流社会の解体,精神的に不毛となった即物的人間の出現をとおして諸価値の崩壊を描く哲学的小説であるが,全体性と非合理的なものの統一という構成面でジョイスの《ユリシーズ》の影響をうけている。

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大辞林 第三版の解説

ブロッホ【Bloch】

〔Ernest B.〕 (1880~1959) アメリカの作曲家。スイス生まれ。ユダヤ人としての自覚から民族色の強い作品を発表。代表作「シェロモ」「イスラエル交響曲」
〔Ernst B.〕 (1885~1977) ドイツの哲学者。ナチス擡頭たいとう後アメリカに亡命。第二次大戦後東ドイツに戻るも、1961年以降西ドイツに移住。人間の内発的な希望をマルクス主義的な歴史観に結びつける独特の哲学を展開。著「ユートピアの精神」「希望の原理」など。
〔Felix B.〕 (1905~1983) スイス生まれのアメリカの理論物理学者。量子力学を用いて金属の電気伝導を説明。また、1946年には核磁気共鳴を利用した原子核の磁気モーメントの測定法を考案。

ブロッホ【Hermann Broch】

1886~1951) オーストリアのユダヤ系作家。ジョイスの影響を受ける。ナチス時代にアメリカに亡命、客死。代表作「夢遊の人々」「ウェルギリウスの死」「罪なき人々」「誘惑者」など。

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世界大百科事典内のブロッホの言及

【ユダヤ音楽】より

…こうした現象の延長線上で,ヨーロッパ芸術音楽の分野では多くのユダヤ系音楽家が活躍した(トリンベルクJüsskind von Trimberg(12世紀),ロッシSalamone de Rossi(1570?‐1630ころ),メンデルスゾーン,マーラー,シェーンベルク,アルトゥール・ルビンステイン,メニューインら)。またそれと同時に,ユダヤ風の音楽作品も西洋音楽遺産のなかに加わった(M.ブルッフの《コル・ニドライ》,ブロッホの《ヘブライ狂詩曲シェロモ》など)。 アシュケナジムのうち東ヨーロッパ,とくにポーランドやウクライナのユダヤ人たちは,18世紀の半ばに,ユダヤ神秘主義(ハシディズム)を興し,それに伴って,スラブ風なニュアンスに富む即興の母音唱法によるリズミカルな民衆的宗教賛歌ニーグンNiggunとそのダンスを生み出した。…

【キッチュ】より

…たとえば1920~30年代の機能主義は,キッチュに決定的に対立しそれを克服しようと努めた。同じ時代に,あらゆる芸術にはキッチュ的要素があることを見抜いた文学者H.ブロッホの場合にも,キッチュは芸術における〈悪の体系〉と表現された。60年代に,近代合理主義に対する批判が活発になると,人間の非合理性を再評価するきっかけにキッチュが登場した。…

※「ブロッホ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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