兵家(読み)ヘイカ

デジタル大辞泉 「兵家」の意味・読み・例文・類語

へい‐か【兵家】

軍事に携わる人。武士軍人。「勝敗兵家の常」
兵法・兵学の専門家。兵法家。
中国春秋戦国時代諸子百家の一。用兵・戦術戦略戦争論などを論じた兵法家・軍学者一群で、孫武孫臏そんぴん呉起尉繚うつりょうなどが有名。「孫子」「呉子」「尉繚子」「六韜りくとう」などの兵書がある。

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精選版 日本国語大辞典 「兵家」の意味・読み・例文・類語

へい‐か【兵家】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 軍事に携わる人。また、兵法に明らかな人。武士。軍人。〔書言字考節用集(1717)〕 〔後漢書‐朱儁伝〕
  3. 中国、戦国時代の諸子百家の一つ。用兵の技術を含めて、その理論や、戦争そのものの本質を論ずる一派の称。孫武、孫臏、呉起、尉繚(うつりょう)等を代表とし、「孫子」「呉子」「尉繚子」等の書がある。〔漢書‐芸文志

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改訂新版 世界大百科事典 「兵家」の意味・わかりやすい解説

兵家 (へいか)
Bīng jiā

中国,古代に発達した,政戦両略の軍事思想をさす。著名な《孫子》《呉子》や近年出土の《孫臏(そんぴん)兵法》のほか,ひろく《荀子》儀兵,《管子》兵法,《墨子》兵技巧書,《淮南子(えなんじ)》兵略など諸篇の軍略・兵技論や軍礼の《司馬法》など,秦・漢期の儒墨・道法・縦横家の諸思想と重なり合う。兵家の名称で諸子百家に加えたのは,前漢の図書6分類(劉歆(りゆうきん)《七略》)に始まる(四部分類)。しかも九流から独立して〈兵書略〉として分けたのは,国家の軍備を重視した反映である。漢初から戦国期の兵法書が整理され,前漢末の任宏(じんこう)が4分類して,政経・国防の総合戦略論の〈兵権謀〉,情勢に即応しうる用兵術の〈兵形勢〉,気象・地理などを測候する〈兵陰陽〉,兵器や武術(スポーツ)をあつかう〈兵技巧〉,計53家790篇,付図43篇を著録した(《漢書》芸文志)。現存の古い兵書は,魏武(曹操)が再編したものが多く,また北宋に編まれた《武経七書》は日本の戦国期に流行した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「兵家」の意味・わかりやすい解説

兵家
へいか

中国の春秋・戦国時代から漢代にかけて活躍した兵法家、軍学者の一群をいう。この時代はまさに弱肉強食乱世であったので、富国強兵策を掲げて領土拡張に狂奔していた諸侯が、優れた兵家を求めたのは当然の成り行きであった。また戦略戦術を説いた兵書の出現も、時代の要請によるものであった。兵家としては、春秋時代における呉(ご)の孫武(そんぶ)、斉(せい)の大司馬穣苴(しばじょうしょ)、戦国時代における斉の孫臏(そんびん)、魏(ぎ)の呉起(ごき)(呉子)、漢(かん)初の張良(ちょうりょう)、韓信(かんしん)などがとくに有名である。兵書では、『孫子(そんし)』『呉子(ごし)』『司馬法』『尉繚子(うつりょうし)』『三略』『六韜(りくとう)』などがあげられる。宋(そう)代に至って、元豊(げんぽう)年間に、武官の軍事教育用のテキストとして、上記の六書に唐初の将軍李靖(りせい)の『李衛公問対(りえいこうもんたい)』を加えて『武経(ぶけい)七書』が編まれ、武人の経典と目されるようになった。これらのうち『六韜』『三略』『孫子』『司馬法』は早くから日本にも渡来し、平安前期の学者藤原佐世(すけよ)(?―898)の『日本国見在(げんざい)書目録』にその名を記録されている。

[篠田雅雄]

『竹内照夫著『東洋思想3 兵家思想』(1967・東京大学出版会)』『金谷治他著『中国古典文学大系4 老子・荘子・列子・孫子・呉子』(1974・平凡社)』

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百科事典マイペディア 「兵家」の意味・わかりやすい解説

兵家【へいか】

中国の兵術を論究する学派。諸子百家の一つ。春秋戦国時代の孫武(または孫【ぴん】)・呉起らが有名。春秋戦国の乱世に,兵の運用・攻防戦の策略などの研究が盛行,それに伴って発達した。漢代に各種の著作が収集・整理された。《司馬法》《孫子》《呉子》などが現存する。宋代には《六韜(りくとう)三略》等を加えた7書が兵家の古典として選ばれ,日本の戦国期に流行した。
→関連項目尉繚子

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普及版 字通 「兵家」の読み・字形・画数・意味

【兵家】へいか

兵法家。〔漢書、芸文志〕兵家は蓋(けだ)し古の司馬のに出づ。王官の武備なり。

字通「兵」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「兵家」の意味・わかりやすい解説

兵家
へいか
Bing-jia

中国の諸子百家の一つ。戦略,戦闘方法,兵器の使用,軍事上の禁忌などを研究した一派。呉起の著といわれる『呉子』や,孫ぴん (そんぴん) かその流派の著といわれる『孫子』などがその代表的な兵法書である。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「兵家」の解説

兵家(へいか)

諸子百家の一つ。用兵の道を講ずるものをいう。孫武(そんぶ),呉起(ごき),尉繚(うつりょう)らがこれに属する。その多くは兵を凶器とみて,兵法は凶器の運用を示すものではなく,これを避ける方法を説くものとした。

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旺文社世界史事典 三訂版 「兵家」の解説

兵家
へいか

戦国時代の諸子百家のうち,兵法・戦略を専門とする学派
孫武とその子孫の孫臏 (そんびん) の著『孫子』(2種類ある),呉子の著『呉子』はその代表作。

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世界大百科事典(旧版)内の兵家の言及

【兵戸】より

…中国,魏晋南北朝に行われた世襲的兵士。軍戸,兵家,士家ともいう。後漢ころから一般郡県民による徴兵制がすたれ,兵民分離の傾向がみられるが,魏・晋以後の諸政権は,流民や降伏民などを兵籍につけ,軍事労働を世襲させた。…

※「兵家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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