翻訳|phon
騒音レベルの単位。1993年(平成5)の計量法の改正により、現在ではデシベルdecibel(dB)が使用されている。旧計量法では「標準音波(1000ヘルツの正弦音波をいう)については、音圧実効値(大気中における圧力の瞬時値と静圧との差の2乗の一周期平均の平方根の値をいう)が10万分の2ニュートン毎平方メートルである場合を0ホンとする常用対数尺度で表される騒音レベルをいう」と定義し、標準音波以外の音波の騒音レベルは通商産業省(現、経済産業省)令で定めるとしていた。
日常経験される騒音は数キロヘルツから十数キロヘルツの雑多な周波数成分の混じるものである。人間の耳は2ないし4キロヘルツ程度の周波数成分に敏感で、また100キロヘルツ以上になると急に感度が鈍くなる。そこで、騒音の大きさを感覚量に近似させる計器として、音圧レベルに聴感補正回路を組み込んだ騒音計がつくられ、国際規格もJIS(ジス)(日本工業規格)も設けられている。音圧レベルのホンは法定計量単位から削除されている。なおこの「ホン」と感覚的な音量の単位「フォン」(スペルは両方phon)は混同されやすいが、両者は異なる単位である。「フォン」の詳細については項目「音」の「聴覚と音の大きさ」の章を参照されたい。
[小泉袈裟勝・今井秀孝]
音の大きさの単位。日本で使われるホンという単位には,以下のように二つの意味がある。
(1)音の大きさのレベルの単位。英語でphon。音の大きさは感覚量で,物理的に音圧が等しくても周波数が異なると,感覚としての音の大きさは異なる。そこで1000Hzにおける人間の最小可聴値である音圧20μPaを基準にとり,これを0dBとし,それ以上の音圧はdB尺度で表した数値にホンを付けて表示する。20μPaで0ホン,200μPaで20ホンとなる。他の周波数では,1000Hzで測定したときの音の大きさと感覚が等しい場合に同じ数値で表す。120ホンがほぼ聴覚の限界となる。
(2)騒音レベルの単位で,法定計量単位。A特性と呼ばれる人間の耳の感度に似せて作られた聴感補正回路を有する騒音計の測定値の単位をホンとする。すなわちA補正を行った音圧レベルをdBで表現した数値に付する。日本独自のもので,欧米ではdB,dB(A)で表す。
執筆者:平山 宏之
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