鹿児島県の屋久島の北西約12キロに位置する火山島。周囲約50キロで、島全体が気象庁による常時観測火山に指定されている。1933~34年の噴火では多数の死傷者が出た。2015年5月に爆発的噴火が発生。気象庁は初めて噴火警戒レベル5(避難)を出し、屋久島町は全域に島外避難を指示した。島民は屋久島へ渡り、仮設住宅などで生活、同12月に大半が帰島した。16年6月、警戒レベルが3(入山規制)となり、噴火に伴う避難指示を全て解除した。今年4月に警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き下げられた。
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大隅諸島の一島で、
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「くちえらぶじま」ともいう。鹿児島県大隅(おおすみ)諸島にある霧島(きりしま)火山帯の活火山島。熊毛(くまげ)郡屋久島(やくしま)町に属する。長径(西北西―東南東)約12キロメートル、最大幅約5キロメートルで、面積35.77平方キロメートル。西部は古い火山であり、中央部から東部にかけては安山岩質の活火山体で最高峰の古(ふる)岳(657メートル)や、その北の新岳(600メートル)を含む。島の周囲には海食崖(がい)が発達。島の西部にある中心集落の本村(ほんむら)には、屋久島から定期船が寄港する。屋久島国立公園の域内で、東部の湯向(ゆむぎ)、寝待(ねまち)に温泉がある。人口流出が激しく、1955年(昭和30)1855人が、1985年には272人となり、2005年(平成17)147人。2022年(令和4)3月末日時点の住民登録人口は104人。
[諏訪 彰・中田節也 2022年5月20日]
新岳は、古岳の北西に開いた崩壊地形内に成長した火山である。最近1万年の噴火は古岳・新岳を中心に発生している。古岳では数百年前に火砕流噴火が発生した。噴火記録は新岳の1841年(天保12)の噴火以降存在しており、1931年(昭和6)~1935年と1966年~1980年にかけて活発に噴火した。1933年の噴火では火口から1.7キロメートル東の七釜(ななかま)集落に火山礫(れき)が降下し、13戸が全焼し8名が死亡した。また、この噴火の約1年後、大規模な土石流が発生し死者5名の被害者を出した。1945年に水蒸気噴火、1966年に開始した噴火は1970年代まで断続的に続いた。1980年には水蒸気噴火が発生した。
1999年(平成11)夏ごろから新岳の地震活動が活発化、2001年からは地殻変動が観測され、2005年ごろからは火口付近の温度が上昇、2008年からは火口から放出される二酸化硫黄量の増加がみられ、新岳火口の直下にマグマが貫入したと考えられた。その後、2014年8月3日には、山頂部の隆起が傾斜計で認められ、その1時間半後に水蒸気噴火が発生した。この噴火によって低温の火砕サージが火口から約2キロメートル西に流れ下り、同日、噴火警戒レベルは3(入山規制)に引き上げられた。この後も活発な噴煙活動が続き、2014年末から二酸化硫黄量がそれまで以上に増加し、2015年1月24日と5月23日に有感地震がおこった。同年5月29日には、2014年より規模の大きいマグマ水蒸気噴火が発生。この噴火の数日前から山頂部の地震回数の増加と二酸化硫黄の放出量の低下が認められていた。この噴火に伴って発生した火砕流は火口から全方向に流れ出し、北西方向では居住区である向江浜(むかえはま)海岸まで達した。この噴火直後に噴火警戒レベルが5(避難)に引き上げられ全島避難となった。その後は同年6月19日にごく小規模な噴火があったものの、以降噴火は発生しておらず、二酸化硫黄の放出量が大幅に減少し火山性微動も観測されていないことから、2016年6月14日、火山噴火予知連絡会は「爆発的な噴火の可能性は低下している」との見解を出し、噴火警戒レベルは3(入山規制)に引き下げられた。2018年4月には噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き下げられたが、同年8月15日火山性地震や二酸化硫黄の放出量が増加し、今後、火砕流を伴う噴火が発生する可能性があるため、噴火警戒レベルが4(避難準備)に引き上げられた。
[中田節也 2018年8月21日]
2018年8月29日、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生する可能性が低くなったため、噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き下げられた。さらに2019年2月以降、新岳火口では噴火は観測されておらず、新岳火口付近のごく浅い場所を震源とする火山性地震が減少し、新岳の西側山麓のやや深い場所を震源とする火山性地震が2018年8月16日以降観測されていないことから、2019年6月、噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)に引き下げられた。その後、火山活動の高まり、火山性地震の発生、断続的な噴火の発生により噴火警戒レベルが3となることもあったが、現在は火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性はあるものの火山活動は低下しており、2022年4月時点での噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)となっている。
[編集部 2020年5月20日]
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〈くちえらぶじま〉とも呼ぶ。鹿児島県熊毛郡屋久島町に属し,屋久島の北西方12kmにある火山島。面積37km2。北西から南東に長く,西に番屋ヶ峰(291m),東に古岳(649m),新岳(626m)の2群の山地がある。新岳は1933年爆発し,硫黄採掘部落を全滅させた。その後も,1966年,68年,73年などに爆発を繰り返し,土石流災害や農作物災害を起こしている。このため1960年ころ2200人もいた人口が95年にはわずか167人に減少している。かつてはサツマイモ,サトウキビなどがつくられていたが,現在はほとんどみられず,わずかに製薬会社との契約によるガジュツ(ショウガ科ウコン属。漢方薬原料)が栽培され,他に若干の牛の飼育が行われているにすぎない。しかし最近釣客,観光客が増加し,この方面での発展が期待される。屋久島北東岸の宮之浦との間に町営船が運航されているが,冬季には欠航が多い。中心集落は本村(ほんむら)で,古くから避難港として用いられ,役場の出張所,診療所,小・中学校などがある。
執筆者:服部 信彦
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(2015-6-2)
(2014-8-6)
…〈くちえらぶじま〉とも呼ぶ。鹿児島県熊毛郡上屋久町に属し,屋久島の北西方12kmにある火山島。面積37km2。北西から南東に長く,西に番屋ヶ峰(291m),東に古岳(649m),新岳(600m)の2群の山地がある。新岳は1933年爆発し,硫黄採掘部落を全滅させた。その後も,1966年,68年,73年などに爆発を繰り返し,土石流災害や農作物災害を起こしている。このため1960年ころ2200人もいた人口が95年にはわずか167人に減少している。…
※「口永良部島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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