商品の流通および商業経営に関する統計のことであるが,狭義に,統計法および商業統計調査規則に基づいて実施されている〈商業統計〉を指していうこともある。後者の商業統計調査は,全国の卸売業,小売業および飲食店に属する商店を調査の対象としている。商店の全国の分布状況とか販売活動など商業の実態を明らかにすることを目的とし,〈商店に関する国勢調査〉であり,商業センサスともいう。第2次大戦前における商業統計調査には,1931年以降商工省が東京市,大阪市ほか5都市で卸・小売業について調査したものと,39年以降資源調査法に基づき卸売業のみについて調査したものがある。戦後は48年から51年にかけ予備調査がなされ,52年に第1回商業統計調査が通商産業省により全国的規模で実施された。以来76年までは2年おきに,79年からは3年おきに毎回4~7月に行われている。調査票は法人企業用,個人企業用,飲食店用に分かれ,調査事項も商品販売額のほか各種の項目にわたっている。調査は通産省→都道府県→市区町村→調査員のルートを通じて実施され,調査員が調査票を対象商店に配布し,申告者の記入を受けて回収し逆のルートで収集される。調査結果は商業統計表などにまとめられ,国および地方を通じる流通関連施策の立案などに広く利用されている。
商業の販売額などを毎月調査するものに商業動態統計調査がある。これは1953年以降始められたもので,商業統計調査と同様に指定統計である。全国の卸売業および小売業に属する商店の事業活動の動向を明らかにすることを目的とし,商業統計調査を母集団として一定の方法で抽出された個別指定および地域指定の標本からなる商店を調査している。調査結果は,第1部に商業(卸・小売業)の販売額の動向,第2部に大規模卸売商店の品目別販売の動向,第3部に従業者50人以上の大型小売店(百貨店,セルフ店)の販売の動向を明らかにしており,商業動態統計月表として公表されている。
商業の経営の実態を明らかにし,中小商業施策の基礎資料を得ているものとして商業実態基本調査がある。指定統計であり,1961年(一部は1959年)以後6年ごとに調査されている。調査対象は一定の方法で抽出された卸売業および小売業の商店で,商業統計と同様なルートで調査される。主として商店の仕入れ,販売,経理,金融など経営の現状を明らかにするもので,調査結果は商業実態基本調査報告書として公表されている。
→経済統計
執筆者:土山 健介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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