南九州(読み)ミナミキュウシュウ

デジタル大辞泉 「南九州」の意味・読み・例文・類語

みなみ‐きゅうしゅう〔‐キウシウ〕【南九州】

九州南部地域。多く、宮崎鹿児島の2県をさす。南部九州。→北九州
鹿児島県薩摩半島南部の市。園芸農業や畜産業、また焼酎仏壇製造が盛ん。平成19年(2007)に頴娃えい町・知覧町川辺町が合併して成立。人口3.9万(2010)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「南九州」の意味・わかりやすい解説

南九州[市] (みなみきゅうしゅう)

鹿児島県南西部の市。2007年12月頴娃(えい),川辺(かわなべ),知覧(ちらん)の3町が合体し成立。人口3万9065(2010)。

南九州市南東部の旧町。旧揖宿郡所属。人口1万4126(2005)。薩摩半島南端に位置し,東シナ海に臨む。東部は唐牧岳,牧神岳などの山々が南北に並び,西部は枕崎台地一部にあたる。古くから海上交通が開け,752年(天平勝宝4)には遣唐船が石籬浦(石垣)に漂着している(《続日本紀》)。中世は頴娃氏が支配し,16世紀以降島津氏の直轄地となった。かつては人口日本一の村(1947年の国勢調査で人口3万8295)であったが,1951年に東部が開聞村として分離した。基幹産業は畑作を主体とする農業。台地上は開聞岳噴出の火山灰に覆われ,生産性の低いコラ層をなしているが,52年よりこの土壌の排除が行われた。また69年には池田湖などから導水する南薩灌漑事業が完成し,旧来カンショ,麦,タバコ,陸稲から茶,園芸,畜産,肉牛へと転換した。南部海岸沿いにJR指宿枕崎線が通る。

南九州市北西部の旧町。旧川辺郡所属。人口1万4809(2005)。薩摩半島中央部にあり,熊ヶ岳,下山(さがやま)岳などの南薩山地の山々に囲まれた盆地で,万之瀬川,広瀬川,大谷川などが西流している。山麓部のシラス台地は畑作地帯,中央の沖積低地は水田地帯で,水稲,畜産,園芸などを基幹とする農業地帯となっている。町域の6割は杉,松,ヒノキなどの森林が占めている。川辺仏壇と称される仏壇の製造も盛んで,1975年に国の伝統工芸産業に指定された。

南九州市中部の旧町。旧川辺郡所属。人口1万3256(2005)。薩摩半島の南部にあり,南は東シナ海に面する。古くから薩摩半島南部の中心地で,古代末~中世にかけては島津荘の寄郡知覧院が成立していた。江戸時代は麓集落の一つで,1677年(延宝5)以後は佐多(島津)氏の私領となった。明治維新後1879-96年には給黎(きいれ),揖宿(いぶすき),頴娃(えい),川辺の4郡を管轄する郡役所が設置された。現在も武家屋敷が整然と並び,そのたたずまいは〈薩南の小京都〉と称される。また簡易裁判所,法務局などの官公署も集中している。主産業は畜産と茶を中心とする農業で,北東部の手蓑台地は知覧茶発祥の地であり,良質の茶を産することで名高い。南部は南薩台地の一部で,かつては飲料水にも不自由する畑作地帯であったが,現在は茶,畜産を中心とする近代的経営が行われている。中部の木佐貫原は第2次大戦中は,特攻隊の出撃基地となっていた。海岸部をJR指宿枕崎線が通る。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南九州」の意味・わかりやすい解説

南九州(市)
みなみきゅうしゅう

鹿児島県南部、薩摩半島南部にある市。2007年(平成19)揖宿郡(いぶすきぐん)頴娃町(えいちょう)、川辺郡(かわなべぐん)川辺町、知覧町(ちらんちょう)が合併、市制施行して成立。これにより指宿、川辺両郡は消滅した。北東は鹿児島市、南東は指宿(いぶすき)市、北西は南さつま市、南西は枕崎(まくらざき)市と接し、南は太平洋に面する。市域の大部分は山地とシラス台地で、開聞(かいもん)岳から噴出した火山礫(れき)や砂(コラ層)で覆われている。南部海岸をJR指宿枕崎線が横断、これに並走して国道226号が通る。北東から南西に国道225号が、鹿児島市との境界を指宿スカイラインが縦断し、千貫平(せんがんびら)に展望台がある。

 川辺町地区は中世、平氏一族の川辺氏が統治、仏教文化が栄えたところで、清水磨崖仏(きよみずまがいぶつ)が残る。鹿児島藩政時代、知覧町地区は佐多島津氏が支配、国名勝の庭園のある武家屋敷群は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。第二次世界大戦中は木佐貫原(きさぬきばる)台地に陸軍の飛行場があり、特攻隊の基地となった。頴娃町地区は1970年からの大規模な南薩畑地灌漑事業で基盤整備がなされた。茶(知覧茶など)の栽培や養鶏、畜産が盛ん。川辺仏壇は国の伝統的工芸品に指定されている。知覧町地区で十五夜に行われるソラヨイは国重要無形民俗文化財に指定。面積357.91平方キロメートル、人口3万3080(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「南九州」の意味・わかりやすい解説

南九州[市]【みなみきゅうしゅう】

鹿児島県の薩摩半島中南部を占める市。2007年12月揖宿郡頴娃町,川辺郡知覧町,川辺町が合併し市制。南部に指宿(いぶすき)枕崎線が通じる。357.91km2。3万9065人(2010)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の南九州の言及

【九州探題】より

…また前年の征西将軍宮懐良親王の下向もあって,九州地方の政治的勢力関係は,幕府方(尊氏―鎮西管領一色氏),直冬方,宮方(南朝―征西府)という三者鼎立となり,いわゆる観応(かんのう)の擾乱につながる。概して直冬方が最優勢といえるが,南九州守護島津氏は幕府方に立ち,北九州守護少弐氏は直冬方,中九州の肥後守菊池氏は宮方であった。その間,51年(正平6∥観応2),尊氏・直義の一時的和睦によって,直冬が正式に鎮西探題となる。…

【九州地方】より

…日本列島の南西部に位置し,九州本島と壱岐,対馬,五島列島天草諸島南西諸島など大小2500余りの島々からなり,北西方は朝鮮海峡を隔てて朝鮮半島と,南西方は台湾と隣接する。行政的には福岡,佐賀,長崎(以上北九州),熊本,大分(中九州),宮崎,鹿児島(南九州)と沖縄の8県に分かれる。面積は4万4420km2,人口1469.7万人(1995)でともに全国のほぼ12%にあたる。…

※「南九州」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

グレーゾーン解消制度

個々の企業が新事業を始める場合に、なんらかの規制に該当するかどうかを事前に確認できる制度。2014年(平成26)施行の産業競争力強化法に基づき導入された。企業ごとに事業所管省庁へ申請し、関係省庁と調整...

グレーゾーン解消制度の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android