佐久郡南部から上州
峠の頂上はやや平坦で、茶屋があった。それより上州側へ約一・五キロの
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
群馬県南西部の多野(たの)郡上野村(うえのむら)と長野県南佐久(みなみさく)郡佐久穂町(さくほまち)の県境にある峠。標高1351メートル。神流(かんな)川と支流の黒(くろ)川に沿い、東西に走る十石峠街道唯一の重要な峠。群馬・長野両県を結ぶ。十石峠の名は、江戸時代に日に10石(1800リットル)の米を佐久地方から、米のとれない神流川流域地方に運んだことから出たという。馬の背に乗せて運んだもので、上野村白井(しらい)には白井関所があった。十石峠街道は蛇行して流れる神流川の北岸で、断崖(だんがい)や峡谷が多く、人や馬の転落事故が多かったので、かつては河岸のあちこちに供養の卒塔婆(そとば)がみえた。いまは峠を通る人も少ない。妙義荒船(みょうぎあらふね)佐久高原国定公園に含まれる。
[村木定雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報