中国風のめんの一種で,細ひも状に伸ばしたものの呼称。日本の中華料理店では普通,これをゆでてスープを注ぎ,わずかな〈ぐ〉をのせたものをラーメンと呼んでいる(めんの製法などについては〈中華そば〉の項を参照)。スープの味付けにより,しょうゆラーメン,みそラーメン,塩ラーメンなどに分けられる。ラーメンという名まえは,中国語の拉麵あるいは老麵のなまったものという説もあるが,実際のところは日本でおおいに好まれ,中華そばの代名詞のようにも考えられている。いつごろから食べるようになったかよくわからないが,ただ日本で中国料理が一般に普及するのは日清戦争,日露戦争後の明治期末からであり,ラーメンの登場もその後であると思われる。大正末の新聞には,〈支那そば〉〈しゅうまい〉が20銭で売られていたことが載っている。また冬の夜,夜鳴きそば,夜鳴きうどんのように,ラーメンがチャルメラを鳴らした屋台でも売られるようになった。人気が出るにつれ,町のそば屋,うどん屋でも売られるようになった。なお,めん類の分類上の用語として日本では〈中華めん類〉があるが,これは生中華めん(ラーメン屋のラーメンなど),蒸し中華めん(主として焼きそばなどに消費される),即席めん類(インスタントラーメンなど)に分かれる。また生中華めんを冷やして食する冷やし中華も人気がある。
インスタントラーメンの先駆けとなったのは,1952年末に都一(みやこいち)製麵が発売した,めんを手で枠に入れ長方形に成形,波状にした中華めんである。58年には大和通商が現在のインスタントラーメンの始まりともいえる,めんを油で揚げた〈鶏糸麵〉(味付け油揚げめん)を東京の百貨店の店頭で販売した。同年8月安藤百福が日清食品を設立,鶏糸麵と同様のものをチキンラーメンの名で,袋入り1袋(85g入り)35円で発売し,これが爆発的な売行きを示し,以降各社の新規参入がつづいた。チキンラーメンは,味付けした油で揚げた乾めんで,丼などの容器に入れ湯をかけてもどすと3分ほどで食べられる,というものであった。インスタントラーメンの売上げは以降急増し,メーカー数も64年には300社近くになった。この間,1962年7月には,その後主流となる,いわゆる〈スープ別添〉方式のものが明星食品から発売された。71年9月にはカップ容器入り即席めん(カップラーメン)が,日清食品により〈カップヌードル〉の名で発売された。カップラーメンは,その手軽さがうけ(それまでのもの,いわゆる〈袋もの〉は発売当初とは違って,なべで煮たきする必要のあるものが主流となっていた),他社も続々参入,急速に売上げを伸ばし,販売額においては75年ごろから袋ものを上回っている。
インスタントラーメンの生産量は1958年度の1300万食が62年度に10億食にもなり,翌63年度20億食,66年度30億食と急増,インスタント食品のみならず,インスタント時代のリード役だった。その後は伸びが鈍化し,8年かかって74年度に40億食台に乗せたものの停滞傾向は一段と強まり,83年度は43億食であった。ただし販売額は,袋ものに比べ値段の高いカップものの比率のアップで1973年以降急増した。この間,和風めんや焼きそばも登場するなど種類も増えた。なお,これらのインスタントに食することのできるめん類を総称して,JAS規格で〈即席めん類〉という。
インスタントラーメンはアメリカや東南アジアなどに輸出されると人気を呼び,現在では現地メーカー品も出現して,販売合戦をくり広げている。
執筆者:黒田 信雄
英語ではrigid frameという。鉄筋コンクリート造,鉄骨造などの梁と柱より構成され,節点を剛にかためた骨組みで,いわゆるビル建築に多く用いられている構造形式。ここで節点というのは骨組部材である梁や柱の交点のことであり,梁や柱が互いに自由に回転できないようになっているときその節点は剛であるという。荷重が作用したとき,部材に主として軸方向力が生ずるトラス構造に対し,ラーメン構造では部材に主として曲げモーメントが生ずることより,モーメントフレームmoment frameとも呼ばれる。直線部材を直角に剛に接合して長方形の形にした長方形ラーメン,梁に相当する部分が山形に折れ曲がっている山形ラーメン,台形状の台形ラーメンなどがあるが,長方形ラーメン以外のものは異形ラーメンと総称される。また,建物を耐震的にするために耐震壁やトラス架構などと併用されることが多い。いずれにしても建築に利用した場合は開口部が広くとれ,平面計画にあまり制限を与えないなどの特長がある。なお,主桁と橋脚とを剛に連結して一体の構造とした橋をラーメン橋という。
