契約に基づいて,他人の漁業権に属する漁場において,その漁業権の内容とされている漁業の全部または一部を営む権利(漁業法7条)。入漁権は,漁業権のように行政庁の免許という行政行為によって発生する権利ではなく,漁業権者と入漁を希望する者との間の私的契約によって発生する権利である。入漁権を取得できるのは,漁業協同組合およびその連合会に限定されており(42条の2),漁業権の種類も共同漁業権または特定区画漁業権の組合管理漁業権に限られている。漁業権者が不当に入漁権の設定を拒んだり,入漁権設定後に一方がその変更・消滅を求めて相手方が不当にこれを拒んだ場合には,海区漁業調整委員会の裁定によって入漁権を設定し,または変更し,消滅させる道が開かれている。入漁権は,漁業権と同様に物権とみなされており,物権の有する排他性も認められる。しかし,その処分については強い制約をうけ,譲渡または法人の合併による取得の目的となるほか,権利の目的となることはできない(43条)。したがって貸付けはもちろん担保に供することも許されない。また,譲渡についても,漁業権者の同意を必要とする。入漁権の存続期間は,特別の定めのない場合は,漁業権の存続期間中存続するものとみなされる。また,入漁権者はいつでもその権利を放棄することができる。
→漁業権
執筆者:金田 禎之
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漁業権者との契約に基づいて、共同漁業権または特定の区画漁業権に属する漁場において、その漁業権の内容である漁業の全部または一部を営む権利(漁業法第7条)。
[編集部]
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