言語発達の過程において,ことばのない時期とされる乳児期(生後1歳まで)の,言語としての意味をもたない発声活動とその音声をいう。産声(うぶごえ)や初期の叫喚発声とは別に,生後1ヵ月ごろから緊張の少ない〈ウーウー〉などの非叫喚発声が出はじめ,しだいに種類が豊富になり,歯切れがよくなってくる。とくに,5,6ヵ月になると,〈バ・バ・バ……〉〈チャチャチャ……〉など多様な子音の同音反復の発声が活発になる。このような発声が喃語の典型である。この時期の喃語にふくまれる音声は,成人語を構成する音声の大部分を網羅しており,子どもがその後習得していく言語の音声的基盤となる。また子どもにとって喃語のもつ意味は,音声を用いた遊びであろうと考えられている。それは,子どもがきげんのよいときに自発的に,ひとりしゃべりを続けることが多いからである。おとなが乳児の喃語のまねをして話しかけると,子どもは喜んでその発声をくりかえし,音声模倣の習慣の基盤が形成される。喃語のなかには,その発声の文脈から,あたかも意味をもって発声されたかのように聞こえるものがあり,それに対するおとなの反応によって,しだいに発声の対象や状況が特定化し,意味が付与されていく。〈マンマ〉〈ワンワン〉〈ブーブー〉など,乳児の初期の語(かたこと)はこのようにして形成されたものである。
→幼児期
執筆者:清水 民子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… うぶ声をあげて人間はこの世に生まれてくるが,胎児の時から母親の声は聞いているとの研究もある。うぶ声の叫声は摂食等による口腔の運動,あるいは〈最小努力の法則〉によって,喉音の〈グ〉や,成人の〈ア〉音に似た音からはじまり,母音の〈ウ〉,子音の〈パ,バ,マ,ン〉が結合して,長い喃語(なんご)になっていく。6,7ヵ月ごろが一番盛んだといわれる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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