日本大百科全書(ニッポニカ) 「マガン」の意味・わかりやすい解説
マガン
まがん / 真雁
white-fronted goose
[学] Anser albifrons
鳥綱カモ目カモ科の鳥。グリーンランド、カナダ、アラスカ、シベリアなどの北極圏で繁殖し、ヨーロッパ、日本および北アメリカ西部など温帯地方で越冬する計5亜種がある。もっとも代表的なガンで、全長78センチメートル。額が白く、腹に不定形の大黒斑(はん)があるが幼鳥にはない。千葉県の和田沼(現、柏(かしわ)市)、岐阜県の下池(しもいけ)などに多く渡来したが現在はみられない。宮城県伊豆沼に数千羽が渡来し、未明に飛び立ち雁列(がんれつ)をなして周辺の水田の採餌(さいじ)地に降りる。そのほか、秋田県八郎潟(はちろうがた)、石川県大聖寺(だいしょうじ)、鳥取・島根両県にまたがる中海(なかうみ)などに渡来するにすぎない。近縁種のカリガネA. erythropusは、シベリアの北極圏のマガンより高地で繁殖するが、マガンより数は少なく、日本にも少数渡来する。マガンに似るが小形で、声は甲高く澄み、真の「雁が音(かりがね)」の名にふさわしい種である。
[黒田長久]