他人のために物品を倉庫に保管することを目的とする営業(商法597条)。その営業の主体を倉庫営業者といい、保管すなわち寄託の引受けを業とすることにより商人となる(同法502条10号・4条1項)。専門的な倉庫営業者の適当な設備と管理を利用することによって資本および経費を節約できるのみならず、盗難・火災の予防にもなる。また、倉庫証券を利用することにより、倉庫に寄託した商品の流通を容易ならしめる。すなわち、商人は倉庫証券によって在庫品を自由に売却・質入れして金融の便を得ることができるし、大量の商品につき取引ごとにこれを運送する必要がないから人件費の節約に役だち、商品の保存にも有利であるから大量取引を可能にする。保管の方法としては、特定物の寄託に限らず、数人の寄託者の寄託物を混合して保管する混蔵寄託でもよい。しかし受託者が寄託物の所有権を取得し、後日これと同種・同等・同量の物を返還する消費寄託は含まれない。倉庫営業者は善良な管理者の注意をもって受寄物を保管し、これを寄託者または倉庫証券の所持人に返還する義務を負う。倉庫営業者は寄託者の請求により倉庫証券を発行する義務を負う。これは寄託物の返還請求権を表彰する有価証券であり、原則として所有権移転のための預り証券と、質権設定のための質入証券とを発行することになっている(複券主義)。しかし、日本では複券の利用に慣れず、また銀行が質入証券に対して金融の便を与えなかったので、1911年(明治44)の商法の改正により単券主義をも併用し、両証券にかえて単一の倉荷証券を発行することができるとしたため、実際界では寄託物の譲渡・質入れともにこの倉荷証券によって行われている。
[戸田修三]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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