デジタル大辞泉
「方墳」の意味・読み・例文・類語
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ほう‐ふんハウ‥【方墳】
- 〘 名詞 〙
- ① 古墳の墳形の一つ。平面形が方形で墳頂が平坦な古墳。四世紀末頃に現われ、古墳時代後期から末期に盛行するが、大規模なものが造られるのは六世紀後半以降である。用明・推古天皇陵、群馬県前橋市宝塔山古墳など。
- ② =そとば(卒都婆)①
- [初出の実例]「又梵曰二塔婆一、称二偸婆一、此翻二方墳一、亦言二霊廟一」(出典:正法眼蔵(1231‐53)供養諸仏)
- ③ 方形の墓、墓石。
- [初出の実例]「命レ工削レ石築二方墳一」(出典:羅山先生文集(1662)四三・林左門墓誌銘)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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方墳 (ほうふん)
墳墓の一形式。墳丘はふつう截頭円錘形をなす。ときに方形の造出(つくりだし)をもつものや,2,3の段をもって築かれる大型のものがある。類似の例は世界各地にみられるが,とくに東アジアで発展を遂げた。中国では,中山王墓や秦始皇陵で知られるごとく,戦国から漢代にかけて盛行し,唐代にも著しい。朝鮮では,北部の高句麗で石塚,土塚として盛んに築かれ,輯安(しゆうあん)の将軍塚のような切石段築の整美なものも生み出されたが,南部にはきわめて少ない。日本では古墳時代を通じて各地で営まれたが,地域により疎密の差があり,前方後方墳との関連の強いものも少なくない。前期には島根県東部などで重要な位置を占め,中期には各地の首長墓として築かれるが,畿内では大型前方後円墳の陪冢(ばいちよう)の形式としても多用された。6世紀以後は前方後円墳に代わって大王陵の形式として採用されるが,それとともに奈良,大阪の南部を中心に発達した。なお,弥生時代には方形周溝墓や方形台状墓といった平面方形の墳墓がすでにみられ,山陰地方などでは四隅が外へ突き出る〈四隅突出形方形墓〉も築かれたが,古墳時代の方墳とは区別される。
→古墳
執筆者:和田 晴吾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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方墳
ほうふん
平面形が方形の墳丘をもつ古墳。正方形および長方形のものがある。古墳時代前半期のものは墳頂平坦(へいたん)部が広いのが特徴で、首長墳のほか前期小型墳にもこの特徴を有するものが多い。5世紀代には大型前方後円墳の陪塚(ばいづか)として存在する場合が多いが、単独に中型墳としてつくられることも少なくない。7世紀代には大王墳および近畿の有力墳、前方後円墳消滅後の地方最有力墳に方墳が用いられ、近隣に7世紀代の寺院がつくられることが多い。日本列島最大の方墳は奈良県桝山(ますやま)古墳で、一辺85メートルである。
[今井 尭]
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方墳【ほうふん】
墳丘の平面形が方形になる古墳で,墳墓の一形式。東アジアで発展を遂げ,中国の中山王墓や秦始皇陵は有名で,朝鮮北部の高句麗でも石塚,土塚として盛んに築かれた。島根県東部の出雲地方は方墳が特に多い地域として知られ,安来市の三角縁神獣鏡が出土した古墳時代前期の造山古墳はこの時代のものとしては全国でも最大級の方墳である。日本全国に分布しており,千葉県の龍角寺岩屋古墳,群馬県の宝塔山古墳,奈良県の平野塚穴山古墳,宮崎県の常心塚古墳などがある。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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方墳
ほうふん
古墳の一形式。平面形が方形で,頂部は截頭方錐形をなす。世界各地に分布し,中国では漢代に一般的であったようであるが,日本では円墳,前方後円墳に比して数は少い。古墳前期からみられ,弥生時代の方形周溝墓との関連性をいう説もある。また,古墳時代後期のものもある。古墳後期のものは,各辺を方位に合せたものが一般的であるが,前期のものは,方位を考慮に入れていない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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方墳
ほうふん
墳丘の平面形が方形をなす古墳。頂部は平坦で,大型のものは段築をなす。古墳前期からみられ,中期には陪塚(ばいちょう)にしばしば採用された。後期後半から春日向山古墳など天皇陵にも採用され,大型方墳も千葉県岩屋古墳(国史跡)など各地で認められる。出雲地方に多く分布することで知られる。同じ方形台状をなす弥生時代の墳丘墓や,古墳時代の方形周溝墓(しゅうこうぼ)との関係も問題である。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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方墳
ほうふん
墳丘の平面が方形の古墳
円墳や前方後円墳より遅れて出現。7世紀に多い。新しいものは各辺を方位に合わせているが,これは内部の横穴式石室を南面させるためと考えられている。
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
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普及版 字通
「方墳」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の方墳の言及
【古墳】より
… 日本の古墳の墳丘は,工法からいえば,土を盛って作った土塚と,石を積みあげた[積石塚]とがある。形態からいえば,規模の小さい[円墳],[方墳]と,大型のものをふくむ[前方後円墳],[前方後方墳]とがあり,特定の時期にあらわれたものとして,前期の[双方中円墳],中期の[帆立貝式古墳],後期の双円墳および[上円下方墳]などがある。また,外形の種類と関係なく,古墳には[周濠]のないものと,周濠をめぐらすものとがある。…
※「方墳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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