ボルト(英語表記)bolt

翻訳|bolt

デジタル大辞泉 「ボルト」の意味・読み・例文・類語

ボルト(bolt)

直径の比較的大きな雄ねじ。ナット組み合わせ、鉄材などの締め付けや固定に用いる。
登山で、ザイルを固定する支点とするために岩壁に打ちこむ釘状の用具。埋込みボルト。
[類語]螺子ねじ雄螺子雌螺子木螺子ビスナット

ボルト(volt)

国際単位系(SI)の電圧起電力の単位。1ボルトは1アンペア電流が流れる1オームの抵抗の導線での両端の電位の差。名称は物理学者ボルタにちなむ。記号V

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ボルト」の意味・読み・例文・類語

ボルト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] bolt )[ 異表記 ] ボールト
  2. ねじの一つ。部分と部分を締めつけ固定する部品。鋼製で雄ねじが切ってある軸部と頭部からなり、普通ナットと一組。頭部の形や用途から種々の種類がある。
    1. [初出の実例]「許多の孔を穿ち螺釘(ボールト)を以て汽筩に附着す」(出典:舶用機械学独案内(1881)〈馬場新八・<著者>吉田貞一〉後)
  3. ドアや窓をしめて固定しておくためのとめがね。かんぬき
    1. [初出の実例]「上下の栓釘(ボールト)を抜き放って、〈略〉仏蘭西窓を、床を掃ふ如く、一文字に開いた」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一七)

ボルト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] volt イタリアの科学者ボルタの名から ) 電圧・電位あるいは起電力の単位。一アンペアの電流が流れている導体の二点間で、電気によってなされる仕事率が一ワットの時、この二点間に存在する電位差。記号V 〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ボルト」の意味・わかりやすい解説

ボルト
bolt

ナットなどめねじ部品と組み合わせて機械部品,建築構造部品などの締結に使用されるおねじ部品。
ねじ
執筆者:

ボルトは線材から頭部はヘッディングという一種の冷間鍛造によって,ねじ部は転造と呼ばれる回転鍛造によって製造される。もちろん切削加工でも製造できるが,素材として頭部と同じ径の線材から削り出す必要があり,またねじ部の山は側面を削りとられているために,材料の弱い層がむき出しになって山を横断しているおそれがあって,強度の面で不安もある。転造でねじ部を成形すると強い層も弱い層もねじの山と谷に従って褶曲する形となり,山の横を弱い層が横断するということがないので強度的にすぐれている。ボルトはこれだけが集中生産されて市場に供給されてはいるが,生産工場の中で直接線材から製造され使用現場に供給されている場合もある。最近ではテフロン製ボルトなどの金属材料以外のボルトも多い。
執筆者:


ボルト
volt

国際単位系における電圧,電位差および起電力の単位。記号はV。回路の2点間に消費される電力が1Wのとき,1Aの電流が流れる2点間の電圧をいう。交流の場合には,その瞬時値の一周期にわたる2乗平均の平方根,すなわち実効値が直流の値と等しいとき,同じ単位を用いる。実用的にはカドミウム標準電池を単位の現示に用い,20℃で1.01864Vである。また最近では,ジョセフソン効果により,2e/heは電気素量,hプランク定数)を一定として,電圧単位を誘導することが国際的に勧告されている。名は物理学者A.ボルタにちなむ。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボルト」の意味・わかりやすい解説

ボルト
Bolt, Usain

[生]1986.8.21. モンテゴベイ
ジャマイカの陸上競技選手。フルネーム Usain St. Leo Bolt。ジャマイカ山間部トレローニー地区で食料品店を営む両親の間に生まれ,少年時代はクリケットの速球投手として活躍した。マンチェスターユナイテッドなどの名門サッカーチームに強く憧れていたが,学校のコーチに陸上競技へと導かれる。最初に神童として注目されたのはジャマイカ国立競技場で行なわれた 2002年世界ジュニア選手権大会で,大会史上最年少の 15歳で 200mの金メダルを勝ちとった。2008年北京オリンピック競技大会では,1984年ロサンゼルス・オリンピック競技大会アメリカ合衆国のカール・ルイス以来で初めて,一大会において 100m,200m,400mリレーで優勝し,またすべてで世界記録(9秒69,19秒30,37秒10)を樹立した初の選手となった。身長 196cmのボルトは,長身の短距離選手はスタート時の加速が鈍いため不利という定説を覆した。2009年世界選手権大会では,100m決勝で自身の記録を更新する 9秒58で優勝。200mでも 19秒19と大幅に記録を更新し優勝した。2012年ロンドン・オリンピック競技大会では 100mと 200mでタイトル防衛に成功し,史上初めて両種目でのオリンピック連覇を達成,400mリレーでも金メダルを獲得した。

