元元集(読み)ゲンゲンシュウ

デジタル大辞泉 「元元集」の意味・読み・例文・類語

げんげんしゅう〔ゲンゲンシフ〕【元元集】

南北朝時代神道書。全8巻。北畠親房著。延元2年=建武4年(1337)ごろ成立日本の神道の起源を調査し、和漢古典から資料引用、分類して自説を加えたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「元元集」の意味・読み・例文・類語

げんげんしゅうゲンゲンシフ【元元集】

  1. 南北朝時代の神道書。八巻。北畠親房著。建武四から暦応元年(一三三七‐三八)頃の成立とされる。承応二年(一六五三)刊。日本の根源の歴史的究明をはかり、記紀などの和漢の古典から資料を抜粋、分類し自説を述べる。

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改訂新版 世界大百科事典 「元元集」の意味・わかりやすい解説

元元集 (げんげんしゅう)

南北朝時代の神道書。北畠親房の編になり,8巻。1337年(延元2・建武4),親房は伊勢国に赴いて後醍醐天皇方の勢力拡大のために奔走したが,同国滞在中に外宮の祠官度会(わたらい)家行に接して,伊勢神道の教説を学んだ。伊勢で《日本書紀》《旧事本紀》《古語拾遺》《新撰姓氏録》《延喜式》などを読み,神道書を読破した親房は,それらの重要な部分を抜書きし,家行の主著類聚神祇本源》などの構成に倣いながら,39年(延元4・暦応2)ころに《元元集》を編纂した。その内容は,神道と神宮の部からなり,神道の部は天地開闢(かいびやく),本朝造化,神皇紹運,天神化現,地神出生,神器伝受,神籬建立,神国要道の8編に分けられ,神宮の部は内宮鎮座,外宮鎮座,天御量柱,御形文図,神宣禁誡の5編に分けられている。各編の冒頭には,親房の各編についての考えが述べられているが,基本的な資料を抜粋し配列したものである。親房は,この書に集成した神道の知識をもとに,神道の理論化を試みて《東家秘伝》を著し,神々に関する具体的な知識をまとめて《二十一社記》を書いた。その後親房は奥州の南朝軍を組織するために常陸に下ったが,その際《元元集》を携行したらしく,常陸の城中で《神皇正統記》を著すにあたり,本書を資料としたことがわかっている。本書の書名は,《倭姫命世記》に,神道の極致を示すことばとして〈元元入元初,本本任本心〉とあることによっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「元元集」の意味・わかりやすい解説

元元集
げんげんしゅう

中世の神道書。8巻。北畠親房の編著と伝えられる。延元2 (1337) ~3年の成立。神道と神宮の両部に分れており,天地開闢編から神宣禁誡編までの 13編。度会 (わたらい) 家行の『類聚神祇本源』『瑚 璉集』を基にし,『日本書紀』や『旧事本紀』などの文書を抄録したもので,大部分は史料の羅列であるが,編首には著者の所論が掲げられている。

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旺文社日本史事典 三訂版 「元元集」の解説

元元集
げんげんしゅう

南北朝時代,北畠親房の神道書
1337年ころ成立。8巻。伊勢神道の大家,村松家行との親交により,『日本書紀』『旧事紀 (くじき) 』『古語拾遺』『延喜式』などから抜粋分類し,自己の見解を加えながら神道および神宮の史的根源を説いた。

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世界大百科事典(旧版)内の元元集の言及

【偽書】より

…他の4部には随所に儒仏老荘の混交がある。従来北畠親房の述作と伝えられている《東家秘伝》と《元元集》の2書も度会家の家説の色が濃い。このように鎌倉時代には有名な著書に仮託が多く行われた。…

※「元元集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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