→橋 →骨組構造
執筆者:岡田 恒男
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中国の麺(めん)は小麦粉に塩、卵、梘水(かんすい)、水を加えてよくこねてつくるが、これを手だけで引っ張り、細く数多くの糸状に引き伸ばしてつくったものを拉麺(ラーミエン)という。拉(ラー)は引っ張るの意で、麺をつくる職人のなかでも、これは特殊技術として珍重されている。拉麺に対して麺杖(ミエンチヤン)(麺棒)で薄く伸ばして畳み、包丁で細く切ったものを切麺(チエミエン)という。これらの麺を用いて、湯麺(タンミエン)、涼麺(リヤンミエン)、炒麺(チャオミエン)など各種の中華そばがつくられる。
日本では、これらの麺に主としてしょうゆ味のスープを用いたものをラーメンあるいは中華そばと称している。関東大震災(1923)後大いに流行したもので、当時は支那そばとよばれていた。海苔(のり)、鳴門巻(なるとまき)、ホウレンソウなどの具(ぐ)を加えて日本風に仕立ててある。塩味、みそ味などのラーメンもある。なお、インスタントラーメンは、1958年(昭和33)の発売以来またたくまに大衆的な人気を得るに至った。
[野村万千代]
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…しかし四角形であっても,節点を互いの部材が自由には回転できないようにしてしまうと(このような節点を剛節点という),部材が曲がって抵抗するようになる。このような骨組構造を一般にフレームframeまたはラーメンRahmen(フレームを意味するドイツ語)と呼ぶ。 骨組構造は現実にはすべて立体構造である。…
…単一部材に生ずる応力と変形を対象とする材料力学を基本として成立しており,両者はいちおう区別されているが密接な関係にある。構造力学で取り扱う構造物は,主としてラーメン,トラスなどの骨組構造で,平面板や曲面板で構成される構造物や地盤のように三次元的に連続した物体は,ふつう弾性学(弾性論)の対象とされている。 構造力学の直接の対象物は,構造物を理想化したモデルである。…
…
[鉄筋コンクリート構造の種類]
土木構造物において,もっとも一般的な鉄筋コンクリート構造物は橋である。鉄筋コンクリートでできている橋を構造形式によって分類すると,スラブ橋,桁橋およびラーメン橋など,荷重が作用するとそれに対して曲げ抵抗で支える構造形式と,アーチ橋のように,荷重が作用すると荷重を部材内部で圧縮力にして支える構造形式の2種に分けられ,このなかで圧倒的に多く用いられるのはスラブ橋および桁橋である。建築物の場合は,部屋は四角で開口部分が大きいほうが使いやすいので,鉄筋コンクリートのはり,柱,床からなるラーメン造がもっとも一般的であるが,このほか,大きな開口部を必要としない建物や,大きな部屋がいらない場合には床スラブと壁だけで荷重を支えることができる壁式鉄筋コンクリート造,倉庫や車庫など積載荷重が大きい建物では床スラブとこれを直接支持する柱とで構成する構造(フラットスラブ構造という)も用いられ,また屋根は平面でなくてもよいので,大きな空間を覆うのに力学的に有利な曲面を用いたシェル構造もある。…
…しかし四角形であっても,節点を互いの部材が自由には回転できないようにしてしまうと(このような節点を剛節点という),部材が曲がって抵抗するようになる。このような骨組構造を一般にフレームframeまたはラーメンRahmen(フレームを意味するドイツ語)と呼ぶ。 骨組構造は現実にはすべて立体構造である。…
… めんの種類には次のものがある。(1)拉麵(ラーメン) 拉は引きのばす意で,中国めんの代名詞のようにいわれる。日本の手延べそうめんに似る。…
※「ラーメン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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