上品蓮台寺(読み)じょうぼんれんだいじ

精選版 日本国語大辞典 「上品蓮台寺」の意味・読み・例文・類語

じょうぼんれんだい‐じ ジャウボン‥【上品蓮台寺】

京都市北区紫野十二坊町にある真言宗智山派の寺。山号は蓮華金宝山。聖徳太子の草創と伝えられる。宇多天皇が中興。寺宝の「絵因果経」は国宝。地蔵院蓮台寺香隆寺。十二坊。九品三昧院

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デジタル大辞泉 「上品蓮台寺」の意味・読み・例文・類語

じょうぼんれんだい‐じ〔ジヤウボンレンダイ‐〕【上品蓮台寺】

京都市北区にある真言宗智山派の寺。山号は蓮華金宝山。聖徳太子の創建と伝える。所蔵の絵因果経は国宝。地蔵院。蓮台寺。十二坊。蓮華院

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日本歴史地名大系 「上品蓮台寺」の解説

上品蓮台寺
じようぼんれんだいじ

[現在地名]北区紫野十二坊町

船岡ふなおか山の西、蓮台野にある。真言宗智山派、蓮華金宝山と号し、本尊は延命地蔵。洛陽地蔵四十八願の第一〇番。九品三昧くぼんさんまい院・十二じゆうに坊とも称され、かつては香隆こうりゆう寺とも称した。寺伝によれば、聖徳太子が母の菩提寺として開基、宇多法皇が中興したといい、「山州名跡志」に「開基、上宮太子、中興、寛平上皇御落髪後住玉ヘリ、其後寛空法師住持シテ、真言ヲ弘ム。空ハ上皇灌頂ノ師也。其後又寛朝僧正住持ス。此人則 上皇ノ御孫ニシテ、敦実親王第二子、寛空弟子也」とある。香隆寺の名に関して「山城名跡巡行志」には「金宝山九品三昧院、一名香隆寺(中略)香隆寺者旧松原村、属仁和寺、荒廃シテ 後資財流記入当寺今復散逸、開基寛空天徳四年建、康保三年二月六日空於此化、葬本坊北菩提樹院後山」とある。空海の建立とする伝えもあるが、「日本紀略」天徳四年(九六〇)九月九日条に、「権僧正観空、供養北山蓮台寺」とあり、一〇世紀半ば頃、宇多法皇の弟子寛空が勅命によって当寺を創建、もしくは堂宇を再興したと考えるのが妥当であろう。寛空は隣接の香隆寺を兼帯し、その後香隆寺が廃されて当寺に合体し、香隆寺とも称されるようになった。

扶桑略記」寛和三年(九八七)二月条に、四年前宋商人陳仁夾の船で入宋した然が帰朝し、摺本一切経謁等とともに釈迦如来像山崎やまさき(現京都府大山崎町)より蓮台寺に運ばれたことが記されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上品蓮台寺」の意味・わかりやすい解説

上品蓮台寺
じょうぼんれんだいじ

京都市北区紫野十二坊町にある寺。真言(しんごん)宗智山(ちさん)派に属する。蓮華金宝山(れんげきんぽうざん)地蔵院と号する。本尊は延命地蔵菩薩(ぼさつ)。聖徳太子の創建と伝える。960年(天徳4)寛空(かんくう)が再建し、村上(むらかみ)天皇の勅号を賜り、奝然(ちょうねん)が請来(しょうらい)した一切経(いっさいきょう)を安置したこともあった。応仁(おうにん)の兵火にあって堂宇を焼失したが、のち豊臣(とよとみ)秀吉が寺領を寄進し、紀州(和歌山県)根来(ねごろ)山の性盛(しょうせい)が再興した。もとは12坊もあったが、現在は本堂のほか数坊を残すだけである。付近は蓮台野といわれ、東の鳥辺野(とりべの)と並んで墳墓の地であった。寺宝に紙本着色『絵因果経(えいんがきょう)』(天平時代、国宝)や、六地蔵画像と文殊(もんじゅ)菩薩画像各1幅(ともに国重要文化財)がある。

[勝又俊教]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上品蓮台寺」の意味・わかりやすい解説

上品蓮台寺
じょうぼんれんだいじ

京都市北区にある真言宗智山派の寺。蓮台寺,香隆寺,十二坊などとも呼ばれる。寺伝では聖徳太子の開創とし,宇多法皇を中興とするが,『日本紀略』によれば,天徳4 (960) 年宇多法皇の弟子寛空の創建という。 12の塔頭を有していたため十二坊と呼ばれたが,現存するのは3院のみ。村上天皇より上品蓮台の勅額を得たとされる。紙本著色『絵因果経』は奈良時代に制作されたものと考えられ国宝。現存する古代の主要な絵因果経と同様,上段に絵,下段に経文が書いてあり,欠落は多いが,文化史的価値が高い。

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世界大百科事典(旧版)内の上品蓮台寺の言及

【蓮台寺】より

…蓮華金宝山と号する。正称は上品(じようぼん)蓮台寺,俗に九品三昧院(くぼんざんまいいん)また十二坊という。京都の葬送地の一つ,船岡山の西の蓮台野にあり,葬送菩提の寺として栄えた。…

※「上品蓮台寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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