日本大百科全書(ニッポニカ) 「丸岡」の意味・わかりやすい解説
丸岡
まるおか
福井県北部、坂井郡(さかいぐん)にあった旧町名(丸岡町(ちょう))。現在は坂井市東部を占める地域。福井平野の北東部に位置する。旧丸岡町は1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)鳴鹿(なるか)、磯部(いそべ)、高椋(たかぼこ)、長畝(のうね)、竹田(たけだ)の5村と合併、金津(かなづ)町(現、あわら市)の一部を編入。2006年(平成18)同郡三国(みくに)町、春江(はるえ)町、坂井町と合併して市制を施行、坂井市となった。国道8号、364号、北陸自動車道が通じる。旧市街地は竹田川支流の井勝(いかつ)川のつくる小扇状地の末端に発達し、その丘陵地に丸岡城(天守は国指定重要文化財)がある。中心の丸岡は、1576年(天正4)柴田勝家(しばたかついえ)の甥(おい)の勝豊(かつとよ)が豊原(とよはら)城をこの地に移したことに始まる。江戸時代は本多氏、有馬氏が領有、北陸街道(国道8号)の宿駅も兼ねて繁栄したが、1896年(明治29)北陸線(現、JR)の敷設に反対し、鉄道は西方の坂井町を通過することになり町勢は停滞した。産業の中心は繊維工業で、とくにマーク類、ワッペンなどの細幅織物は全国の約7割を占める。近年は福井市のベッドタウンとして住宅団地の造成が盛んである。竹田地区の坪川家住宅(国の重要文化財)は中世の豪族の居館の名残(なごり)をとどめる。そのほか、国指定史跡として六呂瀬山古墳群がある。
[木下昭三]
『『丸岡町史』(1989・丸岡町)』