マールブルグ病(読み)マールブルグビョウ

デジタル大辞泉 「マールブルグ病」の意味・読み・例文・類語

マールブルグ‐びょう〔‐ビヤウ〕【マールブルグ病】

Marburg disease》ウイルス性出血熱の一つ。1967年にドイツマールブルクなどでワクチン製造のためウガンダから輸入したアフリカミドリザルを扱った研究者ら31人が発症し、7人が死亡した。その後の発生ではコウモリなどからの感染も疑われている。伝染力が強く致命率が高いため隔離治療が必要とされる国際伝染病の一つ。潜伏期間は3~10日。突発的に発症し、頭痛・筋肉痛・発熱に始まり、激しい嘔吐下痢がみられ、発疹が全身に広がる。重症の場合、全身の器官出血傾向が現れ、8~10日で死亡する場合がある。マールブルグ出血熱マールブルグ熱
[補説]1998~2000年にはコンゴ民主共和国で発生し、149人の患者が確認され123人が死亡。2005年にはアンゴラで388人の発症が確認され324人が死亡した。

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共同通信ニュース用語解説 「マールブルグ病」の解説

マールブルグ病

エボラウイルスと同じひも状のフィロウイルス科に属するマールブルグウイルスが引き起こす出血熱。発熱や下痢、鼻や消化管からの出血などの症状に加え、感染から発症までの潜伏期間や死亡率の高さなど、エボラ出血熱とよく似た特徴を示す。1967年にドイツで実験用のサルから研究者らに集団感染して7人が死亡した。(ワシントン共同)

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改訂新版 世界大百科事典 「マールブルグ病」の意味・わかりやすい解説

マールブルグ病 (マールブルグびょう)
marburg disease

マールブルグウイルスによる全身性の急性熱性伝染病で,1967年,ウガンダから輸入したアフリカミドリザルを介して,旧西ドイツおよび旧ユーゴスラビアの三つの研究所でほぼ同時に発生し,同定された。日本では国際伝染病として扱われる。ウイルス保有動物として齧歯類(げつしるい)が疑われているが,いまだ不明。ヒトへは経皮(傷口)感染を主とするが,エーロゾル感染もある。潜伏期間は5~9日。ふつう発熱,筋肉痛などのインフルエンザ様症状で始まり,高熱とともに腹痛,下痢などの消化器症状や全身性の発疹をみる。3~4病週に回復するが,重症例では全身に出血傾向を生じ,ショック状態で8~16病日に死亡する。不顕性感染や軽症例もあるが,院内感染で致命率が高い。診断はウイルス分離(血液,のどの粘液,尿および精液)または血中抗体の検出による。回復期患者の血漿の早期投与が特異療法である。
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家庭医学館 「マールブルグ病」の解説

まーるぶるぐびょう【マールブルグ病 Marburg Disease】

[どんな病気か]
 ウイルス感染による悪性の伝染病で、1965年、西ドイツのマールブルグ市の研究所でアフリカから輸入したサルから伝染して集団発生したので、この病名で呼ばれていますが、常在地は、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国です。ウイルスは、齧歯類(げっしるい)が保有しているとみられています。
 皮膚の小さな傷からの感染が主ですが、病人からの飛沫感染(ひまつかんせん)もあります。
[症状]
 潜伏期間は4~9日です。急に高熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐(おうと)、下痢(げり)などがおこります。
 第1病週の末から、かゆみのない斑(はん)や丘疹(きゅうしん)のような発疹(ほっしん)が、顔、臀部(でんぶ)から始まり全身に広がります。
 第2病週には、肝障害、出血傾向、腎不全(じんふぜん)などが生じて、約20%の人が死亡します。
[治療]
 この病気の回復期にある人の血漿(けっしょう)の注射が有効です。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マールブルグ病」の意味・わかりやすい解説

マールブルグ病
マールブルグびょう

「マールブルク病」のページをご覧ください。

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