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五言詩 ごごんしWu-yan-shi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

五言詩
ごごんし
Wu-yan-shi

中国,古典詩の形態の一つ。5言 (5文字) から成るで構成された詩の総称古代の『詩経』『楚辞』の詩にも部分的には5言の句は見受けられるが,全体が5言の句から成る詩は後漢の頃につくられたと推定される『古詩十九首』あたりに始る。以後,六朝末に七言詩がつくられはじめ,唐代に入って両者がともに行われるようになるまで,五言詩は中国の詩の圧倒的な主流であった。

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世界大百科事典 第2版の解説

ごごんし【五言詩 wǔ yán shī】

中国の詩体名で,五字(5音節)句によって構成された詩を言い,七言詩とともに長く中国詩の主要形式であった。押韻平仄(ひようそく)・対句および句数(偶数句)によって,古体五言古詩と,今(近)体の五言律詩五言排律五言絶句に分類される。律詩は8句,排律は10句以上,絶句は4句より成り,平仄に規定があり,同じ韻をふまねばならず(一韻到底という),律詩・排律は中で対句を用いる必要があるが,古詩は句数が一定せず,平仄に規定がなく,押韻も途中で換韻することが可能である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

五言詩
ごごんし

一句が5字、つまり5シラブルの句からできている中国古典詩の総称。四言を基調とする『詩経(しきょう)』、三・六言の『楚辞(そじ)』のなかにも、すでに部分的に五言の句はみられるが、全体が五言の句からなる詩は、後漢(ごかん)の班固(はんこ)(32―92)の「詠史(えいし)詩」あたりが初めである。従来は、前漢の李陵(りりょう)と蘇武(そぶ)の唱和した詩(前100ころ)が五言の始めと伝えられていたが、今日ではこれは偽作とされる。前漢のなかば過ぎから、民間の歌謡に五言の形をとるものが現れており、後漢の初めになって、文人が手がけるようになったものであろう。その発生の源を『詩経』や『楚辞』に求める説もあるが、前漢武帝ごろから盛んになった外来音楽の流入の刺激によって、新たな5シラブルの歌がおこったとする説が有力である。
 文人の手すさびの域を脱して、本格的な五言詩の形成をみるのは、後漢なかば過ぎ(2世紀)の「古詩十九首」の出現を待たねばならない。無名の詩人たちの残したこの19首の詩は、きわめて優れたものであり、五言詩の基を開いたものとして、後世に与えた影響は多大である。後漢末の建安年間(196~220)には、魏(ぎ)の曹操(そうそう)・曹植(そうしょく)父子を中心に多くの詩人が五言詩の時代の幕を開け、以後の六朝(りくちょう)時代350年は五言詩の全盛期となった。五言詩は、四言詩が表現が重々しく、淡々とした味わいであるのに対し、より複雑な感情をより流動的に歌うのに適し、修辞の面でも洗練の度を加えていった。六朝末に七言詩がおこり、やがて唐に入って五言詩と肩を並べるようになると、七言の華麗な趣(おもむき)に対し、五言は典雅な趣を特色とするようになる。唐のなかば、8世紀以後、律詩・絶句の近体詩と古体詩の形式が定まると、五言と七言とはともにそれぞれの形式を二分する形で、五言絶句・七言絶句、五言律詩・七言律詩、五言古詩・七言古詩の各体が固定し、後世へと受け継がれていった。[石川忠久]

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世界大百科事典内の五言詩の言及

【詩】より

…しかし,この形式すなわち〈辞〉は漢代に入ると〈賦(ふ)〉とよばれる長編の美文へと転化して,韻文と散文の中間的な性格をもつものとなり,伝統的なジャンルの区分においては〈詩〉のなかには入れられなくなった。 漢代になると,民間の歌謡のなかから〈五言〉の形式が知識人たちによって採り入れられて,〈五言詩〉が成立する。《文選(もんぜん)》に収められる作者不明の《古詩十九首》は,〈五言詩〉の最古のものに属する。…

【中国文学】より

…これら歌謡は文人の詩歌の源泉ともなって,彼らの情操を養った。
[五言詩]
 五言詩が発生したときはまだ明らかでないが,後漢の末〈建安時代〉(196‐219)の文人たちはすでにこれを作っていた。〈古詩十九首〉は少しく先だち,民謡の歌詞に手を加えて成ったと思われる(古詩)。…

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