勅撰和歌集(二十一代集)のうち,第9集以後の《新勅撰和歌集》《続(しよく)後撰和歌集》《続古今和歌集》《続拾遺和歌集》《新後撰和歌集》《玉葉和歌集》《続千載和歌集》《続後拾遺和歌集》《風雅和歌集》《新千載和歌集》《新拾遺和歌集》《新後拾遺和歌集》《新続古今和歌集》の13の集をいう。
勅撰和歌集は,八代集の最後を飾る《新古今集》で芸術至上主義的な極致に達し,その後は歌の家としての権威を確立した御子左(みこひだり)家,特にその嫡流の二条家の主導で,平明を基調として展開する。藤原定家が1235年(嘉禎1)に撰じた《新勅撰集》は平淡な歌風を特色とするが,藤原為家撰の《続後撰集》(1251)はそれをいっそう進めて,内面的な深みのある平淡な歌風を確立する。その歌風は《続古今集》《続拾遺集》《新後撰集》に継承された。二条家の平明な歌風に対し,御子左家庶流の京極(きようごく)家の藤原為兼(ためかね)は,素朴で官能的な歌風を主張して《玉葉集》(1312)を撰じたが,これに続く,二条家の人々が撰者となった《続千載集》《続後拾遺集》では,京極派の歌風を加味しつつも,ふたたび二条家の歌風に帰っている。花園院監修・光厳院撰の《風雅集》(1349)は,京極派風の傾向を有するとともに,和歌を古道の風に帰せしめる意図で編まれている。その後の《新千載集》など二条家の人々の撰による3集は,二条家風の幽玄・平淡な歌風に加えて,末法思想の影響がより明瞭にみられるようになり,また,修行によってより高い精神に到達しようとする道としての〈歌道〉の立場からの象徴主義・神秘主義的な傾向が強くあらわれ,閑寂の歌風を実現した。それらの特徴は,二条派末流の飛鳥井雅世(あすかいまさよ)が1439年(永享11)に撰じた最後の勅撰和歌集《新続古今集》に最もよくあらわれている。
執筆者:新井 栄蔵
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…〈読人知らず〉を除いて約3000人の作者,約3万5000首を収めた大詞華集群である。《古今集》《後撰集》《拾遺集》を三代集,《古今集》から《新古今集》までを八代集,《新勅撰集》から《新続古今集》までを十三代集,すべてを合わせて二十一代集という。【新井 栄蔵】。…
※「十三代集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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