デジタル大辞泉
「リバタリアニズム」の意味・読み・例文・類語
リバタリアニズム(libertarianism)
他者の自由を侵害しない限りにおける、各人のあらゆる自由を尊重しようとする思想的立場。自由主義が20世紀以降、個人の社会的自由の達成のために、私企業などの経済的自由の抑制や、福祉などによる富の再分配を是認してきたのに対し、それらをも最小化すべきとする。自由至上主義。完全自由主義。
[補説]新自由主義と似るが、これが経済的自由を重視するのに対し、リバタリアニズムはそれだけでなく社会的自由も強調する。権威への不服従や婚姻制度の廃止、銃器・薬物・売春・同性愛の是認などを唱えるため、伝統的保守思想と対立する。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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リバタリアニズム
Libertarianism
福祉国家のはらむ集産主義的傾向(→コレクティビズム)に強い警戒を示し,国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する政治思想。自由至上主義,完全自由主義とも呼ばれる。ロバート・ノージックらが論者として知られる。古典的自由主義と同様,リバタリアニズムも自由市場経済を支持するが,その論拠は自由市場が資源配分の効率性で卓越するということだけではない。より重視されるのは,集産主義的介入が自明の権利である個人の自然権や基本的人権を侵害するという点である。リバタリアニズムの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチであり,社会をなんらかの実体ではなく,自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流をもつ場として考える。国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化すると考え,また個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとする試みは,個人の独自性を破壊し,社会の目的のための手段として個人を扱うことになるととらえる。個人の価値の追求には法による制約が課せられるべきだが,法規制の目的は各人の平等な権利を保障することに限定され,国家や政府の役割はそこにあると考える。(→コミュニタリアニズム,新自由主義,自由放任主義)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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