日本の労働者の基本的権利について規定する労働組合法(労組法)、労働関係調整法(労調法)、労働基準法(労基法)をさす。いずれも戦後改革の過程で制定されたもので、労組法は憲法第28条の労働者の団結権・団体交渉権・争議権の保障を効果的に実現することを目的とする。労基法は憲法第27条2項の「勤労条件に関する基準」を定めることで、労働者の人たるに値する生活の実現を目ざしている。他方、労調法は労組法と相まって、集団的労働関係の調整を図ることを目的としているが、公益事業または大規模もしくは特別な事業に関する争議行為に対して、50日間の禁止期間を科す緊急調整制度(労調法38条)を含むことから、憲法第28条の争議権保障と矛盾する内容をもつ。
[寺田 博]
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…労調法と略す。労使の自治を原則とする近代的な集団的労働関係法である労働組合法を補完する性格の法律で,この2法に労働基準法を加えたものがいわゆる労働三法である。 労働争議調整の原理は,第1章に示されている。…
…最初に,形式的意義における労働基準法(略称労基法)について述べる。 労基法は,労働組合と使用者またはその団体とが団体交渉を中心に展開する団体的労働関係(団結権,争議権の保障,労働争議調整制度等)の原理を定める労働組合法,労働関係調整法(あわせて団体的労働関係法と呼ばれる)とならんで労働三法を構成している。労基法は労働関係の歴史上特に労働時間,深夜業,寄宿舎生活等の面で法的保護が必要と考えられてきた年少者(今日では18歳未満の労働者)および女性に限定せず,成年の男性を含む労働者一般を適用対象にし,事業の種類・業態を問わないという普遍立法の特徴を有している(労基法の適用される事業または事務所の種類は同法8条に網羅的に列挙されている。…
※「労働三法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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