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(1)儒家の奉じた六種の経典。六経(りくけい)の別称。『荘子(そうじ)』天道篇(へん)に「詩・書・礼・楽(がく)・易(えき)・春秋」をさして「六経」と称したが、前漢(ぜんかん)、儒家を諸子(しょし)から離して国教化するに伴い、治政のための術芸、政術・経芸の書、つまり政治の基本用具としての経典に「六芸」の名が与えられた(『史記』『漢書(かんじょ)』)。『漢書』芸文志(げいもんし)で、六芸は『易』と『春秋』を軸に経学(けいがく)的な世界観の確立を示し、とくに『易』を他の五経の原理の源泉に位置せしめた。(2)中国古代の卿大夫(けいたいふ)(高級官僚)以上の子弟が学ぶ六種の教養課目。『周礼(しゅらい)』大司徒(だいしと)・保氏(ほうし)の職官に「六芸、つまり礼・楽・射・御・書・数」を教える。礼容と奏楽、弓射と馬術、書写と算数のことである。また、孔子(こうし)の弟子3000のうち「六芸」に通暁した者72人といわれた(『史記』孔子世家)。
[戸川芳郎]
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…当時,書名としては《孝経(こうきよう)》が早くから著名であるが,《老子》などにも〈経伝〉〈経説〉があった(《漢書》芸文志)。 儒家の経典は《荀子》にみえる〈礼・楽(がく),詩・書,春秋〉の5種が古く(勧学篇),漢初に成立した《荘子(そうじ)》天運篇に〈孔子が,詩・書,礼・楽,易・春秋の六経(りくけい)を治め〉というように〈六経〉と称し,同時代の賈誼(かぎ)が《新書》六術篇でこれを〈六芸(りくげい)〉と言いかえている。前漢,武帝期に,国家教学として学官に五経博士が置かれ,儒家がそれを独占する前後から,六経の教義は政術に応用される国家学〈六芸〉の位置をしめ,《論語》《孝経》がこれに準ずる扱いをうけるようになった。…
…7種の〈自由学科artes liberales〉(自由七科)が自由人の修めるべきこととされたが,その内容をみればarsの学的性格は明らかであろう(7種はのちに〈三学科=トリウィウムtrivium〉:文法・論理・修辞と〈四学科=クアドリウィウムquadrivium〉:算術・幾何・天文・音楽に区分される)。なおこの点では歴史的にさらに古く中国(周代)でも士以上の必修科目として六芸(りくげい)(礼・楽・射・御・書・数の技芸)の定められていたことは興味深い。 さて建築をはじめ自由学科に数えられなかった職人的技術の地位を高めたのはルネサンスの巨匠たちであり,その後,諸芸術の躍動につれて18世紀には芸術を統一的にとらえる企ても生じ,やがて美・芸術の原理学たる美学の成立をみるまでになった。…
…
[芸能の意味の変遷]
芸能は元来,芸と能の熟語であった。古代中国の《礼記》《論語》などに見える芸は才技,技術,学習などの意で,《周礼》にいう六芸(りくげい)は,周代官人のまなんで備えるべき礼,楽,射(弓術),御(馬術),書,数に関する学問やわざを意味した。また能は《周礼》《荀子》などによれば,よく事をなしうる才力,才芸の意で,そして司馬遷の《史記》ではこれが熟語となって学問にかかわる技術や能力の意味で用いられた。…
…そこには,この6家の長所と短所が要領よく紹介され,道家を他の5家の長所をかねる卓越した術芸とするのにひきかえ,儒家はより劣った学術にすぎず,墨家集団はすでに没落したことを告げている。 《漢書》芸文志には,国家教学と化した儒家の奉持する経書(けいしよ),つまり〈易(えき),書,詩,礼,楽,春秋〉とそれを補助する〈論語,孝経〉などを,劉漢王朝の国家学〈六芸(りくげい)〉として別格にあつかい,その他の学派を百家九流(きゆうりゆう)の〈諸子〉に分属している。これは,劉向・劉歆(きん)父子が,前漢後期,宮廷の蔵書を整理し,その解題〈別録〉と7分類の書目〈七略〉を作成したのを班固がこの類目にそって〈芸文志〉を〈六芸略,諸子略,諸賦略,兵書略,術数略,方技略〉の順に編成したのである。…
…読み書きそろばんは基礎学力であるという一句に安住せず,読み書きそろばんのうち何がもっとも重要な内容であり,それをどう教えるのがよいかについては不断の研究が必要である。【山住 正己】
【中国】
[古代・中世]
古代における知識人の基礎的な教養は,礼・楽・射・御・書・数にまとめられる6種の技芸,いわゆる〈六芸(りくげい)〉であった。そのうち〈書〉は文字の読み書きを,〈数〉は算数を意味する。…
…人間の理想態たる聖人・先王が作ったと確信されるがゆえに,人間生活の規範のすべてがそこに求められると考えて,経(経書)という。六芸,六学,六籍ともいわれる。【安本 博】。…
※「六芸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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