喃語(読み)ナンゴ

デジタル大辞泉 「喃語」の意味・読み・例文・類語

なん‐ご【×喃語】

[名](スル)
くどくどと話すこと。
男女がむつまじくささやき合うように話すこと。むつごと。
を擁して―するもの」〈木下尚江火の柱
乳児のまだ言葉にならない発声
[類語](3片言

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精選版 日本国語大辞典 「喃語」の意味・読み・例文・類語

なん‐ご【喃語】

  1. 〘 名詞 〙
  2. くどくどと話すこと。また、ぺちゃくちゃとしゃべること。
  3. 男女がむつまじくかたりあうこと。
    1. [初出の実例]「大筵席は既に入り乱れて盃盤狼藉〈略〉妓を擁して喃語(ナンゴ)するもの」(出典:火の柱(1904)〈木下尚江〉九)
  4. 乳児の、いまだことばにならない段階の発声。

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改訂新版 世界大百科事典 「喃語」の意味・わかりやすい解説

喃語 (なんご)

言語発達過程において,ことばのない時期とされる乳児期(生後1歳まで)の,言語としての意味をもたない発声活動とその音声をいう。産声(うぶごえ)や初期の叫喚発声とは別に,生後1ヵ月ごろから緊張の少ない〈ウーウー〉などの非叫喚発声が出はじめ,しだいに種類が豊富になり,歯切れがよくなってくる。とくに,5,6ヵ月になると,〈バ・バ・バ……〉〈チャチャチャ……〉など多様な子音の同音反復の発声が活発になる。このような発声が喃語の典型である。この時期の喃語にふくまれる音声は,成人語を構成する音声の大部分を網羅しており,子どもがその後習得していく言語の音声的基盤となる。また子どもにとって喃語のもつ意味は,音声を用いた遊びであろうと考えられている。それは,子どもがきげんのよいときに自発的に,ひとりしゃべりを続けることが多いからである。おとなが乳児の喃語のまねをして話しかけると,子どもは喜んでその発声をくりかえし,音声模倣の習慣の基盤が形成される。喃語のなかには,その発声の文脈から,あたかも意味をもって発声されたかのように聞こえるものがあり,それに対するおとなの反応によって,しだいに発声の対象状況が特定化し,意味が付与されていく。〈マンマ〉〈ワンワン〉〈ブーブー〉など,乳児の初期の語(かたこと)はこのようにして形成されたものである。
幼児期
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妊娠・子育て用語辞典 「喃語」の解説

なんご【喃語】

生後2~3か月ごろに出てくる「アー」「ウー」など口や唇を使わない声をこう呼びます。言葉の原型といわれます。「クーイング」と呼ぶこともあるそうです。「マママ」などの繰り返し音は「反復喃語」といいます。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「喃語」の意味・わかりやすい解説

喃語
なんご
babbling

生後約3~4ヵ月から8~9ヵ月頃に幼児がしきりに反復して行う意味をもたない曖昧な発声。この期間を喃語期と呼び,ほとんどすべての音声言語に含まれる音素が生じるといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内の喃語の言及

【幼児語】より

… うぶ声をあげて人間はこの世に生まれてくるが,胎児の時から母親の声は聞いているとの研究もある。うぶ声の叫声は摂食等による口腔の運動,あるいは〈最小努力の法則〉によって,喉音の〈グ〉や,成人の〈ア〉音に似た音からはじまり,母音の〈ウ〉,子音の〈パ,バ,マ,ン〉が結合して,長い喃語(なんご)になっていく。6,7ヵ月ごろが一番盛んだといわれる。…

※「喃語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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