日本歴史地名大系 「井原市」の解説 井原市いばらし 面積:八九・五〇平方キロ県の南西部に位置し、北は後月(しつき)郡芳井(よしい)町、東は小田(おだ)郡美星(びせい)町・矢掛(やかげ)町、南は笠岡市、西は広島県深安(ふかやす)郡神辺(かんなべ)町・同県福山市と接する。南部は丘陵地帯、北部は吉備高原の南辺部にあたり、その多くが標高二〇〇メートルを超える台地で、棚田や段々畑がみられる。小田川が神戸(こうど)川・雄神(おがみ)川などの支流を合せて中央部の谷間を東流する。北西部は南東流する高屋(たかや)川の流域で、同川は高屋町の南端付近で大きく流れを変え、西流して神辺町域へ向かっている。集落は小田川流域やその氾濫原、また山間低地などに発達。市域のほぼ中央にあたる井原町を中心に道路網が整備され、県道倉敷―井原線で東方と、同笠岡―井原線で南接する笠岡市と結ばれる。国道三一三号は神辺町から井原市の中心部に入り、北上して芳井町に続いている。〔原始・古代〕東部の小田川右岸域、木之子(きのこ)町でサヌカイト製石鏃が発見され、同所からは弥生式土器が出土、対岸の東江原(ひがしえばら)町からも弥生式土器が出土している。笹賀(ささか)町の金敷寺裏山(かなしきでらうらやま)の弥生期の墳墓は注目される遺跡で、ほかに古墳約四〇ヵ所が確認される。古代後月郡五郷(和名抄)のうち荏原(えはら)郷が東部、県主(あがた)郷が南東部に所在比定され、駅家(うまや)郷についても中央部から西部に比定する説がある。また中央南部は出部(いずべ)郷の郷域とされるが、さらにその南、現市域の南端部は小田郡の出部郷(和名抄)の郷域とされ、以前は出雲部集団の住する一体性を有した地域であったとも考えられる。七日市(なぬかいち)町、上・下の出部(いずえ)町、高屋町などの低地では条里制の地割が認められる。 井原市いばらし 2005年3月1日:井原市が小田郡美星町、後月郡芳井町を編入⇒【美星町】岡山県:小田郡⇒【芳井町】岡山県:後月郡⇒【井原市】岡山県 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「井原市」の意味・わかりやすい解説 井原〔市〕いばら 岡山県南西部,高梁川の支流小田川流域から吉備高原南端に広がる市。広島県に接する。 1953年井原町,高屋町,西江原町の3町と青野村,木之子村,県主村,荏原村,山野上村,稲倉村,大江村の7村が合体して市制。 2005年美星町,芳井町を編入。中心市街地の井原は近世には旧山陽道の宿場町ならびに吉備高原の谷口集落として発展。当時はワタ (綿) ,アイ (藍) が栽培され,参勤交代の大名のみやげ品になった。江戸時代からの伝統をもつ備中小倉織 (→小倉織 ) の産地。中小の織物工場が多く,デニムの生産地として知られる。近年は合成繊維が主力で,自動車の部品工場もある。 1965年備後工業整備特別地域に指定。北部の芳井では石灰石が採掘される。農村部ではタバコ,ブドウ,マツタケなどを産する。井原温泉,鬼ヶ岳温泉といった温泉地,天神峡,鬼ヶ岳 (国指定名勝) といった景勝地,国の重要文化財である不動明王坐像,地蔵菩薩立像などを所蔵する高山寺などの古寺がある。また平櫛田中の作品を所蔵する田中美術館がある。国道 313号線,486号線が通じる。面積 243.54km2。人口 3万8384(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by