ボルト
bolt

物体を締めつけるとき,一般にナットと組合せて用いるねじ部品の総称。特殊なものを除けば,金属の丸棒の一端に頭があり,他端におねじが切ってある。ボルトとナットによる締めつけは,分解,再締結が可能なので,他のどのような締結具よりも広く用いられ,多くの種類が製作されている。 (1) 六角ボルト 六角形の頭をもった最も一般的なもので,並型と小型六角ボルトの2種類があり,仕上げ程度から,上・中・並の3等級に分けられている (小型では上・中のみ) 。 (2) 六角穴つきボルト 円筒形の頭に六角の穴をもつ。原則的にナットと組まず,頭を沈めるときに用いる。 (3) 四角ボルト 四角形の頭をもつボルトで締めつけ場所が小さくてすみ,(1) よりスパナが滑りにくい。 (4) 皿ボルト 頭が出ては困るところに用いる頭が皿状のボルト。 (5) 植込みボルト 丸棒の両端にねじを切り,一端のねじ部を本体に植込む。 (6) 蝶ボルト 指でねじ込めるようにつまみをつけたもの。 (7) 角根丸頭ボルト 丸形の頭の下に回り止め用の四角な軸部をもち,機械に取付ける木製部分など物体の角穴に軸部を入れてナットで締めつける。 (8) Uボルト 管などを固定するのに用いるU字形に曲げた丸棒の両端にねじを切ったボルト。その他,工作機械のベッドにみられるT溝ボルト,一種の吊金具であるアイボルト,レールの継目板を締めつける継目板ボルト,自動車のボディに用いられる溶接ボルト,2枚の板の間隔を常に一定に保つ控えボルトなどがある。 (→基礎ボルト )

ボルト
Bolt, Robert Oxton

[生]1924.8.15. マンチェスター
[没]1995.2.20. ウェストサセックス
イギリスの劇作家。教師生活 (1950~58) のあと劇作を始め,都会からの脱出を夢みるサラリーマンを扱った『花咲くチェリー』 Flowering Cherry (57) でイブニング・スタンダード賞を受賞。またヘンリー8世の大法官トマス・モアを主人公にして個人的良心と政治問題との葛藤を描いた『すべての季節の男』A Man for All Seasons (60) で 1962年度のニューヨーク劇評家賞を受賞。この作品の映画化 (邦題『わが命つきるとも』) をはじめ,『ドクトル・ジバゴ』『アラビアのロレンス』『ライアンの娘』などのシナリオも執筆した。

ボルト
volt

電圧,電位または起電力の SI組立単位。記号はV。 1Vは強さ 1Aの電流が流れる導体の2点間で消費される電力が 1Wである場合のこれら2点間の電圧である。単位名は A.ボルタの名にちなむ。起電力の基準は交流ジョセフソン効果を用いて定められている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルト」の意味・わかりやすい解説

ボルト(電圧および起電力の単位)
ぼると
volt

電圧および起電力の国際単位系(SI)の組立単位で、固有の名称と記号で表される。記号はV。1アンペアの不変の電流が流れる導体の2点間で、消費される電力が1ワットであるときのその2点間の電圧をいい、またこれに相当する起電力をいう。1881年国際電気標準会議によって国際ボルトとして採択されたが、1948年に現行の絶対ボルトに改められた。20℃におけるウェストン電池(カドミウム標準電池)の起電力は1.0183国際ボルト、絶対単位では1.01859ボルトである。名称はイタリアの物理学者ボルタにちなむ。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]


ボルト(Robert Oxton Bolt)
ぼると
Robert Oxton Bolt
(1924―1995)

イギリスの劇作家。ラジオドラマ作家として出発。一、二の舞台劇の習作ののち、1957年、チェーホフ的な家庭劇、『花咲くチェリー』の成功によって一躍新進劇作家の一人として注目される。その後の話題作はトマス・モアが主人公の『すべての季節の男』(1960)。これはのちに彼自身のシナリオ、フレッド・ジンネマン監督で1966年に映画化(邦題『わが命つきるとも』)された。『アラビアのロレンス』(1962)、『ドクトル・ジバゴ』(1965)、『ライアンの娘』(1969)などの映画のシナリオも手がけている。

[大場建治]


