八体(読み)ハッタイ(その他表記)bā tǐ

デジタル大辞泉 「八体」の意味・読み・例文・類語

はっ‐たい【八体】

漢字の8種の書体諸説あり、漢代の「説文解字」では、秦の八体として大篆だいてん小篆しょうてん刻符・虫書・摹印ぼいん署書殳書しゅしょ隷書れいしょを挙げる。
発句ほっく風姿のうえから分類した8種の体。幽玄・有心・無心・悠遠・風艶・風情ふぜい・寓言・風曲。
連句の付け方の8種。→七名しちみょう八体

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精選版 日本国語大辞典 「八体」の意味・読み・例文・類語

はっ‐たい【八体】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 漢字の八種類の書体。諸説あるが、「漢書‐芸文志」および許慎の「説文解字序」によれば、大篆(だいてん)・小篆(しょうてん)・刻符・虫書・摹印(ぼいん)・署書・殳書(しゅしょ)・隷書(れいしょ)をさす。〔性霊集‐四(835頃)〕
    1. [初出の実例]「凡六文八体のすがたをあらはす輩」(出典:古今著聞集(1254)七)
    2. [その他の文献]〔沈約‐斉故安陸昭王碑文〕
  3. 発句を風姿の上から分類した八種類の体。幽玄・有心・無心・悠遠・風艷・風情(ふぜい)・寓言・風曲をさす。
    1. [初出の実例]「右発句八躰の事は自他の句躰何々と見定めよくその趣向を改め脇に及ばすべきの鏡なり」(出典:俳諧・有也無也関(1764)発句八躰之事)
  4. 連句の付け方の八種類。其人(そのひと)・其場(そのば)時節時分・天相・時宜・観相・面影をさす。支考の説いた説。〔俳諧・俳諧古今抄(1730)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「八体」の意味・わかりやすい解説

八体 (はったい)
bā tǐ

漢字の書体8種をいう。一つは〈説文解字序〉に見える〈秦書八体〉で,大篆(だいてん),小篆,刻符,虫書,摹印(ぼいん),署書,殳書(しゆしよ),隷書(れいしよ)をいう(秦書)。一つは唐の張懐瓘(ちようかいかん)の《書断》に見える〈八体〉の語。たとえば,欧陽詢(おうようじゆん)を評して〈八体ことごとく能(よ)くす〉などの例がある。その細目については,とくに記述はないが,彼のあげる十体書の目の中から,古文と大篆を除いた籀文(ちゆうぶん),小篆,八分(はつぷん),隷書,章草,行書,飛白(ひはく),草書の八体を指すようである。籀文は石鼓文に見える書体。小篆は泰山刻石などに見える書体。八分については定説はないが,ここでは漢隷を指す。隷書は今でいう楷書。章草は史游の《急就篇》などに見える書体。行書は王羲之の《蘭亭序》などに見える書体。飛白はやや疑問であるが則天武后の《昇仙太子碑》の題額に見える書体。草書は現存する名品が多いが,ここでは偽帖といわれる《冠軍帖》をあげておく。
書体
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の八体の言及

【書体】より


[書体分類の沿革]
 (1)漢魏六朝 書体の分類が中国で最初に試みられるのは後漢時代で,80年ころ成立の《漢書》芸文志で,古文,奇字,篆書,隷書,繆篆(びゆうてん),虫書の六体をあげる。次に,100年ころの成立とされる許慎《説文解字》叙には,秦の八体として,大篆,小篆,刻符,虫書,摹印(ぼいん),署書,殳(しゆ)書,隷書をあげ,新(しん)の六書として,古文,奇字,篆書,佐書,繆篆,鳥虫書をあげている。およそ書体を分類することは,それを試みる時点にみられる文字資料を形態,新旧,記録素材,用途等によって分類したもので,その分け方の基準や呼称もこのころはまだ統一されていない。…

※「八体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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