上市町(読み)かみいちまち

日本歴史地名大系 「上市町」の解説

上市町
かみいちまち

面積:二三六・七七平方キロ

県の東部に位置し、北は滑川なめりかわ市・魚津市、東は下新川郡宇奈月うなづき町、南は立山町、西は富山市・舟橋ふなはし村。北西部は新川平野に属するが、中央部から東部にかけては山岳地帯で、立山町との境にはつるぎ(二九九八メートル)劔御前つるぎごぜん(二七七六・六メートル)奥大日おくだいにち(二六〇五・九メートル)大日岳(二四九八メートル)などがそびえ、中部山岳国立公園の一画をなす。また上市川の支流大岩おおいわ川上流にある日石につせき寺一帯は大岩眼目おおいわさつか県定公園となっている。平野部には上市川のほか白岩しらいわ川が流れ、扇状地を形成している。町域中央の高峰たかみね(九五七・七メートル)の北にある鍋冠なべかんむり(九〇〇メートル)は特異な山頂の形が目立ち、立山町では「鍋冠山に三度雪が降れば里にも雪がくる」と伝えられていたといい、北側には伝説を秘めたツブラ池・かま池などが散在する。町名はかつてから当地方の中心地であった上市村に由来。上市の地名は若杉わかすぎ五社明神の門前市として栄えた三日市みつかいちの上流に市が立てられたことから名付けられたという(上市町誌)。江戸時代以降近隣の村々を結ぶ交通の要として栄えた。現在は町の北西部を富山地方鉄道本線が走り滑川市・富山市と結び、国道八号が町の北端を通る。北陸自動車道も通るがインターチェンジはない。

上市川の上流、南側の台地上にある眼目新丸山さつかしんまるやま遺跡は日本の旧石器研究史を飾る遺跡であり、東北系の石器がおもに見付かっている。平成五年(一九九三)の調査では大量のナイフ形石器や木を加工するときに用いたエンド・スクレーパーなどが出土した。

上市町
かみいちまち

[現在地名]武生市やなぎ町・若竹わかたけ

北陸街道沿いの町で、北は柳町、南は亀屋かめや町に続く。上市村地籍に属し、大永二年(一五二二)八月二二日の府中竜門寺瑞安寄進(越知神社文書)に寄進の田地は「自府中上市宗順買得候」とみえる。上市村は中世以来市場集落として発達していたと思われる。寛永二年(一六二五)の浅井永記録は当町を「経田町六十三軒」と記し(南条郡誌)、正徳元年(一七一一)府中惣絵図から上市町とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上市町」の意味・わかりやすい解説

上市〔町〕
かみいち

富山県東部,立山連峰に源を発する早月川,上市川の上流部と上市川扇状地を占める町。1889年町制。1953年南加積村,宮川村柿沢村,山加積村,大岩村の 5村と合体して上市町となる。1954年相ノ木村,白萩村の 2村を編入。立山信仰(→立山)と結びついて早くから開けた。大岩山日石寺にある磨崖仏(国指定重要文化財)は行基の作と伝えられ,また眼目(さっか)の立山寺(りゅうせんじ)は曹洞宗の北陸大道場であった。中心地区は上市川の谷口にあり,参詣基地,市場町として発達。早月川上流の馬場島(ばんばじま)は剱岳登山の基地。紡績,機械,木材などの工業のほか,製薬と家庭配置薬業に従事する者も多い。農産物は米,野菜が主。東部は中部山岳国立公園に属する。面積 236.71km2。人口 1万9351(2020)。

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