ボルト(ねじ)
ぼると
bolt

直径の比較的大きい頭付きの雄(お)ねじで、重要な機械要素の一つ。一般にナットと組み合わせて機械部品などを締結するのに用いられる。ボルトの頭もナットも六角形のものがもっとも多く使用されているが、四角形、円筒形、皿形などもある。ボルトは、その形式と呼び径に応じて、A、B、Cの等級が定められている。頭のかわりにねじを切ったものを植込みボルト、ナットを用いないでねじ込んで締め付けるものを押さえボルト、コンクリートの基礎にボルトの一端を埋め込んで機械の据え付けに使用するものを基礎ボルトという。

[中山秀太郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ボルト」の解説

ボルト
ボルト
volt

記号 V.電位差,電圧または起電力のMKSA単位系および国際単位系(SI単位).1 A(アンペア)の一定電流が流れる導体上の2点間において消費される電力が1 W(ワット)に等しいとき,この2点間に存在する電位差を1 V とする.A. Volta(ボルタ)の名前にちなんだ名称.各単位系の間の換算は次のとおり.

  1 V = 1 J A-1 s-1 = 108 電磁単位

    = (1/3)×10-2 静電単位

    = (1/3)×108 ガウス単位

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「ボルト」の意味・わかりやすい解説

ボルト(機械)【ボルト】

雄ねじが切ってある棒状の機械部品。頭部と軸部からなり,通常,ナットと組み合わせて機械部品や建築構造部品の締結に用いるが,対象物自体に切った雌ねじにねじ込むことも多い。頭部の形状により六角ボルト,四角ボルト,皿ボルト,アイボルト(ひも穴のついたもの)など多くの種類がある。鋼または黄銅製が普通だが,金属材料以外のものもある。
→関連項目機械要素ねじ

ボルト(単位)【ボルト】

電圧,起電力のSI組立単位。記号V。1アンペアの電流が流れている導体の2点間において消費される電力が1Wのとき,この2点間に存在する電圧を1Vと定義する(またはそれに相当する起電力)。A.ボルタにちなむ。
→関連項目起電力電圧電位差

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

単位名がわかる辞典 「ボルト」の解説

ボルト【volt】

電圧・電位・起電力の国際単位。記号は「V」。1Vは導体の2点間に1Aの電流が流れて、消費される電力が1Wのときの電圧。1クーロンの電荷をもつ物体が、この電位差で加速されると、1ジュールのエネルギーが得られる。乾電池の電圧は1.5V、日本の家庭用の交流電源の電圧は100V。◇名称は、イタリアの物理学者ボルタにちなむ。

出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ボルト」の解説

ボルト

2008年製作のアメリカ映画。原題《Bolt》。ディズニー製作の3Dアニメーション映画。監督:クリス・ウィリアムズ、バイロン・ハワード、声の出演:ジョン・トラボルタ、マイリー・サイラス、マルコム・マクダウェルほか。第81回米国アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネート。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

知恵蔵 「ボルト」の解説

ボルト

SIの電圧(電位、起電力)の単位。固有の名称を持つ組立単位で、イタリアの物理学者名にちなむ。1 Aの定常電流が流れる導体の2点間で1Wの電力が消費されている時、その2点間の電圧が1 Vである。現在では、ボルトの基準はジョセフソン効果を用いた量子標準によっている。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内のボルトの言及

【ねじ】より

…(5)その他 以上のほかにも,台形ねじ,自転車専用の自転車ねじ,管端にねじを切る場合に用いる管用ねじ,電球の口金および受金に用いる電球ねじなど多くの規格がある。【北郷 薫】
〔ねじ部品の種類〕
(図6)
【ボルトbolt】
 一端(あるいは両端)におねじを切った比較的大きい棒状の機械部品。ナットと組んで用いられることが多く,通常は頭部(ボルト頭)と軸部からなり,軸部の一端にねじ部がある。…

【ねじ】より

…螺子(らしとも読む),捻子,捩子などの字があてられ,スクリューということもある。 ねじはあらゆる分野で大量に使用されており,その用途は,機械や構造物の部分どうしを強固に結合するための締結用(ボルト,ナット,木ねじなど),回転運動を直線運動に変換する運動用(工作機械の送りねじ,親ねじなど),微細な位置決め(デバイダーやコンパスの開きの調節など),微小寸法の拡大・指示(マイクロメーターのスピンドルなど),大きな力を発生させる倍力用(ジャッキ,万力など)に大別される。 現在行われているねじの製造法は切削を利用したものと塑性加工を応用したものに大別できる。…

※「ボルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android