吉備の中山(読み)キビノナカヤマ

デジタル大辞泉 「吉備の中山」の意味・読み・例文・類語

きび‐の‐なかやま【吉備の中山】

岡山市西部にある吉備津神社の後方の山。[歌枕]
「まがねふく―帯にせる細谷河の音のさやけさ」〈古今・神遊びの歌〉

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精選版 日本国語大辞典 「吉備の中山」の意味・読み・例文・類語

きび【吉備】 の 中山(なかやま)

  1. 岡山市北西部にある山。かつての備前国備中国の境にあり、西側のふもとに吉備津神社がある。歌枕。
    1. [初出の実例]「まがねふくきびの中山おびにせるほそたに川のおとのさやけさ〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)神あそびのうた・一〇八二)

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日本歴史地名大系 「吉備の中山」の解説

吉備の中山
きびのなかやま

かつての備前と備中の国境にある独立した丘陵。流れ出る細谷ほそたに川とともに歌枕。周囲約八キロ。東麓に備前一宮吉備津彦神社、西麓に備中一宮の吉備津神社が鎮座する。南の山頂には両社の祭神大吉備津彦命陵墓と伝える茶臼山ちやうすやま(中山茶臼山古墳)がある。北方を東西に近世の山陽道が通り、そこから見た山容は秀麗で、宮内みやうちの真野竹堂を訪れた頼山陽は、形が鯉に似ているために鯉山りざんと雅称をつけたという。いくつかの尾根が走り、北の山頂(一六二メートル)には経塚・雨乞塚があり、東の神道しんどう山には黒住教本庁が所在している。山上山腹の各所に古代祭祀の遺跡と思われる巨石や環状石籬、それらを祀る小社が存在するため、原始・古代から「かんなび山」として山全体が霊山であったとも考えられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吉備の中山」の意味・わかりやすい解説

吉備ノ中山
きびノなかやま

岡山市の西部にある丘。標高 175m。形がコイに似ていることから鯉山とも呼ばれる。備前と備中の国境をなし,山麓には備前側に吉備津彦神社,備中側に吉備津神社 (本殿拝殿は国宝) があって,ともに吉備津彦命をまつるそれぞれの国の一宮。山頂には吉備津彦命の陵墓といわれる古墳があり,山の北側を旧山陽道が通る。この地方最大の豪族吉備氏一族の信仰対象といわれる。南側に青少年研修センター,東麓の神道山に黒住教の本庁がある。一帯は吉備史跡県立自然公園吉備路風土記の丘県立自然公園に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉備の中山」の意味・わかりやすい解説

吉備の中山
きびのなかやま

岡山市北区の南西部にある丘陵。標高175メートル。備前(びぜん)と備中(びっちゅう)の国境にあり、その形から鯉山(りざん)ともいう。歌枕(うたまくら)の地で、「まがねふくきびの中山おびにせるほそたに川のをとのさやけさ」(『古今集』巻20)など古来多くの歌に詠まれている。北東麓(ろく)に備前一宮(いちのみや)の吉備津彦(きびつひこ)神社、西麓に備中一宮の吉備津神社が鎮座する。また山頂には吉備津彦命(みこと)の墓と伝えられる古墳がある。一帯は吉備史跡県立自然公園に含まれる。JR吉備線吉備津駅下車。

[宇田敏彦]


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