三戸(読み)さんこ

精選版 日本国語大辞典 「三戸」の意味・読み・例文・類語

さん‐こ【三戸】

〘名〙
① 非常に少ない戸数。小国のたとえ。
太平記(14C後)三七「されば楚は三戸(さんコ)の小国なれども、秦を亡さんずる人は、必ず楚王の子孫にあるべし」 〔史記‐項羽本紀〕
② (感覚をつかさどる三つ戸口の意) 目、耳、口のこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕

さんのへ【三戸】

[一] 青森県東南部の地名。南部藩発祥の地。奥州街道金田一浅水の間にあった宿駅放牧でも知られた。米・リンゴ・葉タバコの産地
[二] 青森県の東南部の郡。馬淵(まべち)川・五戸(ごのへ)川の流域にある。八戸市もと、この郡に含まれていた。

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デジタル大辞泉 「三戸」の意味・読み・例文・類語

さん‐こ【三戸】

非常に少ない戸数。小国のたとえ。
「楚は―の小国なれども」〈太平記・三七〉
感覚をつかさどる三つの戸口、すなわち目・耳・口のこと。
「―ヲヒソムル」〈日葡

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改訂新版 世界大百科事典 「三戸」の意味・わかりやすい解説

三戸[町] (さんのへ)

青森県南東部,三戸郡の町。人口1万1299(2010)。奥羽山脈東麓の三戸丘陵を占め,岩手・秋田両県に接する。町の東端を馬淵(まべち)川が北流し,支流の猿辺川,熊原川沿いに集落が分布する。戦国時代から南部氏の拠点となり,熊原川と馬淵川の合流点に近い城山に三戸城が築かれ,城下町として発展,1633年(寛永10)南部藩主の居城が正式に盛岡に移されるまでは南部地方の中心であった。その後は城代が置かれ,町奉行が支配したが,貞享年間(1684-88)に城代が廃され,代官に代わった。奥州街道の宿場町でもあり,市も開かれていた。現在も城下町時代の町割,町名が多く残る。明治以降も青森県南東部,岩手県北部の商業の中心地であったが,1891年東北本線開通の際,三沢駅(南部町)が町の中心をはずれたことと八戸の発展が著しく,三戸は商業中心地としての機能を失った。東部の平地緩斜面では三戸リンゴ,西部ではタバコ栽培,丘陵地では牧畜が盛ん。三戸城跡には町立歴史民俗資料館,温故館があり,桜の名所でもある。
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