中国,北宋の王安石の新法の一つで,職役(しよくえき)の銭納化政策をいう。宋代,土地財産を持つ農民(主戸)はその所有高により九等の戸等に分けられ,上四等戸は職役を強制された。職役とは,租税や戸口台帳の作成,徴税業務と徴収した米穀などの運搬,警察の捕手(とりて)など,単純な力役より一歩進んだ徭役を指す。地方行政に必要な経費が国家予算に計上されていない当時,それは地方費の現物納という性格をもっていた。ただ官戸や寺観は免役の特権を与えられ,いっぽう就役した農民は官員や胥吏(しより)と接触する現場で不当搾取をうけ,あるいは賠償責任などで没落することが多かった。江南の先進地では職役の銭納化が進んでおり,王安石はこれを新法の一つとして強力に推進した。1069年(煕寧2)に施行された募役法は,四等以上の農村主戸から相応の免役銭を徴収し,従来,免役の特典のあった官戸などからは半額の助役銭を徴収,それで必要な役人(えきじん)を雇った。旧法党はこれを廃止したが,以後の大勢は募役の方向に進んだ。
→役法
執筆者:梅原 郁
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北宋の王安石の新法の一つ。徴税,治安などの地方統治にかかわる労役を,上・中層農民に割り当てる差役法がその没落を招いたので,免役銭を彼らから徴収する一方,希望者を募り雇銭を給して労役にあてた。
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…賦課の基準は主として資産によって区分された5等級の戸等であった。官人などの支配身分の者は一定範囲で免役の特権をもち,そのため社会問題を惹起し,この矛盾の解決をはかった王安石の募役法は,徭役に服する代りに免役銭を納めさせ,また従来,役を免除されていた者にも助役銭を出させ,これらを財源として必要な労働力を雇用するものであった。流通経済の発展にともなう合理的な改革であったから,王安石の失脚後一時廃されたこともあるが,やがて復活して南宋時代にも維持された。…
※「募役法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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