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卜部氏 うらべうじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

卜部氏
うらべうじ

古来より,諸国の神社に奉仕して卜占を業とした諸氏の総称。伊豆,壱岐,対馬などの卜部氏が著名で,このうち伊豆の卜部氏が最も栄え,後世有名な神道家や僧侶を輩出した。鎌倉時代末期より吉田姓を称した。

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百科事典マイペディアの解説

卜部氏【うらべうじ】

占部とも記す。亀卜(きぼく)によって神祇(じんぎ)官に仕えたもの。《延喜式》によれば伊豆,壱岐(いき),対馬(つしま)から20人召されていた。有名なのは,のちに吉田神社に仕えた卜部氏で,天児屋(あめのこやね)命の末と称し,吉田神道を成立させた。
→関連項目葛西御厨

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世界大百科事典 第2版の解説

うらべうじ【卜部氏】

大化前代の6世紀ごろより宮廷の祭祀に参与して,中臣(なかとみ)氏に率いられ,鹿卜や亀卜の事をつかさどってきた氏族。律令制下の三国の卜部とは,伊豆,壱岐,対馬の卜部をいうが,そのほかに重要な本拠地常陸にあった。伊豆の卜部の本拠地は,伊豆の大島にあり,壱岐の卜部は壱岐島壱岐郡の月読神社をまつり,対馬の卜部は,下県郡の太祝詞(ふとのりと)神社や,上県郡の能理刀(のりと)神社などを祭祀していた。常陸の卜部は,とくに〈占部〉と名のり,鹿島神社などの祭祀に当たっていたようである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

卜部氏
うらべうじ

卜占(ぼくせん)の術をもって神事に奉仕した古代氏族に発する氏。伊豆(いず)、壱岐(いき)、対馬(つしま)などの卜部がいた。なかで、のちに京都神楽岡(かぐらおか)吉田神社の預(あずかり)職となった卜部吉田家が宗教的権威の地位を得て有名となった。古く祭祀(さいし)をつかさどる氏として中臣(なかとみ)、斎部(いんべ)の2氏が知られていたが、律令制(りつりょうせい)が整備され、神祇(じんぎ)制度が定着するとともに、神祇官の長官神祇伯(はく)を世襲する王氏の白川家とこの卜部氏を加えて「神祇四姓」と称した。鎌倉時代、その卜部氏に兼文(かねふみ)、兼方(かねかた)(懐賢(かねかた))らが出て、卜占よりも古典研究、古典伝承の氏として知られ、しだいに神祇官内で勢力をもつようになった。のち、室町中期に兼倶(かねとも)が出て、その乱世たる時代的背景もあって神祇官の副官たる地位とは別に神祇長上あるいは神祇管領長上と自称し、神祇伯の白川家とは別に全国の神社神職をその支配下に置くに至った。卜部氏の始祖は天児屋命(あめのこやねのみこと)の12世孫大雷命(おおいかつちのみこと)で、もとは中臣(藤原)と同族とその系譜にいうが、信憑(しんぴょう)性には問題がある。その伝承によれば、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)のとき卜部姓を賜り、その子真根子(まねこ)が三韓から帰朝するに際し壱岐島にとどまって以後累代、壱岐、対馬の島司(とうし)となったという。また18世忍見宿禰(おしみすくね)は顕宗(けんそう)天皇のとき壱岐に祀(まつ)る月読神(つきよみのかみ)を山背国(やましろのくに)(京都府)歌荒洲田(うたあらすだ)に分祠(ぶんし)、それが現在の松尾大社(まつのおたいしゃ)の摂社月読神社の起源と伝える。平安末期、一族の兼親(かねちか)が吉田神社の預となってからのち、その子孫が代々吉田神社預となり、またその弟兼国(かねくに)が平野神社預となってより、その子孫がそれを継承、さらに兼親の猶子兼季(かねすえ)が梅宮社務となってより、その子孫がそれを継承、のちそれぞれ吉田、平野、梅宮を氏とした。同族中に鎌倉末期に活躍した大僧正慈遍(じへん)や『徒然草(つれづれぐさ)』の作者兼好(けんこう)などがいる。また兼倶が吉田神道を大成して後世の神道に大きな影響を与えた。[菟田俊彦]

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世界大百科事典内の卜部氏の言及

【吉田神道】より

…兼俱自身は,元本宗源(げんぽんそうげん)神道,唯一宗源神道,唯一神道などと称したが,一般には吉田神道,卜部(うらべ)神道と呼ばれる。古代に神祇官の亀卜をつかさどった卜部氏は,平安時代には平野・吉田両社の神官となり,鎌倉時代には,《釈日本紀》の著者兼方,《旧事本紀玄義》の著者慈遍をはじめ多くの学者を出し,吉田・平野両流ともに古典研究の家として認められた。平安時代以来神祇の方面では,神祇官の長官である伯を世襲する白川家の権威が高かったが,伝統的な権威が崩れた室町時代に出た兼俱は,卜部氏が蓄積してきた神祇の専門知識を集約して,独自の説を掲げ,白川家に代わる権威を築こうとした。…

※「卜部氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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