出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
日本舞踊の一流派。中村流を称するものには五つの系統があるというが、主要な二つをあげる。
(1)中村歌右衛門(うたえもん)系 流祖は3世中村歌右衛門(1778―1838)。2世家元は流祖の門弟4世歌右衛門。3世は2世の養子4世中村芝翫(しかん)。4世は3世の養子5世歌右衛門。5世は4世の長男5世中村福助。6世は5世の弟6世歌右衛門。7世は5世長男の7世福助(現7世芝翫)。
(2)中村弥八・虎治(とらじ)系 流祖は明和(めいわ)・安永(あんえい)期(1764~81)にかけて活躍した中村弥八(1703―77)という。男性は弥八、女性は虎治を継ぐ決まりで、2世家元は流祖の娘が中村虎治となる(2世中村仲蔵(なかぞう)の妻)。3世家元は2世の養子で弥八を継いだが早世。4世家元は2世家元の門弟が養女となり、2世虎治を襲名。5世家元は初世虎治の門弟の娘で、3世虎治を襲名。6世家元は3世虎治の門弟で、4世虎治を襲名。7世家元は4世虎治の姪(めい)で、5世虎治を襲名(1887―1968)。8世家元は5世虎治の娘小虎が6世虎治を襲名(1907―1988)。6世虎治没後、その弟中村小十郎が流派の代表者となったが、彼もまもなく没した。その後は青森在住の門弟が7世虎治を継ぎ、活動している。なお、4世虎治は市川粂八(くめはち)一座の女役者中村歌吉(歌昇)である。近年は目だつ活動がない。
[如月青子]
… 振付師から出た流派では,志賀山万作を流祖とする志賀山流,江戸の振付師藤間勘兵衛から出た藤間流,西川仙蔵を祖とする西川流,幕末期から明治にかけて活躍した初世花柳寿輔が開いた花柳流,若柳吉松の若柳流や,市山七十郎の市山流等がある。また俳優の家から出たものに3世中村歌右衛門を初世とする中村流があり,同じ中村流を名のるものに,初世中村富十郎を祖とするもの,中村弥八(1703‐77)を祖とする虎治派,3世坂東三津五郎より出た坂東流があり,そのほか水木流,岩井流,市川流,尾上流等がある。さらに新舞踊からも新流派はあり,藤蔭流,五条流,林きむ子(1886‐1967)の林流,西崎緑の西崎流がある。…
※「中村流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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