ロジウム(その他表記)rhodium

翻訳|rhodium

デジタル大辞泉 「ロジウム」の意味・読み・例文・類語

ロジウム(rhodium)

白金族元素の一。単体銀白色の金属。展延性に富む。白金との合金耐食耐熱性にすぐれ、熱電対つい・るつぼなどに使用。名は、塩の多くがバラ(ローズ)色をしていることにちなむ。元素記号Rh 原子番号45。原子量102.9。

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精選版 日本国語大辞典 「ロジウム」の意味・読み・例文・類語

ロジウム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] rhodium ) ( ギリシア語でバラの意。化合物水溶液がバラ色であるところから ) 白金属の元素。元素記号 Rh 原子番号四五。原子量一〇二・九〇五五。灰白色の金属。展性・延性に富む。酸・アルカリに溶けず、王水にも安定。白金細工に光沢を与える目的のメッキに用い、また、白金との合金は熱電対に用いる。〔気海観瀾広義(1851‐58)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ロジウム」の意味・わかりやすい解説

ロジウム
rhodium

周期表第ⅤⅢ族に属する白金族元素の一つ。1804年W.H.ウォラストンが粗製白金を王水に溶かし,白金とパラジウムを除去した溶液から新しい金属を含む塩ヘキサクロロロジウム(Ⅲ)酸ナトリウムNa3[RhCl6]を得,塩の水溶液がばら色であったのでギリシア語rhodon(バラ)にちなんで命名した。ロジウムはイリドスミン中に含まれ,また金との自然合金として産する。

展延性に富む銀白色の金属。空気中で加熱すると約700℃で酸化ロジウム(Ⅲ) Rh2O3になり,1100℃では解離してまたRhになる。塩素と暗赤熱で反応して塩化ロジウム(Ⅲ) RhCl3を生ずる。塩化ナトリウムNaClと混ぜて加熱しながら塩素を通すとNa3[RhCl6]になる。この反応はロジウムの製錬や精製に利用される。ふつうのロジウムは王水に不溶であるが,微粉末はかなり侵される。熱濃硫酸に溶ける。硫酸水素カリウムKHSO4と融解すると溶ける。化合物中の酸化数はⅢが最もふつうであり,錯体も多く知られている。α,βの二つの同素体があり,1000℃以下では両者から成り,1400℃以上ではβ形のみとなる。α形は単純立方格子,β形は面心立方格子。モース硬度6で白金より硬いので白金の硬化に使われる。

白金鉱を王水で処理した残渣は主としてイリジウム,ロジウム,ルテニウムから成る。これをNaClと混ぜ塩素気流中で加熱するとルテニウムが揮発し,分離できる。残渣を希塩酸で抽出してロジウムを硫酸チタン(Ⅲ)で還元してイリジウムと分離する。

ロジウムコロイドおよびロジウム黒は触媒として使われる。金属は反射率が高く安定なので,めっきして反射鏡等に使われる。白金との合金は抵抗体,熱電対,るつぼ,触媒,電気接点,耐熱耐食材料として用いられる。
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化学辞典 第2版 「ロジウム」の解説

ロジウム
ロジウム
rhodium

Rh.原子番号45の元素.電子配置[Kr]4d85s1の周期表9族貴金属または白金族元素.原子量102.90550(2).安定核種が質量数103の同位体のみの単核種元素.質量数89~122の放射性同位体が知られている.1804年,イギリスのW.H. Wollastonが粗白金試料中に発見,塩化物RhCl3の赤色から,ギリシア語の“バラ色”ροδον(rodon)をとって命名.宇田川榕菴は天保8年(1837年)出版の「舎密開宗」巻十五で,新金属として羅冑母(ロヂウム)と記載している.
地殻中の存在度の低い白金族中でもきわめて存在度が低く ppb 以下とされる.世界の知られている埋蔵量の約90% を南アフリカが占め,ついでロシア,カナダの順である.単体は立方最密構造の銀白色の金属.白金族精鉱から溶媒抽出法で相互分離し,(NH4)3RhCl6としてとりだし,水素還元して金属を得る.融点1966 ℃,沸点3695 ℃.密度12.41 g cm-3.第一イオン化エネルギー7.46 eV.酸化数1~4,通常3.化学的にきわめて安定で,二元化合物の数は少ないが錯体は多数存在する.酸化して600 ℃ 以上で酸素と反応してRh2O3となるが,1200 ℃ 以上で分解してRhに戻る.塩素とも300 ℃ で反応してRh Cl3となるが,318 ℃ で逆反応を起こしてRhとなる.塊は王水にも不溶.熱硫酸に可溶.
自動車排気ガス浄化用3元触媒のNOx還元用成分として不可欠で,わが国の需要の80% を占める.ついで液晶ディスプレイ用高級ガラス製造用るつぼ材のPt-Rh合金原料として10%,ほか化学工業用触媒に用いられる.2005年には,わが国は全輸入量9.5 t 中,6.5 t を南アフリカ,0.8 t をアメリカ,0.7 t をロシアから輸入した.[CAS 7440-16-6][別用語参照]ロジウム触媒

