近世の宿の事務を扱う場所。伝馬所または会所ともいう。宿役人の長である問屋の屋敷の一部をあてることもあり,別に設置する場合もあった。問屋が2人いれば問屋場も2ヵ所になり,問屋の数に応じた。問屋場へ詰めるのは問屋・年寄の宿役人と帳付・馬指(うまさし)・人足指などの実務に当たる者で,通常は交代で出勤するが,大通行のときには全員が詰める。問屋場で扱うのは公用またはそれに準ずる武家・公家あるいは書状・御用物等であるが,宿人馬で不足のときには助郷(すけごう)の人馬を寄せ集めておき,ときには数百頭数千人にも及ぶ人馬を差配するから,戦場のような騒ぎになった。公用旅行の武士などは権威に乗じて横暴を極め,問屋場詰の役人を苦しめた。ここでは宿や助郷人馬の出勤を日々記録して日〆(ひじめ)帳を作って,助郷惣代にも立ち会わせて確認させ,それに応じて賃銭を支払った。継飛脚など夜中の継立てのためには泊り番も毎夜詰めていた。
執筆者:児玉 幸多
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近世,宿駅の伝馬継立を行う施設。人馬会所・馬借会所という所もある。維新期には名称が伝馬所と改められた。問屋場は一つの宿駅に1~2カ所程度。複数ある場合は,期日を定めて交代で開設するが,大規模通行の場合,一問屋場の宿では臨時の問屋場を増設することもあった。岡崎宿などのように,人足と馬の継立を別の問屋場で行う宿もある。問屋場には問屋・年寄の宿役人に,帳付・馬指・人足指の下役人が詰めて,人馬継立と宿駅業務にあたった。中期以降には助郷惣代も詰める所があった。五街道の品川など,一部の重要な宿駅には,継立の不正取締りのために,貫目改所が付設されていた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
… 宿の長を古くは長者といったが,江戸時代には問屋といい,1名または2名ぐらいいて,人馬の継立てや休泊に関する業務をつかさどった。その事務をとる所を問屋場という。問屋の補佐役は年寄で,数名のことが多い。…
…宿役人の長である問屋の屋敷の一部をあてることもあり,別に設置する場合もあった。問屋が2人いれば問屋場も2ヵ所になり,問屋の数に応じた。問屋場へ詰めるのは問屋・年寄の宿役人と帳付・馬指(うまさし)・人足指などの実務に当たる者で,通常は交代で出勤するが,大通行のときには全員が詰める。…
※「問屋場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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