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本居宣長(もとおりのりなが)の学問論。1798年(寛政10)成立。この年『古事記伝』を完成させた宣長は、弟子たちの求めに応じ、国学を志す初心者の心構えを説き著した。賀茂真淵(かもまぶち)の『にひまなび』(1765成立)を意識しつつ、学問の中心に「道」学びを据え、その勉強法を具体的に示し、さらに伝習や慣例にこだわらぬことなど学問の態度についても懇切に述べている。そのうえ国学を「道」学びに限定せず、歌文を学び、有職故実(ゆうそくこじつ)や国史の研究など、関連領域の重要さを述べ、国学の柔軟性をみせている。
[萱沼紀子]
『『うひ山ふみ・鈴屋答問録』(岩波文庫)』▽『大久保正編『本居宣長全集 1』(1968・筑摩書房)』▽『吉川幸次郎編『日本の思想 15 本居宣長集』(1969・筑摩書房)』
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…〈国学〉とは本来,律令制度のもとで諸国に置かれた学校を意味する言葉であったが,上記の字義で用いられるようになったのは近世後期のことである。本居宣長の《初山踏(ういやまぶみ)》も,〈皇国の事の学をば,和学或は国学などいふならひなれども,そはいたくわろきいひざま也〉と,この呼称には否定的であったが,中島広足(なかじまひろたり)の《橿園随筆(かしぞのずいひつ)》(1854)には,〈今云国学は,我国に道なきを恥て,本居の新に建立(たて)たる学〉といった語句が見え,〈国学〉の語義がその内容のイデオロギー化と大きな関係があったことをうかがわせる。この名称が最終的に定着したのは明治時代になってからであった。…
※「初山踏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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