コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

八股文 ハッコブン

百科事典マイペディアの解説

八股文【はっこぶん】

中国,明初〜清末の科挙の答案論文に使用された文体。股は対句の意で,経書の中から一句か一節が出題され,受験者は破承・起講・入題・起股(前比または提比)・虚股(中比)・中股(大比)・後股(後比)・結束の8部形式で論文を構成,うち起股〜後股の4部は,それぞれ二つの対句を用いたので,八股文と呼ばれた。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

はっこぶん【八股文 bā gǔ wén】

中国の文体名。官吏登用試験である科挙の答案文。〈経義〉〈制芸〉〈時文〉などの別名がある。〈経義〉とも呼ばれるのは,四書五経のなかから選んだ文句が出題され,その義(意味)を受験者がみずから聖賢になったつもりで敷衍したからである。その文章はすこぶる形式に厳格で,明代になって完成した。明・清時代の知識人はいかに詩文に優れ学識が深かろうと,この文体に習熟しなければ科挙に合格はしなかった。明代きっての文豪帰有光や乾隆の格調派の指導者で帝の左右の文臣沈徳潜(しんとくせん)が進士になったのが,60歳を超えていたことからも,その一端がしのばれよう。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

はっこぶん【八股文】

〔「股」は対偶の意。四つの股がそれぞれ「比」と称する二つの対句から成っていることからいう〕
中国、明・清代の科挙の答案に使用された文体。四書五経中から出題された章句の意を敷衍ふえんし、対句を用いて一編の文章に構成する。破承・起講・入題・起股・虚股・中股・後股・結束の各段より成る。八股。四書文。経義文。制義文。時文。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

八股文
はっこぶん

中国の文体の一種。明(みん)・清(しん)代の科挙(かきょ)(高級官吏資格試験制度)に課した特別の形式の文章で、四書・五経の一、二句あるいは数句を題として、古人に成り代わってその意味を敷衍(ふえん)することが制定当初の趣旨であった。1370年(洪武3)8月9日の郷試(きょうし)に初めて採用してから1901年(光緒27)に廃止されるまで、知識階級を悩ませた。初めは出題方法や文章の形式に特別の規定はなかったが、1384年3月に公布した「科挙成式」(科挙定式ともいう)に、四書は『朱子(しゅし)』の集注(しっちゅう)、『易経』は『程氏易伝』と『朱子本義』のように、それぞれ根拠とする書物が指定された。永楽(えいらく)年間(1403~24)には『四書五経大全』を主として使うようになり、経文の解釈は一本化した。その結果として文章形式がしだいに固まって、1487年(成化23)の会試以後は、破題、承題、起講、入題、起股、虚股、中股、後股、結束の部分から構成されるようになった。その起・虚・中・後の股は独特の長い対句からなり、それが8本の柱を立てたようなので八股文の名称が生まれた。「股」は対偶の意。指定された経書の意味を基にして文をつくるという立場から、経義、制義の名称もある。明の中期以後には八股文の参考書が多くつくられ、受験生はその例文の字句を暗記して文章をつくるようになって、資料としての価値がなくなり、清代に科挙の弊害が議論され、1901年に廃止された。[横田輝俊]
『横田輝俊著『八股文』(鈴木修次他編『中国文化叢書4 文学概論』所収・1967・大修館書店)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の八股文の言及

【読み書きそろばん(読み書き算盤)】より

…大きな文字を筆画正しく書くことから始めて小さな文字にうつり,やがて碑帖の臨摹(りんも)にすすんだ。〈対句〉は中国の詩文の基本であるとともに,科挙試験で用いられた〈八股文(はつこぶん)〉は厳密な対句が要求される文体であったため,いきおい重視されたのである。一字対から始めて二字対,三字対とすすみ,五字対ないし七字対となれば自然に五言詩ないし七言詩の1句となるわけである。…

※「八股文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

八股文の関連キーワード経済特科復社方苞

今日のキーワード

俳句甲子園

1998年から松山市で開かれる全国高等学校俳句選手権大会。高校生が5人1組で句の優劣をディベートで競い合う。チームでの勝敗とは別に、個人の最優秀句も選ぶ。今年は過去最多の41都道府県から121校、15...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android