鎌倉中期の幕府御家人。義村の子。母は土肥遠平の女。通称駿河次郎。1221年(承久3)の承久の乱の際,父とともに北条泰時に従って宇治川合戦で戦功をたてた。37年(嘉禎3)若狭守に任ぜられ,38年(暦仁1)幕府の評定衆に補せられ,39年(延応1)父の死により家督をついで三浦介,相模守護となった。三浦氏は幕府草創以来の有力御家人の最後の生残りとして幕府内部に重きをなし,泰村も北条氏と姻戚関係を結んで勢力をふるっていたが,北条氏は自己に対抗しうる勢力の存在を警戒し,46年(寛元4)名越(北条)光時が前将軍頼経と謀って執権時頼を除こうとした事件に泰村の弟光村が荷担していたことを利用して三浦氏の排斥を図った。泰村は北条時頼とその外戚安達景盛らの挑発に乗り,47年(宝治1)6月鎌倉で戦って敗死し(宝治合戦),相模の雄族三浦氏の本流は滅亡した。
執筆者:新田 英治
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鎌倉中期の武将。義村(よしむら)の子。駿河(するが)次郎。妻は北条泰時(やすとき)の女(むすめ)。1221年(承久3)の承久(じょうきゅう)の乱に泰時に従って戦功をたてて若狭守(わかさのかみ)に任じられ、38年(暦仁1)には評定(ひょうじょう)衆に列して幕政の重責を担った。北条氏と姻戚(いんせき)関係を結び勢力を強大にしたが、逆に北条氏の警戒するところとなる。47年(宝治1)、執権北条時頼(ときより)の外祖父安達景盛(あだちかげもり)の挑発もあって、北条・三浦両氏の対立が激化し、同年6月5日、景盛の意を受けた孫の泰盛(やすもり)が泰村を攻めると、時頼もこれに与同して攻撃したため、泰村以下500余人は頼朝の墓所である法華堂にこもり自殺した(宝治(ほうじ)合戦)。
[三浦勝男]
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(佐々木文昭)
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?~1247.6.5
鎌倉中期の武将。三浦介・若狭守・相模国守護。義村の嫡子。母は土肥遠平の女。通称駿河次郎。承久の乱では父とともに北条泰時率いる東海道軍に加わり上洛。1238年(暦仁元)評定衆となるが,46年(寛元4)名越光時の乱に弟光村が加担していたため北条時頼に排撃の口実を与える。翌年,時頼の挑発にのり鎌倉で戦って敗れ,法華堂で一族とともに自殺。
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…その後和田合戦に際しては,1213年(建保1)和田義盛の三男,朝比奈三郎義秀が鎌倉における父の死に当たり,500騎を船6艘に分乗させ,相模から安房に赴いており,安房は和田氏の拠点になっていた。47年(宝治1)相模の三浦泰村は,北条氏に排斥された前将軍藤原頼経に同情し,北条氏打倒を策して安房・上総の所領から甲冑を相模に運び,宝治合戦を起こして安達景盛に滅ぼされている(《吾妻鏡》)。また小湊出身の僧日蓮は,53年(建長5)清澄寺で法華宗を開いている。…
…しかし計画は発覚し,勃発した承久の乱は院側の敗北に終わった。47年(宝治1)相模の三浦泰村は,安房・上総の所領から甲冑を相模に運び,宝治合戦を起こした。泰村の妹婿としてこの事件に連座した上総権介千葉秀胤は,一宮の大柳の館(長生郡睦沢町大谷木)で幕軍に討たれた。…
…この時の合戦を宝治合戦とよんでいる。三浦氏は幕府草創以来の有力御家人で概して北条氏に協力的であり,三浦義村の女は北条泰時に嫁し,泰時の女は三浦泰村に嫁すなど緊密な関係にあったが,相模の雄族として北条氏に拮抗しうる最大の勢力であったため,和田合戦や伊賀氏の変などに際して反北条勢力に誘引されるなど,北条氏にとって最大の潜在敵手であった。自己に対抗しうる有力御家人を相次いで滅ぼし,執権として幕府内部での権力を独占しつつあった北条氏は,たまたま泰村に嫁した泰時の女が早世して両氏の姻戚関係が消滅し,しだいに疎遠となりはじめたころに,前将軍頼経を擁して時頼を打倒しようとする陰謀に三浦一族が荷担していることにつけ入り,幕初以来の有力御家人中唯一の生き残りである三浦氏を滅ぼしたのである。…
※「三浦泰村」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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