原発から出た使用済み核燃料を一時的に保管する施設。原発のプールで一定期間冷却した燃料が対象。燃料からプルトニウムとウランを取り出す日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成が遅れ、国内の原発では燃料の保管場所の確保が課題となっている。東京電力と日本原子力発電は2005年、リサイクル燃料貯蔵を設立。国内初の中間貯蔵施設として、両社の原発から出た燃料3千トンを保管する1棟目が13年に完成、さらに容量2千トンの2棟目を増設予定。
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汚染土壌や使用済み核燃料などの放射性廃棄物を、最終処分や再利用するまで一定期間保管する施設。日本では、東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の汚染土などを管理・保管する「福島の中間貯蔵施設」と、原発から出た「使用済み核燃料の中間貯蔵施設」をさす場合の二つに分かれる。一時的とはいえ放射性物質を保管するため、いずれも立地・建設に地元住民の反対や、半永久的保管場所になるのではないかとの懸念が伴うという共通点をもつ。
福島の中間貯蔵施設は、2015年(平成27)から福島第一原発周辺の福島県大熊(おおくま)町と双葉(ふたば)町にまたがる1600ヘクタールに建設され、2017年に稼働した。放射性物質の受入・分別管理施設、減容化(焼却)施設、土壌・廃棄物貯蔵施設からなり、放射性物質汚染対処特別措置法(平成23年法律第110号)に基づき、除染で取り除いた土壌、瓦礫(がれき)、草木、落ち葉・枝、道路側溝の泥などのほか、1キログラム当り10万ベクレルを超える高濃度放射性物質を含む焼却灰や下水汚泥などを貯蔵する。福島県内の汚染土壌や廃棄物は最大2200万立方メートルと推定されており、中間貯蔵施設は2200万立方メートルの貯蔵能力をもつ。総事業費は約1兆円。建設・維持管理は国が責任を負い、周辺大気や地下水の放射線量を常時モニタリング監視している。中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成15年法律第44号)付帯決議に基づき、2045年までに、福島県外へ移すことになっているが、最終処分場の候補地は決まっていない。
使用済み核燃料の中間貯蔵施設は高レベル放射性廃棄物施設ともよばれ、原発から出た使用済み核燃料を再処理するまで最長50年間、貯蔵容器(キャスク)で保管する。東京電力ホールディングスと日本原子力発電の共同出資会社リサイクル燃料貯蔵(RFS)が青森県むつ市に中間貯蔵施設「リサイクル燃料備蓄センター」を建設しており、2021年度(令和3)に稼働する見通しである。貯蔵量は5000トンで、毎年約200~300トン程度を搬入する計画である。ただ使用済み核燃料は2020年12月時点で約1万9000トンあり、関西電力、中部電力、四国電力、九州電力などもそれぞれ中間貯蔵施設の建設を計画しているが、地元自治体の反対で計画は難航。電力10社で構成する電気事業連合会は2020年、電力各社がむつ市の中間貯蔵施設を共同利用する構想を提示したが、地元むつ市が反発している。
[矢野 武 2021年6月21日]
(原田英美 ライター/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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