日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワイズ」の意味・わかりやすい解説
ワイズ(Robert Wise)
わいず
Robert Wise
(1914―2005)
アメリカの映画監督。インディアナ州ウィンチェスターに生まれる。フランクリン大学を中退し、1933年にRKOラジオ・ピクチャーズ社にフィルム編集者として入社。オーソン・ウェルズの『市民ケーン』(1941)の編集などを手がけ、綿密な構図計算や間隔の短い効果的なつなぎ編集などが認められ、サイコホラー作品『キャット・ピープルの呪い』(日本未公開、1944年)で監督となる。その後、低予算の古典ホラー映画作品を監督して卓越した不気味さの描写で頭角を表し、ゆがんだプロボクシングの世界を描いたドラマ『罠(わな)』(1949)でカンヌ国際映画祭批評家賞を受賞、国際的に名声を得る。1960年代に入り、ニューヨークの下町を舞台にした愛と悲劇の物語に、ダイナミックな振付けの唄と踊りを加えたミュージカル映画『ウェスト・サイド物語』(1961)で監督賞をはじめ、アカデミー賞10部門を獲得。また、大ヒットブロードウェー・ミュージカルを雄大なアルプスの景観描写で映画化した『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)では、アカデミー作品賞、監督賞など5部門で受賞し、監督としての最盛期を迎えた。
[堤龍一郎]
資料 監督作品一覧(日本公開作)
キャット・ピープルの呪い The Curse of the Cat People(1944)
フィフィ嬢 Mademoiselle Fifi(1944)
死体を売る男 The Body Snatcher(1945)
恐怖の島 A Game of Death(1946)
生まれながらの殺し屋 Born to Kill(1947)
月下の銃声 Blood on the Moon(1948)
罠 The Set-Up(1949)
西部の二国旗 Two Flags West(1950)
三人の秘密 Three Secrets(1950)
地球の静止する日 The Day the Earth Stood Still(1951)
捕らわれの町 The Captive City(1952)
砂漠の鼠 The Desert Rats(1953)
重役室 Executive Suite(1954)
トロイのヘレン Helen of Troy(1955)
悪人への貢物 Tribute to a Bad Man(1956)
傷だらけの栄光 Somebody Up There Likes Me(1956)
深く静かに潜航せよ Run Silent, Run Deep(1958)
私は死にたくない I Want to Live!(1958)
拳銃の報酬 Odds Against Tomorrow(1959)
ウエスト・サイド物語 West Side Story(1961)
すれちがいの街角 Two for the Seesaw(1962)
たたり The Haunting(1963)
サウンド・オブ・ミュージック The Sound of Music(1965)
砲艦サンパブロ The Sand Pebbles(1966)
スター! Star!(1968)
アンドロメダ… The Andromeda Strain(1971)
ふたり Two People(1972)
ヒンデンブルグ The Hindenburg(1975)
オードリー・ローズ Audrey Rose(1977)
スター・トレック Star Trek(1979)
ルーフトップ Rooftops(1989)
ワイズ(John Wise)
わいず
John Wise
(1652―1725)
アメリカの会衆派(組合派)牧師。マサチューセッツ植民地生まれ。ハーバード大学卒業。同植民地イプスウィッチ郡で牧師となり生涯を過ごす。会衆派の特色をなす個々の教会の独立と自治の原則を破ろうとしたピューリタンの牧師インクリース・メイザーIncrease Mather(1639―1723)とコットン・メイザーの父子に反対し、『教会論争のすすめ』The Church Quarrel Espoused(1710)と『ニューイングランド教会体制の擁護』A Vindication of the Government of New England Church(1717)を出したが、その優れた民主的思想は高く評価され、1772年と1860年に再出版されて、独立とその後の民主主義の発達に貢献した。政治と市民生活の民主的改革にも積極的で、1683年の増税不払い運動にかかわり、1689年には地方代表として植民地議会改組に参加する。魔女裁判にも強く反対した。
[中島和子]