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロジウム」の意味・わかりやすい解説

ロジウム
ろじうむ
rhodium

周期表第9族に属し、白金族元素の一つ。1804年、イギリスのウォラストンは白金鉱の中から新しい金属元素を単離したが、その塩類の多くがバラ色をしていることから、ギリシア語のバラ色rodeosにちなんでロジウムと命名した。白金鉱およびイリドスミン中に含まれ、ときには金と自然合金をつくって産出する。

 ニッケル、銅の電解精錬の際に得られる陽極泥や白金鉱を王水処理してほかの金属を除き、塩化ロジウムとすると、ロジウムはスルファト錯体として溶液中に抽出される。これをヘキサクロロロジウム(Ⅲ)酸アンモニウム(NH4)3[RhCl6]に変え、精製したのち、水素中で熱還元すれば海綿状のロジウムが得られる。

 銀白色の軟らかい金属で延性がある。その化合物を適当な還元剤で処理して得られたものは黒色の粉末で、ロジウム黒(こく)といわれる。化学的性質は周期表直下のイリジウムに似ており、酸に対してはきわめて抵抗力が大きく、酸素に対しては比較的弱い。すなわち塊状のものはどんな酸にも溶けず、王水にも侵されない。しかし酸化力の強い熱濃硫酸や塩素酸ナトリウムを含む熱濃塩酸(封管中125~150℃)には溶ける。粉末状のものはより活性である。空気中、常温では酸化されないが、強熱するとしだいに酸化されて酸化ロジウム(Ⅲ)Rh2O3を生じ、これはさらに強熱すると分解して酸素を放出する。白金の硬化元素として使われるが、白金‐ロジウム合金は耐食性、耐熱性に優れている。そのほか各種触媒、熱電対などの用途がある。

[鳥居泰男]



ロジウム(データノート)
ろじうむでーたのーと

ロジウム
 元素記号  Rh
 原子番号  45
 原子量   102.9055
 融点    1970℃
 沸点    3700℃
 比重    12.41(測定温度20℃)
 結晶系   立方
 元素存在度 宇宙 0.33(第64位)
          (Si106個当りの原子数)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロジウム」の意味・わかりやすい解説

ロジウム
rhodium

元素記号 Rh ,原子番号 45,原子量 102.90550。周期表9族,白金族元素の1つ。白金鉱およびイリドスミン中に含まれ,ときに金と自然合金をつくって産出することもある。地殻,海水中の存在量未定。 1803年イギリスの化学者 W.ウォラストンにより粗白金中から発見された。単体は銀白色の金属で粉末は黒色。α,βの2種の同素体がある。融点 1966℃,比重 12.41。展延性に富む。加熱すると酸化ロジウム Rh2O3 を生じるが,さらに高温では金属に戻る。酸化数は1から6までを示す。純ロジウムは反射鏡に用いられる。白金との合金は抵抗体,熱電対,アンモニアの酸化用触媒,耐熱,耐食材料として有用である。真空メッキによりガラスに蒸着し,干渉フィルタとしても使われる。

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百科事典マイペディア 「ロジウム」の意味・わかりやすい解説

ロジウム

元素記号はRh。原子番号45,原子量102.90550。融点1960℃,沸点3697℃。白金族元素の一つ。1803年ウラストンが発見。銀白色の金属で,展性・延性に富む。酸・王水に不溶。触媒として,水素添加用やアンモニア酸化,自動車の排ガス処理用などに利用。白金またはイリジウムとの合金は耐食性・耐熱性にすぐれ,熱電対として用いられる。白金鉱およびイリドスミン中に産する。

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世界大百科事典(旧版)内のロジウムの言及

【ウォラストン】より

…ケンブリッジ大学で医学を学び,しばらく開業していたが,1800年に本来興味をもっていた化学の研究に転じた。02年にパラジウムを,2年後にロジウムを発見した。また,可鍛性のある白金を得る精製法を確立し,光学機器の十字線などに用いられるごく細い白金線(ウォラストン線)を作った。…

※「ロジウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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