上﨟(読み)じょうろう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

上﨟
じょうろう

身分の高い男子や女子、地位の高い女官や御殿女中、あるいは遊女などをいう。また江戸幕府大奥女中の職名。上﨟年寄(としより)(大(おお)上﨟)と小上﨟(小供(こども)。成人ののち上﨟年寄に進む)の2種類があった。このうち一般に上﨟というときは、上﨟年寄をさした。格式は大奥を支配する年寄の上位にあったが、さほどの権力はもたなかった。日ごろ将軍や御台所(みだいどころ)(将軍正室)の側近に伺候し、膝回(ひざまわ)りの御用を勤め、茶の湯、いけ花、香合(こうあわせ)などの行事には相談役としてその指図にあたった。このほか御台所に凶事のあるときは、その身代りを務める定めであったという。数人が置かれ、いずれも公家(くげ)の女の任ずるところであった。飛鳥井(あすかい)、姉小路(あねがこうじ)、梅渓(うめたに)、正親町(おおぎまち)、錦小路(にしきこうじ)、万里小路(までのこうじ)などを通名(生家の苗字(みょうじ)ともいう)とした。

[北原章男]

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デジタル大辞泉の解説

じょう‐ろう〔ジヤウラフ〕【上×﨟】

《「﨟」は僧侶の夏安居(げあんご)修行の回数を数える語》
修行の年功を積んだ高僧。⇔下﨟
地位・身分の高い人。⇔下﨟
「右衛門督殿(うゑもんのかみどの)の上(かみ)に着き給ふ―は一人もおはせざりつるものを」〈平治・上〉
上﨟女房」の略。
「あるなかの―なれど、おほやけに世をしづめ、久しう仕うまつりたる人の女なり」〈宇津保・国譲下〉
身分の高い女性。貴婦人。
「やごとなき―の」〈謡・紅葉狩
江戸時代、大奥に仕えた上級の御殿女中をさす職名。
女性。特に、若い女性。
「わかい―のおやさしい、年寄りと思し召し、嫁子もならぬ介抱」〈浄・冥途の飛脚
遊女。女郎。
「われあまた―を持ちて候ふ中に」〈謡・班女

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世界大百科事典 第2版の解説

じょうろう【上﨟】

元来は身分の高い女官の称であるが,江戸時代には幕府の大奥女中の職名の一つ。上﨟年寄大上﨟小上﨟などがあった。将軍の正室御台所に近侍してその相談役となる。年寄と並ぶ重職であるが,年寄のように奥女中支配の実権はなかった。京都の公家の女が招かれる場合が多く,そのときは生家の苗字をとって姉小路,正親町(おおぎまち)などと呼ばれた。【村井 益男】

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世界大百科事典内の上﨟の言及

【一蓮寺】より

…山梨県甲府市にある時宗(じしゆう)系の単立寺院。稲久山福応院と号す。かつては一条道場とも称した。開山は法阿弥陀仏朔日,開基は一条時信。1312年(正和1)の建立。中世には武田氏一族の保護を受けて栄えた。近世・近代では時宗の指導者遊行上人の候補者が住職となる重要寺院であった。1952年時宗から独立。後醍醐天皇の勅額〈弌蓮寺〉や中世~近世初頭の過去帳2冊を有する。【今井 雅晴】…

【滝口】より

…五位,六位の武勇ある侍のなかから,ことに弓術に秀でた者を補し,宮中の警衛にあたるほか,天皇の乗船に供奉し,また諸種の雑役にあたった。20名のうち勤務年数の長い者から一﨟(ろう),二﨟,三﨟の3人を上﨟(じようろう)といい,四﨟を事行(じぎよう)といった。上﨟は10日,四﨟以下は5日の勤務であった。…

【女房】より

…上皇以下諸院宮や摂関以下貴族の家に仕える女性も,上級の者は女房と称された。順徳天皇撰の《禁秘抄》などによれば,宮中の女房は,役職や出身によって上﨟・小上﨟・中﨟・下﨟に分けられ,上﨟は二位・三位の典侍(ないしのすけ)(尚侍(ないしのかみ)は事実上消滅)や大臣の女など,小上﨟は公卿の女,中﨟は掌侍・命婦(みようぶ)で殿上人・諸大夫の女,下﨟は侍や神官などの女であり,これらの区別により服装や職務に差が設けられた。また女房は本名をもってよばれず,官名や国名などをつけてよばれたが,それにも上記の身分に応じて差があった。…

※「上﨟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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