ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リュビーモフ」の意味・わかりやすい解説
リュビーモフ
Lyubimov, Yurii Petrovich
[没]2014.10.5. ロシア,モスクワ
ロシアの俳優,演出家。1939年ワフタンゴフ劇場付属のシチューキン演劇学校(→シチューキン)を卒業,1940~46年軍務につき,1953年から母校の教壇に立つ。学生たちの卒業公演でベルトルト・ブレヒトの『セチュアンの善人』を演出して注目された。1964年にタガンカ広場にあるタガンカ・モスクワ・ドラマ・コメディ劇場(通称タガンカ劇場)の首席演出家となり,ジョン・リードのルポルタージュを劇化した『世界をゆるがした十日間』(1965),『タルチュフ』(1969),『ハムレット』など非ロシア系の作品を多く上演。フセボロド・メイエルホリド,エフゲニー・ワフタンゴフ,ブレヒトらの全体演劇的な手法に基づき,その演出は,みずからの手による複雑な照明,生演奏による音楽,詩・歌の挿入,観客へ直接語りかける演説などを特徴とする。体制にくみしない演出はたびたびソビエト連邦当局の検閲を受けた。1984年ロンドン滞在中に市民権を剥奪されて亡命し,アメリカ合衆国や西ヨーロッパの劇場で演出活動を続けた。1989年復権されて帰国,現代ロシア演劇を牽引した。2007年,日本とロシアとの演劇交流に貢献した功績により旭日小綬章を授与された。(→ソ連演劇)
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