六芸(読み)リクゲイ

デジタル大辞泉 「六芸」の意味・読み・例文・類語

りく‐げい【六芸】

中国代に、以上の者の必修科目とされた六種技芸。礼・楽・射・書・ぎょ(=馬術)・数。
六経りっけい

ろく‐げい【六芸】

りくげい(六芸)

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精選版 日本国語大辞典 「六芸」の意味・読み・例文・類語

りく‐げい【六芸】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 古く中国で、士以上の者の学修すべきものとされた、礼・楽・射・御(馬術)・書・数の六種の技芸。
      1. [初出の実例]「六芸洋洋。幽微之数必挙」(出典:本朝文粋(1060頃)三・弁耆儒〈大江挙周〉)
      2. [その他の文献]〔周礼‐地官・大司徒〕
    2. ( 転じて ) ある特定階層や社会などで、修めなければならないとされる六種の技芸。
      1. [初出の実例]「茶湯 誹諧 挟将棊 琴 三絃 押絵細工 是を六芸(リクゲイ)と極る事」(出典洒落本・禁現大福帳(1755)三)
  2. [ 2 ]りっけい(六経)[ 二 ]史記‐伯夷伝〕

ろく‐げい【六芸】

  1. 〘 名詞 〙りくげい(六芸)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「Rocuguei(ロクゲイ)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))

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普及版 字通 「六芸」の読み・字形・画数・意味

【六芸】りくげい

六経。また、礼・楽・射・御・書・数。〔史記、孔子世家〕孔子、詩書禮樂を以てふ。弟子蓋(けだ)し三千人、身、六ずる七十二人。

字通「六」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「六芸」の意味・わかりやすい解説

六芸
りくげい

(1)儒家の奉じた六種の経典。六経(りくけい)の別称。『荘子(そうじ)』天道篇(へん)に「詩・書・礼・楽(がく)・易(えき)・春秋」をさして「六経」と称したが、前漢(ぜんかん)、儒家を諸子(しょし)から離して国教化するに伴い、治政のための術芸、政術・経芸の書、つまり政治の基本用具としての経典に「六芸」の名が与えられた(『史記』『漢書(かんじょ)』)。『漢書』芸文志(げいもんし)で、六芸は『易』と『春秋』を軸に経学(けいがく)的な世界観の確立を示し、とくに『易』を他の五経の原理の源泉に位置せしめた。(2)中国古代の卿大夫(けいたいふ)(高級官僚)以上の子弟が学ぶ六種の教養課目。『周礼(しゅらい)』大司徒(だいしと)・保氏(ほうし)の職官に「六芸、つまり礼・楽・射・御・書・数」を教える。礼容奏楽、弓射と馬術、書写算数のことである。また、孔子(こうし)の弟子3000のうち「六芸」に通暁した者72人といわれた(『史記』孔子世家)。

[戸川芳郎]

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百科事典マイペディア 「六芸」の意味・わかりやすい解説

六芸【りくげい】

古代中国で卿・士大夫が学ぶべきものとされた教科。周代に定型化。礼・楽・射(弓術)・御(馬術)・書・数の六つ。西欧自由七科に対応する。また六経(りっけい)のこともいう。
→関連項目小学

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「六芸」の意味・わかりやすい解説

六芸
りくげい
Liu-yi

中国,士大夫階級が修得しなければならない教養,技能,技術をいう。『周礼』によれば,六芸は礼,楽,射,御 (馬車を駆ること) ,書,数の6科目をさす。また『史記』滑稽列伝によれば,『礼』『楽』『書』『詩』『易』『春秋』の六経を意味する。

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世界大百科事典(旧版)内の六芸の言及

【経学】より

…当時,書名としては《孝経(こうきよう)》が早くから著名であるが,《老子》などにも〈経伝〉〈経説〉があった(《漢書》芸文志)。 儒家の経典は《荀子》にみえる〈礼・楽(がく),詩・書,春秋〉の5種が古く(勧学篇),漢初に成立した《荘子(そうじ)》天運篇に〈孔子が,詩・書,礼・楽,易・春秋の六経(りくけい)を治め〉というように〈六経〉と称し,同時代の賈誼(かぎ)が《新書》六術篇でこれを〈六芸(りくげい)〉と言いかえている。前漢,武帝期に,国家教学として学官に五経博士が置かれ,儒家がそれを独占する前後から,六経の教義は政術に応用される国家学〈六芸〉の位置をしめ,《論語》《孝経》がこれに準ずる扱いをうけるようになった。…

【芸術】より

…7種の〈自由学科artes liberales〉(自由七科)が自由人の修めるべきこととされたが,その内容をみればarsの学的性格は明らかであろう(7種はのちに〈三学科=トリウィウムtrivium〉:文法・論理・修辞と〈四学科=クアドリウィウムquadrivium〉:算術・幾何・天文・音楽に区分される)。なおこの点では歴史的にさらに古く中国(周代)でも士以上の必修科目として六芸(りくげい)(礼・楽・射・御・書・数の技芸)の定められていたことは興味深い。 さて建築をはじめ自由学科に数えられなかった職人的技術の地位を高めたのはルネサンスの巨匠たちであり,その後,諸芸術の躍動につれて18世紀には芸術を統一的にとらえる企ても生じ,やがて美・芸術の原理学たる美学の成立をみるまでになった。…

【芸能】より


[芸能の意味の変遷]
 芸能は元来,芸と能の熟語であった。古代中国の《礼記》《論語》などに見える芸は才技,技術,学習などの意で,《周礼》にいう六芸(りくげい)は,周代官人のまなんで備えるべき礼,楽,射(弓術),御(馬術),書,数に関する学問やわざを意味した。また能は《周礼》《荀子》などによれば,よく事をなしうる才力,才芸の意で,そして司馬遷の《史記》ではこれが熟語となって学問にかかわる技術や能力の意味で用いられた。…

【諸子百家】より

…そこには,この6家の長所と短所が要領よく紹介され,道家を他の5家の長所をかねる卓越した術芸とするのにひきかえ,儒家はより劣った学術にすぎず,墨家集団はすでに没落したことを告げている。 《漢書》芸文志には,国家教学と化した儒家の奉持する経書(けいしよ),つまり〈易(えき),書,詩,礼,楽,春秋〉とそれを補助する〈論語,孝経〉などを,劉漢王朝の国家学〈六芸(りくげい)〉として別格にあつかい,その他の学派を百家九流(きゆうりゆう)の〈諸子〉に分属している。これは,劉向・劉歆(きん)父子が,前漢後期,宮廷の蔵書を整理し,その解題〈別録〉と7分類の書目〈七略〉を作成したのを班固がこの類目にそって〈芸文志〉を〈六芸略,諸子略,諸賦略,兵書略,術数略,方技略〉の順に編成したのである。…

【読み書きそろばん(読み書き算盤)】より

…読み書きそろばんは基礎学力であるという一句に安住せず,読み書きそろばんのうち何がもっとも重要な内容であり,それをどう教えるのがよいかについては不断の研究が必要である。【山住 正己】
【中国】

[古代・中世]
 古代における知識人の基礎的な教養は,礼・楽・射・御・書・数にまとめられる6種の技芸,いわゆる〈六芸(りくげい)〉であった。そのうち〈書〉は文字の読み書きを,〈数〉は算数を意味する。…

【六経】より

…人間の理想態たる聖人・先王が作ったと確信されるがゆえに,人間生活の規範のすべてがそこに求められると考えて,経(経書)という。六芸,六学,六籍ともいわれる。【安本 博】。…

※「六芸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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