仏名会(読み)ブツミョウエ

デジタル大辞泉 「仏名会」の意味・読み・例文・類語

ぶつみょう‐え〔ブツミヤウヱ〕【仏名会】

陰暦12月15日(のちに19日)から3日間、宮中諸国寺院仏名経を読んで三世諸仏名号を唱え、その年の罪障を懺悔さんげし消滅を祈る法会仏名懺悔。お仏名。 冬》板敷に光るつぶりや―/嘯山

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精選版 日本国語大辞典 「仏名会」の意味・読み・例文・類語

ぶつみょう‐えブツミャウヱ【仏名会】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。古くは陰暦一二月一五日より、後には一九日より三日間、禁中および諸寺院で仏名経を誦し、三世十方諸仏の名号を唱えて罪障を懺悔する法会。仏名懺悔。仏名。御仏名。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「摂州住吉神宮寺 修仏名会」(出典日次紀事(1685)一二月一九日)

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改訂新版 世界大百科事典 「仏名会」の意味・わかりやすい解説

仏名会 (ぶつみょうえ)

御仏名,仏名ともいう。《三劫三千諸仏名経》(《仏名経》)に基づき,毎年12月中旬の3昼夜にわたり,内裏清涼殿で過去・現在・未来の三千仏名を唱え,その年の罪障を懺悔し,国家の安寧皇室息災などを祈願した法会。歳末に各種の《仏名経》を内裏で読誦したことは,764年(天平宝字8)12月の《正倉院文書》に初見する。以後ときに仏名読誦が行われたが,年中行事として定着したのは,838年(承和5)元興(がんごう)寺僧静安発願で,清涼殿において願安,実敏,道昌などにより3昼夜にわたって内裏仏名懺悔が行われてからである。853年(仁寿3),従来行われていた12月15日から17日を19日から21日に改め,以後恒例となった。871年(貞観13)に静安の弟子賢護は,仏名会のために一万三千仏を描いた画像72幅を作り,内裏・太政官や五畿内・七道諸国に分置し,仏名会の本尊として祈修された。歳末に行われた仏名懺悔の法会は,その後諸大寺でも行われるようになり盛儀を極めたが,室町時代に中絶した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仏名会」の意味・わかりやすい解説

仏名会
ぶつみょうえ

御仏名(おぶつみょう)、仏名懺悔(さんげ)ともいう。仏の名、仏名経を唱えて、懺悔滅罪(めつざい)を期する行事。過去・現在・未来の三世、八方上下計十方の国にいます三千ないし十万の仏の名を唱え礼拝(らいはい)する。日本では、9世紀ころに静安が始めたといい、宮中仁寿殿などで12月19日から3日間、賢護が奏進した一万三千仏画像を掲げ、地獄変の屏風(びょうぶ)を立て回し唱礼するようになった。のち1月の行事となった。『枕草子(まくらのそうし)』『栄花物語』『三宝絵詞(えことば)』に出る。

[木内曉央]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仏名会」の意味・わかりやすい解説

仏名会
ぶつみょうえ

『仏名経』 (12巻) を読誦する法会。陰暦 12月 19日から3日間,清涼殿や諸国の寺院で行われた。5~6世紀の中国で種々の仏名経典が翻訳,編集されたが,菩提流支の訳した『仏名経』には1万 1093の仏陀,菩薩の名前が列挙されている。

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