ヨハネ(英語表記)Iōannēs; John

精選版 日本国語大辞典 「ヨハネ」の意味・読み・例文・類語

ヨハネ

(Johannes)
[一] ユダヤ人祭司の子に生まれ、ヨルダン川河畔説教をし、イエス洗礼を施した。バプテスマのヨハネとも。
[二] キリスト教十二使徒の一人。ガリラヤ漁夫の子で、新約聖書の「ヨハネ黙示録」「ヨハネ書」「ヨハネによる福音書」を書いたとされる。愛の使徒ヨハネとも。

ヨハネ

(Juan de La Cruz) スペインキリスト教神秘家・神学者。テレサ=デ=ヘススのカルメン会改革運動に参加十字架のヨハネ。著「カルメン山登攀」など。(一五四二‐九一

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デジタル大辞泉 「ヨハネ」の意味・読み・例文・類語

ヨハネ(Juan de La Cruz)

[1542~1591]スペインのキリスト教神秘家。テレサ=デ=ヘススのカルメル会改革運動に参加。十字架のヨハネ。著「カルメル山登攀」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨハネ」の意味・わかりやすい解説

ヨハネ
Iōannēs; John

聖人。使徒ヨハネともいう。十二使徒の一人。ガリラヤの漁師ゼベダイとサロメの子。兄弟ヤコブと一緒にイエスの招きによってただちにその弟子となりイエスに従った。熱心で激しやすい性格のゆえにヤコブとともに「雷の子」と呼ばれ,有能な説教者として重要な役割を果し,ペテロやヤコブとともに使徒中代表的存在とされている (マタイ福音書 17・1,ガラテア書2・9) 。伝承は『ヨハネによる福音書』,3つの『ヨハネの手紙』と『ヨハネの黙示録』を使徒ヨハネに帰しているが,いずれも確かでない。

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世界大百科事典 第2版 「ヨハネ」の意味・わかりやすい解説

ヨハネ【John】

イエスのいわゆる〈十二弟子(使徒)〉の一人。父の名はゼベダイZebedeeといい,ガリラヤの出身。福音書の伝えるところによると,兄弟ヤコブとともに父の家業であった漁師をしていたところをイエスによって見いだされ,弟子とされたという(《マルコによる福音書》1:19~20)。〈十二弟子〉の名前のリスト(同3:16~19)では筆頭弟子のシモン・ペテロのすぐ後に挙げられ,兄弟ヤコブとともに,〈ボアネルゲBoanerges〉(〈雷の子〉の意)という別称を与えられている。

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百科事典マイペディア 「ヨハネ」の意味・わかりやすい解説

ヨハネ

十二使徒の一人。ギリシア語でヨアンネス。大ヤコブの兄弟。ペテロ,ヤコブとともにキリストの愛弟子で,その生涯の重要な場合に立ち会っている。伝説ではのちに小アジアで布教,エペソで没したとされ,また新約聖書中の《ヨハネによる福音書》《ヨハネの手紙》《ヨハネの黙示録》の著者とされるが,現在では疑問視する説が有力である。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ヨハネ」の解説

ヨハネ
Iōannēs

生没年不詳
イエスの12使徒のひとり
ガリラヤ人の漁夫であったが,兄ヤコブとともにキリストに従った。キリストの死後も生き長らえて,『新約聖書』に収められている「黙示録」「ヨハネ伝福音書」「ヨハネ書簡」を書いたといわれる。

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世界大百科事典内のヨハネの言及

【キリスト教】より


〔キリスト教の本質〕

【キリスト教とは何か】
 この問いの背後には,かつてイエス・キリスト自身が弟子たちに投げかけた問い〈人々はわたしを何者だと言っているか……あなたたちは,わたしを何者だというのか?〉(《マタイによる福音書》16:13~20,《マルコによる福音書》8:27~30,《ルカによる福音書》9:18~21,《ヨハネによる福音書》6:67~71)がひそんでいる。この後者に答えることが,前者に対する根本的な答えである。…

【幻視】より

…教会は幻視体験を管理する立場にもあり,悪魔の誘いである偽りの幻覚と真の幻視とを区別し,人々を教化することに忙しかった。とくにこの時期スペインには,アビラのテレサや十字架のヨハネらの瞑想神秘主義者が出て,祈りによる幻視体験を最重要な信仰生活としてとらえ,また反宗教改革期のイグナティウス・デ・ロヨラも《心霊修業》と呼ばれる一種の幻視体験カリキュラムを構築した。クエーカー派の開祖G.フォックスは,町を歩いているさなかにさえつねに神の啓示を耳にしていたといわれる。…

【原始キリスト教】より


[パウロ]
 ユダヤ教徒として律法に対する熱心のあまり,キリスト教を迫害さえしたパウロは,〈イエス・キリストの啓示によって〉(《ガラテヤ人への手紙》1:12)キリスト教に回心し(34ころ),3回の伝道旅行によりエーゲ海周縁諸都市に教会を設立し,遂にはローマにまで至った。第一伝道旅行の後(これをその前とみなす学者たちもある),彼はアンティオキアからエルサレムに上り,同地の教会の〈おもだった人たち〉(イエスの弟ヤコブ,ペテロ,ヨハネ)と会談し(いわゆる〈エルサレム使徒会議〉,48ころ),割礼を前提することなしに異邦人に福音を宣教する承認を得た(《ガラテヤ人への手紙》2:1~10,《使徒行伝》15:1~35)。にもかかわらず律法の順守を救済の条件とするユダヤ人キリスト者に対し,パウロは上記(1)の伝承に拠りつつ,信仰によってのみ義とされるといういわゆる〈信仰義認論〉を展開したが,この世にあって義とされ救われた存在を持続する手段として律法の有効性を認めた(《ローマ人への手紙》3:21~31)。…

【神秘主義】より

…あるツァディクは,神の事を学びにきたハシッドに食器を磨くことを教えた。カバラハシディズム(5)キリスト教 キリスト教神秘主義の源泉は新約聖書とくにパウロやヨハネの信仰におけるキリスト体験にある。それはパウロの場合,イエスの死を死に,イエスの生を生きるという体験であり,聖霊によってキリストと〈同じ像に化〉せられることであった。…

【ヨハネによる福音書】より

…新約聖書の一つ。伝統的にゼベダイの子使徒ヨハネがエペソ(エフェソス)で書いたとされるが,最近の研究では匿名の著者により後1世紀末にパレスティナ・シリア地方で書かれたと考えられている。他の三つの正典福音書のいずれにも直接依存せず,一部独自の伝承を用いている。…

※「ヨハネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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