切出す(読み)キリダス

デジタル大辞泉 「切出す」の意味・読み・例文・類語

きり‐だ・す【切(り)出す】

[動サ五(四)]
切り始める。「のこぎりで―・す」
木材や石などを切って運び出す。「石を―・す」
話や相談ごとを言い出す。思い切って話し始める。「別れ話を―・す」
小切手手形などを振り出す。
「誰がそんな不渡手形を―・して」〈佐藤春夫都会憂鬱
[類語]刻む切る裁つちょん切るぶった切るかき切る切り刻むちぎる切り抜く刎ねる切り込む叩き切る焼き切る捩じ切る切り開く切り落とす切開

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「切出す」の意味・読み・例文・類語

きり‐だ・す【切出・伐出】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. [ 一 ]
    1. 惣荘のうち一部の土地を特定し、その地に相応する年貢等を上納する。
      1. [初出の実例]「承久以前廿年之間、切出所当廿五石之由、虚誕也」(出典:東文書‐一・嘉禎四年(1238)一〇月一九日・六波羅裁許下知状)
    2. 材木石材などを切り取って運び出す。切りいだす。
      1. [初出の実例]「山から切り出すのに幾日(いくか)とか掛って」(出典:三四郎(1908)〈夏目漱石〉四)
    3. 刀を振り上げてきりかかる。
      1. [初出の実例]「老体ながら其身軽に前庭に躍出て、人はなきか、者共、切出せ、と申されければ」(出典:応仁別記(15C末か))
  3. [ 二 ]
    1. ( 切出 ) 話そうとしていたことを話し始める。言い出す。
      1. [初出の実例]「暫く躊躇(ためら)ひて、任(まま)よと遂に切出(キリダ)す」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)
    2. 小切手や手形などを振り出す。
      1. [初出の実例]「詐欺師でない以上は誰がそんな不渡手形を切出して金を要求出来るものではない」(出典:都会の憂鬱(1923)〈佐藤春夫〉)

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