ルトスワフスキ

百科事典マイペディア 「ルトスワフスキ」の意味・わかりやすい解説

ルトスワフスキ

ポーランド作曲家,ピアノ奏者,指揮者。20世紀後半を代表する作曲家の一人。生地のワルシャワ大学数学を学んだのちワルシャワ音楽院に入学。《管弦楽のための協奏曲》(1954年)などバルトークの影響の濃い初期作品を経て,弦楽オーケストラのための《葬送音楽》(1958年),室内合奏のための《ベネチアの遊び》(1961年),合唱と器楽アンサンブルのための《アンリ・ミショーの3つの詩》(1963年)などで国際的な評価を獲得。K.セロツキ〔1922-1981〕,T.バイルド〔1928-1981〕,ペンデレツキグレツキら多くの逸材が輩出した第2次大戦後のポーランド作曲界を主導した。〈偶然性〉(偶然性の音楽)の手法などを取り入れながらも作品はきわめて論理的で,その語法はオリジナリティに富む。ほかに《弦楽四重奏曲》(1964年),管弦楽曲ミ・パルティ》(1976年),《交響曲第3番》(1983年),管弦楽と独奏楽器のための《チェーン》のシリーズ(1983年,1985年,1986年),《ピアノ協奏曲》(1988年)などが知られる。→パガニーニロストロポービチ
→関連項目ホリガー

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改訂新版 世界大百科事典 「ルトスワフスキ」の意味・わかりやすい解説

ルトスワフスキ
Witold Lutosławski
生没年:1913-94

ポーランドの作曲家。ワルシャワでピアノと作曲を学び,新鮮で個性的な作品を書きつづけ,20世紀の偉大な作曲家の一人として評価されている。彼は《管弦楽のための協奏曲》(1954)から《葬送音楽》(1958)を経て,合唱と管弦楽のための《アンリ・ミショーによる三つの詩》(1963)で不動の名声を築いた。彼の音楽には自然な流れがあり,前衛的な技法を取り入れてはいるが,《チェロ協奏曲》(1970)のように構成は論理的で,表現は色彩豊かである。次いで《ノベレッテ》(1979)やオーボエ,ハープのための《二重協奏曲》(1980)では旋律美を求め,絶えず斬新な音楽を切り開いた。また教師および自作の指揮者としても活躍した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルトスワフスキ」の意味・わかりやすい解説

ルトスワフスキ
Lutosławski, Witold

[生]1913.1.25. ワルシャワ
[没]1994.2.7. ワルシャワ
ポーランドの作曲家。ワルシャワ音楽院で理論と作曲,同地の大学で数学を学ぶ。初期は『交響変奏曲』 (1938) や『パガニーニの主題による変奏曲』 (41) にみられるように新古典主義的作風であったが,1958年 B.バルトークの思い出のための弦楽合奏『葬送曲』で 12音技法を採用,さらに 61年『ベネチアの遊戯』で偶然性の要素を導入,K.ペンデレツキとともにポーランド前衛音楽の代表者であった。代表作である『交響曲第二番』 (67) が第9回京都賞 (93) を受賞し,来日した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルトスワフスキ」の意味・わかりやすい解説

ルトスワフスキ
るとすわふすき
Witold Lutosławski
(1913―1994)

ポーランドの作曲家。生地のワルシャワ音楽院に学ぶ。ピアニストとして出発したが、第二次世界大戦後は作曲と教育活動に専念。欧米諸国に招かれて教鞭(きょうべん)をとり、国内外の賞を多数贈られるなど、現代作曲界で高く評価されている。弦楽合奏曲『葬送音楽』(1958)のころから斬新(ざんしん)な手法を取り入れ、管弦楽曲『ベネチアの遊び』(1961)、声楽と管弦楽のための『アンリ・ミショーによる三つの詩』(1963)では偶然性を導入。チェロ協奏曲(1970)など多様な作品があるが、鋭い音感覚と論理的構成に一貫した特徴がある。

[益山典子]

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「ルトスワフスキ」の解説

ルトスワフスキ

ヴィトルト・ルトスワフスキは、二十世紀ポーランドを代表する作曲家で、1913年1月25日ワルシャワに生まれた。ワルシャワ音楽院でピアノと作曲でディプロマを取得している。

彼の作風は生涯を通じて変化す ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

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