はっ‐たい【八体】
〘名〙
※古今著聞集(1254)七「凡六文八体のすがたをあらはす輩」 〔沈約‐斉故安陸昭王碑文〕
②
発句を
風姿の上から分類した八種類の体。幽玄・有心・
無心・悠遠・風艷・風情
(ふぜい)・寓言・風曲をさす。
※
俳諧・有也無也関(1764)発句八躰之事「右発句八躰の事は
自他の句躰何々と見定めよくその趣向を改め脇に及ばすべきの鏡なり」
③
連句の付け方の八種類。其人
(そのひと)・其場
(そのば)・
時節・
時分・天相・
時宜・観相・
面影をさす。
支考の説いた説。〔俳諧・俳諧古今抄(1730)〕
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デジタル大辞泉
「八体」の意味・読み・例文・類語
はっ‐たい【八体】
1 漢字の8種の書体。諸説あり、漢代の「説文解字」では、秦の八体として大篆・小篆・刻符・虫書・摹印・署書・殳書・隷書を挙げる。
2 発句を風姿のうえから分類した8種の体。幽玄・有心・無心・悠遠・風艶・風情・寓言・風曲。
3 連句の付け方の8種。→七名八体
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はったい【八体 bā tǐ】
漢字の書体8種をいう。一つは〈説文解字序〉に見える〈秦書八体〉で,大篆(だいてん),小篆,刻符,虫書,摹印(ぼいん),署書,殳書(しゆしよ),隷書(れいしよ)をいう(秦書)。一つは唐の張懐瓘(ちようかいかん)の《書断》に見える〈八体〉の語。たとえば,欧陽詢(おうようじゆん)を評して〈八体ことごとく能(よ)くす〉などの例がある。その細目については,とくに記述はないが,彼のあげる十体書の目の中から,古文と大篆を除いた籀文(ちゆうぶん),小篆,八分(はつぷん),隷書,章草,行書,飛白(ひはく),草書の八体を指すようである。
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世界大百科事典内の八体の言及
【書体】より
…
[書体分類の沿革]
(1)漢魏六朝 書体の分類が中国で最初に試みられるのは後漢時代で,80年ころ成立の《漢書》芸文志で,古文,奇字,篆書,隷書,繆篆(びゆうてん),虫書の六体をあげる。次に,100年ころの成立とされる許慎《説文解字》叙には,秦の八体として,大篆,小篆,刻符,虫書,摹印(ぼいん),署書,殳(しゆ)書,隷書をあげ,新(しん)の六書として,古文,奇字,篆書,佐書,繆篆,鳥虫書をあげている。およそ書体を分類することは,それを試みる時点にみられる文字資料を形態,新旧,記録素材,用途等によって分類したもので,その分け方の基準や呼称もこのころはまだ統一されていない。…
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