三物(読み)みつもの

  • さんぶつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

(1) 鎌倉時代以来行われた3つの射芸馬上で行う流鏑馬 (やぶさめ) ,笠懸 (かさがけ) ,犬追物 (いぬおうもの) と,徒歩で行う大的 (おおまと) ,草鹿 (くさじし) ,円物 (まるもの) がある。 (2) 武具のうち,,冑をいう。 (3) 連歌俳諧における発句脇句,第三句をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

3種のそろった物の意で、武家では武具の鎧(よろい)の胴、袖(そで)、兜(かぶと)をはじめとして、馬上から弓を射る騎射のうちの流鏑馬(やぶさめ)(これが廃れたのちは歩射(ぶしゃ))、笠懸(かさがけ)、犬追物(いぬおうもの)をいい、武家の奏者が所持する太刀(たち)、折紙、状箱をいった。連歌(れんが)、俳諧(はいかい)では発句(ほっく)(第一句)、脇句(わきく)(第二句)、第三句をいい、とくに近世以降には、この三物を歳旦(さいたん)の祝儀として詠むことが多い。庶民的なところでは三つ身の着物をいったり、古着をいったが、これは表、裏、中綿の三つに引き解いて売ったからだといい、また料理でも椀(わん)盛り、刺身、甘煮の三品をいったり、口取り、刺身、焼き魚をいったりする。[宇田敏彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 民を教化する三つの事柄。六徳と六行と六芸の称。〔周礼‐地官・大司徒〕
② 古く中国で、いけにえの血をすすり合って盟約を結ぶ時、いけにえにする三種の家畜、豕・犬・鶏の総称。〔詩経‐小雅・何人斯〕
〘名〙
① 武具で、鎧(よろい)の胴・袖・兜(かぶと)の三種の称。
※太平記(14C後)一〇「三つ物四つ物取著て、あたりを払て馳向ければ」
② 騎射の三種。流鏑馬(やぶさめ)・笠懸(かさがけ)・犬追物(いぬおうもの)の称。流鏑馬がすたれた後は、かわりに歩射(ぶしゃ)を加えた。
※世阿彌筆本謡曲・柏崎(1430頃)「ゆみわ三ものとやらんをいそろえ、うた・れんか・さうか・こうたも、じゃうずにて」
③ 連歌・俳諧の発句(第一句)と脇(第二句)と第三句の称。近世以降は歳旦の祝儀に特に詠むことが多い。三物連歌。《季・新年》
※咄本・百物語(1659)上「脇第三をいたし三つ物仕らんとて」
④ 武家の奏者の所持する品物で、太刀・折紙・状箱の称。
※風呂記(16C後‐17C前か)「状箱折紙太刀、是を三物と云なり」
⑤ 三つ身の着物をいう。
※滑稽本・八笑人(1820‐49)三「偖此眼七が単物は、昨日富沢町で買てさんじましたゆゑ、是がみつものでござります」
⑥ 古着。引き解いて、表・裏・中綿の三つに分けて売ったところからいう。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「みつものを下女は直斗聞て見る」
⑦ 田楽で、鼓や笛など同種の鳴り物三つで演奏すること。
⑧ 料理で、椀盛り・刺身・甘煮の三品、または口取り・刺身・焼肴の三種の称。
※洒落本・廓宇久為寿(1818)前「大広蓋の三つ物(モノ)銚子さかづきのみぞ、残りける」
⑨ 江戸時代、大坂堂島の米市で、米の三斗俵をいう。〔大坂繁花風土記(1814)〕

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